East Asia-EU Economic Roundtable

報告書

2012年12月12日ブラッセルにおいて、Sciences Po.(パリ政治学院)のMesserlin教授が発起人となり、ECIPE(European Centre for International Political Economy)とRIETIの共催でEast Asia-EU Economic Roundtableが開催された。East Asia-EU Economic Roundtableはヨーロッパと東アジアの経済学者、およびOECD、IMFなどの政策研究者が一堂に会し、マクロ経済情勢、通商問題、競争政策、グリーン経済等についてディスカッションするという初めての試みであり、ヨーロッパ、日本、韓国、中国から合計22名の研究者が集まった。RIETIからは、国際マクロプログラムに属する横浜国立大学佐藤清隆教授と学習院大学清水順子教授、および明治大学国際総合研究所松本加代特任准教授が出席した。

第1セッションのA "NEW NORMAL" OF MACROECONOMIC INSTABILITY?では、清水教授から現在RIETIで公開されている日本円の産業別実質実効為替相場データをその他のアジア通貨通貨や欧州通貨に拡張し、それぞれを比較した研究成果が報告された(報告資料参照)。これについては、韓国のPARK Yung‐Chul教授(高麗大学)から、日中韓三カ国の産業別実質実効為替相場の違いが今後検討される日中韓FTAの政策対応の一環としてどのように活用すべきかという問題点を指摘され、またMesserlin教授からはアジア各国の金融協力の推進と関連して産業別実質実効為替相場の政策対話での利用を示唆された。

第2セッションのCONVERGENCE OR DIVERGENCE IN GLOBAL TRADE POLICY?では、西江大学のAhn教授より韓国のFTA政策についてプレゼンがなされ、中小企業がFTAのメリットを享受していない等の問題点が指摘された。続いて中国のLi教授からはTPPとアジアのFTAの枠組みについての比較についてプレゼンがなされた。最後にOECDのRouzet氏よりOECDが行っているサプライチェーンの付加価値分析について概要が説明された。意見交換の場においては、TPPとRCEPがどのような影響を域内、域外に有しうるかという点について、TPPやRCEP等が具体的などのような内容となるかが不明であることの共通認識の下、欧州に対しては貿易転換効果が非常に大きいとの見解もだされた。

第3セッションのNEVER WASTE A GOOD CRISIS: STRUCTURAL REFORMS DURING THE CRISIS"では、オーストラリアのDrysdale教授よりオーストラリアの経済構造改革についてのプレゼン、OECDのBudge氏よりOECDの国営企業についての分析のプレゼン等がなされた。第4セッションのTHE GREEN AGENDA: COMPETITION AND COOPERATIONではMelo氏よりAPECのグリーン産品の関税撤廃等についてプレゼンがなされた。