イベント概要
- 日時: 2023年2月17日(金)12:00~13:20
- 開催方法:オンライン
- 講演:ウリケ・シェーデ 氏(カリフォルニア大学サンディエゴ校教授)
- 司会:加藤雅俊 氏(関西学院大学教授)
- 開催言語:英語
セミナーの内容
講演は、グローバルな競争に直面して、日本の多くの企業が「集合ニッチ戦略」(aggregate niche strategy)と著者が名付ける戦略で、高いパフォーマンスを実現することに成功していること、また、モビリティなどの新しい「as-a-service」ビジネスモデルが日本企業の経営革新にもたらす影響について議論した。
集合ニッチ戦略は、グローバル・サプライチェーンの上流部分に企業の市場ポジションを再配置し、高い技術力によって高いシェアを獲得する戦略である。これによって下流部門における市場競争の高まりからも利益を得ることが可能となり、また多数の関連したニッチ市場での優位性を確立すれば、個々の市場は比較的小さくても合計すれば大きな売上を獲得できる。多数のニッチ市場で日本企業が単独あるいは複数で高いシェアを持っていることは、長期的に見られる現象である。
このような戦略の成功は、企業経営の再発明(reinvention) への企業努力によるものであり、政府がその方向を決めたものではないが、独自性の高い技術力獲得への企業の取り組みを政府は間接的に(環境整備)で支援をすることはやってきたし、できるであろう。
音楽産業の大きな革新が示唆するように、デジタル技術は多くの産業に、ビジネスモデルを抜本的に見直し、新しい製品市場に軸足を移す新たな機会をもたらすことになる。日本企業の挑戦に期待したい。
文責 経済産業研究所・東京経済大学 長岡貞男
発表資料
発表資料 [PDF:5.3MB]