プロジェクト概要
2008年度~2010年度
京都議定書を批准した国々は、削減目標値を達成するため、さまざまな政策を検討、あるいは実施してきた。最近では、第一約束期間後の新たな枠組み作りに向けたさまざまな動きも活発化してきている。地球温暖化対策の代表的な政策は、排出税と排出割り当てであろう。これらの政策は、閉鎖経済においては一般に同値性が成り立つ。しかし、最近の理論的研究において、開放経済においては同値性が成り立たないことが指摘されている(たとえば、Kiyono and Ishikawa 2004, Ishikawa and Kiyono, 2006)。とくに、炭素リーケージの問題が重要である。つまり、ある国での温暖化ガス削減政策が、その国でのガスの排出を減らしたとしても、間接的に他の国でのガスの排出を増やしてしまうという問題である。また、排出割り当てとセットになった排出権取引に関しては、理論的な研究が十分蓄積されているとは言い難い。さまざまなレベルで排出量取引制度が試行されてきてはいるものの、EUを除くと、大規模な排出権取引制度確立への取り組みは遅れている。本プロジェクトは、炭素リーケージの問題や排出権取引の問題などをとくに開放経済の枠組みの中で検討し、新たな知見を得ることを目的とする。
プロジェクト期間: 2008年4月25日 〜 2011年3月31日