開催案内
RIETIでは、2017年に開始した「日本におけるエビデンスに基づく政策の推進」プロジェクト以降、10年近くにわたって4つの研究プロジェクトを実施してきた。プロジェクト開始当初と比べると、日本政府もEBPMに本格的に取り組むようになってきており、骨太の方針でも毎年EBPMの重要性が指摘され、経済財政諮問会議や行政事業レビューなどで実践が進められるようになってきた。その一方で、EBPMに携わる人材の産官学を超えた知見の共有・進化や、そうした人材のキャリア形成には課題を残している。
そこで本ワークショップでは、EBPMに関する最新動向の共有や議論を通じて、セクターを超えた議論を深めるとともに、EBPMに関するエコシステムの形成を目指す。
イベント概要
- 日時:2025年7月24日(木)10:00~16:30
- 開催:対面開催(RIETI 1119/1121会議室)
- 主催:独立行政法人経済産業研究所(RIETI)
- 言語:日本語
プログラム
10:00 開会
冨浦英一(経済産業研究所 所長・CRO)
大竹文雄(大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授・経済産業研究所ファカルティフェロー)
10:10 セッション①日本のEBPMの到達点と課題
モデレータ
大竹文雄
パネリスト
折田裕幸(内閣官房デジタル行財政改革会議事務局参事官)
川瀬仁志(内閣官房行政改革推進本部事務局企画官)
青柳恵太郎(株式会社メトリクスワークコンサルタンツ代表取締役)
11:10 セッション②各学問領域におけるEBPMのとらえ方と協働の可能性
モデレータ
大竹文雄
パネリスト
杉谷和哉(岩手県立大学総合政策学部准教授)
岸本充生(大阪大学D3センター教授)
西出順郎(明治大学公共政策大学院 教授)
12:10 ランチ&ポスターセッション
14:00 セッション③行政の業務プロセスにEBPMをどう実装するか
モデレータ
中室牧子(慶應義塾大学総合政策学部教授・経済産業研究所ファカルティフェロー)
パネリスト
正木祐輔(神戸市行財政局長・東京大学公共政策大学院特任准教授・経済産業研究所コンサルティングフェロー)
高橋勇太(横浜市政策経営局データ経営課 担当係長)
鈴木貴之(法務省矯正局少年矯正課少年院係)
樫田光氏(デジタル庁Chief Analytics Officer・経済産業研究所コンサルティングフェロー)
15:00 コーヒーブレイク&ネットワーキング
15:30 セッション④内製と外注のあいだ:行政データサイエンス業務の“ちょうどよい分担”を現役/OBで探る
モデレータ
小林庸平(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社上席主任研究員・経済産業研究所コンサルティングフェロー)
パネリスト
浅見正洋(民間企業)
福永開(民間企業)
鈴木宏和(内閣官房デジタル行財政改革会議事務局参事官補佐)
16:30 閉会
中室牧子
開催報告
4つのセッションとポスターセッションが行われた。
セッション①では、国におけるEBPMの進捗状況が共有されると共に、到達点や今後の課題が議論された。「エビデンス」のとらえ方や、国際開発領域との状況の違いなどが議論された。セッション②では、公共政策学、評価学、リスク学といったさまざまな観点から、日本のEBPMに現状や課題について問題提起がなされた。セッション③では、国・自治体のEBPM担当者から、各組織でのEBPMの状況や、EBPMを行政プロセスのなかにどう実装すべきかについて提起がなされ、議論を深めた。セッション④では、行政の現役・OBデータサイエンティストから、行政データサイエンスにおける内製と外注をどう役割分担させるかが議論された。
本ワークショップには、研究者、国・自治体の行政官、シンクタンク研究員、コンサルタントなど約65人が参加した。ランチタイムやコーヒーブレイクでも積極的な交流がなされ、日本におけるEBPMのエコシステム形成の端緒になることが期待される。