RIETI International Workshop

JSPS Core-to-Core Program: "Governance Reforms from Comparative Perspective"
Day 1: RIETI Workshop "Capital Market and Control"(開催報告)

イベント概要

  • 日時:2019年11月5日(火)10:00-17:30
  • 場所:経済産業研究所 国際セミナー室(経済産業省別館11階)
  • 主催:経済産業研究所(RIETI)
  • 共催:早稲田大学高等研究所(WIAS)、日本学術振興会(JSPS)

開催報告

2019年1月5日に経済産業研究所で日本学術振興会研究拠点形成事業/国際セミナー【Governance Reforms from Comparative Perspectives】Day 1: RIETI Workshop "Capital Market and Control"が行われた。このセミナー自体は3日間に渡る大規模なものの1日目であった。1日目は学術的な研究発表およびディスカッションが行われた。

プログラムからも分かる通り、3つのセッションにおいて広い意味でのコーポレートガバナンス、また資本市場に関する多くの側面について発表が行われた。一つ目のセッションは機関投資家の役割をどのように評価するか、という点に注目した論文が報告された。一つ目の報告であるMarco Becht・Julian Franks "The engagement of long-term investors: the case of Standard life"では、代表的な機関投資家であるStandard Life Investment社において、企業とどのようなコミュニケーションが行われているかについて、ミーティングの資料などの膨大な内部資料を用いて分析している。次に、Marco Bechtk・Julian Franks・宮島英昭・鈴木一功"Quiet activism in Japan"は、いわゆるアクティビズムのあり方(公開で行うのか、非公開で静かに行うのか)および成果に注目している。国によってあるべきアクティビズムのあり方は異なるかもしれないという観点から日本のアクティビズムを分析している。

 

二つ目のセッションは"Board Reforms and Corporate Governance and Labor Relations"であり、コーポレートガバナンスと雇用および役員報酬に注目した研究が報告された。

Gregory Jackson・久保克行"Corporate Governance and Inequality: Wages and Non-standard Work in Japan"は、コーポレートガバナンス改革が企業内外の格差に与える影響に注目している。そこでは、経営者報酬と賃金の関係だけではなく、非正規社員などのさまざまな側面から格差を分析している。また、本セッションでは日本企業のコーポレートガバナンス改革について齋藤卓爾・宮島英昭"Consequence of Corporate Governance Reforms"が報告されている。

三つ目のセッション "Capital Market and Control"ではセッションのタイトル通り資本市場に関する3つの研究報告が行われた。Yupana Wiwattanakantang "Asset Prices and Corporate Responses to Bank of Japan ETF purchases"では日本銀行によるETF購入について分析している。蟻川靖浩・Vikas Mehrotra "Anatomy of Stock Returns in Japan from 1977-2017"は日本の株式市場におけるstock return の分布について長期にわたり分析している。諸外国では、stock returnの分布が歪んでいるということが知られているが、このような歪みが日本でも観察されるかどうかに注目している。さらに、日本の自己株取得に関する分析を行っているJulian Franks・Colin Mayer・宮島英昭・小川亮"Stock Repurchases and Corporate Control: Evidence from Japan"が報告された。