East Asia-EU Economic Roundtable 2014

New Developments and Challenges of Regional Trade Agreements

報告書

2014年1月9日北京において、中国社会科学院世界経済政治研究所 (Institute of World Economics and Politics (IWEP), CASS) が主催となり、KIEP (Korea Institute for International Economic Policy)、ECIPE (European Centre for International Political Economy)、The European University Institute (Global Governance Programme)、The University of AdelaideとRIETIの共催で第2回East Asia-EU Economic Roundtableが開催された。今回のEast Asia-EU Economic Roundtableはヨーロッパ、オーストラリアと東アジアの経済学者、およびシンクタンクの政策研究者が一堂に会し、環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)、TPP、FTA、および東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を含むアジア太平洋地域統合、欧州アジア地域統合などについてディスカッションした。ヨーロッパ、オーストラリア、日本、中国、韓国から合計26名の研究者が集まった。日本からは、浦田秀次郎ファカルティフェロー、中富道隆コンサルティングフェロー、川崎研一コンサルティングフェロー、張紅咏フェロー、および木村福成慶応義塾大学教授が出席した。

第1セッションのFocus on Koreaでは、KIEPのKIM Heungchong氏から韓国FTA政策の背景、政策の方向性、およびインプリケーションに関する報告がなされた。同氏は東アジアの生産ネットワークと消費にはボラティリティがあるため、ハイレベルのFTAが必要だと主張した。また、Korea-EU FTAによる貿易が近年拡大していることを示した。これについては、浦田ファカルティフェローより、EUからの輸入増加が韓国の中小企業にネガティブの影響を与えたのではないかなどの問題点が指摘された。韓国のRTA(地域貿易協定)の発展と戦略については、ソウル大学のBARK Taeho教授よりプレゼンがなされた。これについては、川崎コンサルティングフェローから、韓国にとっての交渉相手国の優先順位等が質問された。

第2セッションのFocus on EUでは、第1回East Asia-EU Economic Roundtableの発起人であるSciences Po.(パリ政治学院)のMesserlin教授が欠席のため、ECIPEのBuege氏から代わりにプレゼンがなされた。PTA(特恵貿易協定)における欧州の経験、交渉手段のあり方、世界貿易システムにおける欧州と東アジアの役割などについて説明された後、参加者の間で意見交換が行われた。また、LIN Guijun教授 (University of International Business and Economics) よりTPPとRCEPとの違い、TPPとTTIPとの関係などについてプレゼンがなされた。

第3セッションのFocus on Japanでは、木村教授、浦田ファカルティフェロー、川崎コンサルティングフェロー、中富コンサルティングフェロー、張フェローそれぞれから報告がなされた。意見交換の場においては、TPPの経済的効果、日本の農業政策、貿易ルール、交渉の優先順位などについて議論が行われた。

第4セッションのFocus on Chinaでは、中国社会科学院世界経済政治研究所のZHANG Yunling教授より中国のFTA戦略についてのプレゼン、SONG Hong研究員より中国のTPPへの加盟についてのプレゼン、LI Chunding研究員よりアジアFTAの経済効果のシミュレーション分析の報告などがなされた。