RIETI国際セミナー

行動科学の政策応用のフロンティア(議事概要)

イベント概要

  • 日時:2019年5月22日(金) 13:30-15:30
  • 場所:経済産業研究所 1119/ 1121会議室 (経済産業省別館11階)
  • 講師:David Halpern 氏(CEO, Behavioural Insights Team)
  • 司会:小塩隆士氏(RIETIファカルティフェロー/一橋大学教授)
  • 開催言語:英語

議事概要

英国を代表に諸外国では、補助金・税制・規制といった伝統的な政策手法に代わる第4の政策手法として「ナッジ」や行動科学の活用が進められている。(ナッジ:デフォルトの提案や表現方法を工夫することで、本人が自発的に望ましい選択を行いやすいように誘導する政策手法)

今回のセミナーでは、ナッジを活用した政策手法及びその実践の世界的先駆者であるBIT(Behavioral Insights Unit)より代表者のデイビッド・ハルパーン博士を招聘し、ナッジを活用した政策の好事例や課題の「フロンティア」について学ぶとともに、日本における活用の在り方について議論を行った。

セミナーではハルパーン博士から「Frontiers of behavioural insights」と題したプレゼンテーションにおいて、英国キャメロン政権の下でBIT(ナッジ・ユニット)を立ち上げた経緯、徴税率向上のための初期の取組と成果、自消費者と製造者双方に対するダブル・ナッジを活用した砂糖税の導入などの事例の紹介や、プロトタイプを試し成果を確認した上で介入を横展開することの重要性、世界的なナッジの更なる活用に向けた方向性などについて発表があった。

ディスカッションにおいては、ナッジ活用における倫理や公平性の確保のための方策、国民に受容されやすいナッジ活用の在り方、ナッジ・ユニットの具体的な運用などについて参加者とハルパーン博士の間で活発な議論が交わされ、今後の日本におけるナッジ活用に対して示唆に富んだセミナーとなった。