開催案内
情報通信技術の発展、さらにはIoTの普及等により、社会・経済における標準の重要性が飛躍的に高まっている中、標準と知的財産(特許)との調整が重要な問題となっています。これは、技術の普及を目指して標準化を進めると、必然的に先端的な特許発明を標準に盛り込むことになり、オープンに利用されるべき標準と、権利者の排他的権利である特許権との間に緊張関係が生じるためです。
これまで、標準化機関は、「知的財産権ポリシー」を策定し、その中で標準に織り込まれる特許の権利者に対してFRAND(公正、合理的かつ非差別的)条件でライセンスする旨の宣言を求めること等により、標準と特許の調整に努めてきています。しかし、実際には、標準必須特許の権利者と標準を実施する事業者との間の紛争が、我が国を含め世界中で生じており、行政、司法、さらに民間標準化機関のそれぞれにおいて、標準と知的財産の問題への対応が模索されています。
本セミナーでは、標準と知的財産がともにイノベーションに資するものであり、知的財産がイノベーションを創出し、標準がイノベーションの成果を普及するという好循環を実現するために何が必要かという基本的視点に立ちつつ、この分野の専門家による報告・討議を行います。第1部では、主要国における標準必須特許を巡る紛争を解決するアプローチの比較、ライセンス交渉やFRAND実施料の算定手法等の実情と分析などに関し、実証研究と理論的な見地から経済学と法学の研究者による報告を行います。第2部では、標準化活動に積極的な内外の企業担当者および政策に熟知した専門家が参加して、国と企業がとるべき戦略の方向性について議論します。
イベント概要
- 日時:2017年12月8日(金)13:30-17:30(受付開始13:00)
- 会場:経済産業研究所セミナー室(経済産業省別館11階1121)(東京都千代田区霞が関1丁目3番1号 経済産業省別館11階)
- 開催言語:日本語⇔英語(同時通訳有り)
- 参加費:無料
- 主催:独立行政法人経済産業研究所(RIETI)
- 定員:80名
- お問合せ:経済産業研究所 小林
Tel: 03-3501-8398
プログラム
13:30-13:35 開会挨拶
矢野 誠(RIETI所長・CRO/京都大学経済研究所教授)
13:35-14:00 講演1:Standards and IP – From the viewpoint of economics –
Anne LAYNE-FARRAR(Vice President, Charles River Associates)
14:00-14:25 講演2:パテントプールのダイナミックな効果:光ディスク産業の世代間競争からのエヴィデンス
真保 智行(関東学院大学准教授)
14:25-14:50 講演3:FRAND as Private Law and Public Law
Jorge L. CONTRERAS(Professor, University of Utah S.J. Quinney College of Law)
14:50-15:15 講演4:標準必須特許権の行使に関する法的課題―国際比較を踏まえた日本の対応
鈴木 將文(RIETIファカルティフェロー/名古屋大学大学院法学研究科教授)
15:15-15:35 休憩
15:35-17:30 パネルディスカッション
パネリスト(五十音順)
Dina KALLAY(Head of Antitrust (IPR, Americas & Asia-Pacific), Ericsson)
長野 寿一(名古屋大学教授/元経済産業省国際標準化戦略官)
福岡 則子(パナソニックIPマネジメント株式会社ライセンス部担当部長)
三村 哲也(株式会社NTTドコモ知的財産部渉外担当部長)
モデレータ
長岡 貞男(RIETIファカルティフェロー/東京経済大学教授)
*上記プログラムの講演内容および講演者は状況により変更することがありますのでご了承下さい。