プロジェクト概要
2008年度~2010年度
地球温暖化対策は、温暖化のメカニズム自体に対する認識の相違や、温暖化防止が次世代のために現世代が「犠牲」になるという側面を持っているため、有効な国際協調がとりにくいのが現状である。そのような状況における国際協調は、報復制度を盛り込んだ制度を設計するだけでは不十分で、各国のモラルに訴え、協調へのインセンティブを維持する必要も出てくる。Hudec(1990)は、GATT国際法の遵守は「国際義務を果たすというモラル・政治的作用」と「報復措置の脅威」の2つの要因によっていると主張している。本研究は、この報復とモラルを硬軟の両輪とした協調促進制度を理論的に探究していく。
また、京都議定書でも問題となったように、地球温暖化問題にはフリーライダー問題が存在する。Maruta and Okada(2005)やFurusawa and Konishi(2008)が考察してきた協調参加問題もモデル化の際に考慮に入れる。また、温暖化防止の国際制度設計には、炭素税といった環境政策と輸入関税といった貿易政策が同時に関わってくるが、最適契約は、その両方を縛ることになるのか、もしくはそのいずれかに絞るべきなのかといった政策選択問題も重要であり、Horn, Maggi, and Staiger(2006)を参考にしながらこの問題についても考察する。
プロジェクト期間: 2008年4月25日 〜 2010年9月30日