RIETIイノベーションセミナー

Internationalization of Patenting and Firm Performance in the Pharmaceuticals Industry

イベント概要

  • 日時:2018年8月1日(水)14:30-16:00
  • 会場:経済産業研究所 1121会議室 (経済産業省別館11階)
  • 講演者:Vivek Ghosal氏 (Professor, and Head of Department, Department of Economics, Rensselaer Polytechnic Institute)
  • 司会:長岡 貞男氏 (経済産業研究所プログラムディレクター / 東京経済大学)
  • 開催言語:英語

セミナーの内容

近年、多数の企業が海外に研究開発の拠点を設けるなど研究開発の国際化が進展しており、その効果が注目されている。本研究は、米国と欧州の製薬産業63社のパネルデータを構築して、研究開発の国際化が企業の研究開発の生産性と収益性に与える影響を検証している。

企業はその研究開発支出の中でどの程度を海外の研究開発拠点で支出しているかを公表していないことが多い。また自国における臨床試験の後で、外国で行われる臨床試験は、その国への医薬品の上市には必要でも、新しい知識の創出にはつながらない重複的な場合も多いので、これらを含む研究開発支出を研究開発の国際化の指標として使うことが、そもそも適切でない場合も多いと考えられる。こうした問題を解決するために、本研究では、企業が登録した特許(米国特許庁及びEPO)の筆頭発明者の住所情報を用いて、それが外国である割合、また筆頭発明者が所属している外国の数を、研究開発の国際化の尺度として採用していることに独自性がある。

予備的な結果であるが、ダイナミック・パネルによる推計によれば、このように計測した研究開発の国際化は企業の特許生産性を高め、また企業の収益性にも正の効果がある。なお、製薬産業では国際的な合併・買収が活発であるが、それを包括的に把握していることが、本研究の特徴ともなっている。

研究開発の国際化は、研究開発の効率性を高めていく上で重要な課題となっており、RIETIでもこの研究に取り組んでおり、この分野の研究にも刺激となるセミナーであった。

文責 経済産業研究所・東京経済大学 長岡貞男