プロジェクト概要
2007年度~2010年度
デジタル化とネット化で著作権の侵害が頻発しており、ビジネスを行う前提として著作権保護の強化が必要であるという見解がある。この見解からは、保護を強くすることが知財立国のための方策とされる。しかし、その一方で、youtubeや検索エンジンなど著作権を緩くしたサービス、あるいは著作権のグレーゾーンから新しいビジネスが登場しており、著作権の縛りがあると新しい産業や企業が育たないという見解もある。この見解からは、保護の緩和こそが創造性を発揮させ、経済厚生を高めることになる。どちらの見解が正しいのだろうか?この問いに答えようとするとき、議論の重要な分岐点は、現状の保護水準で私的コピーがオリジナルの売上げをどれくらい減らしているか、である。売上げの減少が大きければ、新しいビジネスを犠牲にしても著作権を強化したほうがよいが、売上げを減らしていないのであれば、私的コピーを気にすることなく、新たなビジネスを立ち上げた方がよい。
本研究プロジェクトではこの点を実証する。すでに音楽ソフトについては実証例が多くあるが、今回はさらに動画に注目する。具体的にはyoutube、ニコニコ動画、Winnyなどで流れているテレビ番組(アニメ)や音楽の楽曲が、著作権者の売上げをどれくらい減らしているかを検証する。売上げが減っているなら保護を強化することが正当化されうるが、売上が減っていないなら、これら新しいサービスを制限するのではなく、新しいビジネスチャンスとして活かす方が経済学的には望ましいことになる。
プロジェクト期間: 2008年1月22日 〜 2010年12月31日