RIETI政策シンポジウム

『新しい公共』の担い手としてのサードセクター:各法人形態の現状とサードセクター構築への課題

開催案内

社会的、公共的課題に取り組む主体として、政府、企業と並んでNPOへの注目が高まってきたのがこの十数年であった。その延長線上で「新しい公共」の構築という理念が掲げられ、政府、企業、NPOの新しい役割分担構造が探究され始めている。そのなかで、まさにそのNPOをどの範囲で捉えるべきかという問題が浮上しているのが現在の状況である。

一方で、従来NPOの中心的存在として期待されてきた特定非営利活動法人(通称NPO法人)の組織基盤や経営力の脆弱性が指摘されるようになっている。そして他方では、社会的企業、社会起業家、ソーシャルビジネスなどへの注目が高まっている。また、社団法人、財団法人の制度が大きく変化し、一般社団、一般財団が特定非営利活動法人以上のスピードで増加している。さらに、社会福祉法人、学校法人、医療法人なども公共サービス改革の進展のなかで経営力や公益性の強化を迫られている。

こうした動向を踏まえれば、「新しい公共」の担い手として最狭義のNPOである特定非営利活動法人だけを想定するのでは不十分と言わざるをえない。大きな存在感を維持している生活協同組合や農業協同組合などの協同組合も含め、上記のような広義のNPO(民間非営利組織)、町内会・自治会などの地縁組織、公益的活動を主な目的とする企業などを広く包括するサードセクターをこそ「新しい公共」の担い手として設定すべきである。

RIETIでは、2011年初めに、日本において初めてと思われるサードセクター諸組織のほとんどを対象としたアンケート調査を実施した。本シンポジウムでは、このアンケート調査によって明らかになったサードセクター諸組織の法人形態ごとの経営実態、収入構造の現状を紹介したうえで、それぞれの法人形態の実情に詳しい専門家などによるパネルディスカッションを行うことによって、日本のサードセクター諸組織が著しく分断的になってきた経緯や理由、包括的なサードセクターを構築していくうえでの課題、そうして構築されていくサードセクターが政府や企業と並ぶ「新しい公共」の担い手としてどのような役割を果たすべきか、などについて参加者とともに考えていきたい。

イベント概要

  • 日時:2012年7月31日(火)13:30-17:45(受付開始13:00)
  • 会場:全社協灘尾ホール (東京都千代田区霞が関3丁目3番2号 新霞ヶ関ビル)
  • 開催言語:日本語(同時通訳なし)
  • 参加費:1000円(学生証提示の場合は500円)[公印を捺印した領収書を発行いたします。]
  • 主催:独立行政法人経済産業研究所(RIETI)
  • 後援:公益社団法人日本サードセクター経営者協会(JACEVO)、公益財団法人公益法人協会(JACO)、公益財団法人生協総合研究所(CCIJ)、特定非営利活動法人市民フォーラム21・NPOセンター
  • お問合せ:RIETI 松倉多恵子
    Tel:03-3501-8398 Fax:03-3501-8416

※シンポジウム終了後、インターネットにて当日の模様の一部をビデオ映像でご紹介(動画配信)する予定です。また資料も後日、本サイトからダウンロードしていただけます。

【シンポジウム映像の撮影と利用について】

プログラム

13:30 - 13:40 開会挨拶

中島 厚志 (RIETI理事長)

13:40 - 15:00 総論「日本におけるサードセクターの現状と経営課題」

後 房雄 (RIETIファカルティフェロー/日本サードセクター経営者協会代表理事/名古屋大学教授)

15:00 - 15:20 コーヒーブレイク

15:20 - 17:45 パネル・ディスカッション

モデレータ

後 房雄 (RIETIファカルティフェロー/日本サードセクター経営者協会代表理事/名古屋大学教授)

パネリスト:五十音順

青木 信之 (内閣府大臣官房審議官)

太田 達男 (公益法人協会理事長)

栗本 昭 (生協総研理事・主任研究員)

田島 誠一 (社会事業大学教授/財団法人日本老人福祉財団理事長)

藤岡 喜美子 (市民フォーラム21・NPOセンター理事・事務局長)

17:45 - 交流会

*上記プログラムの講演内容および講演者は状況により変更することがありますのでご了承下さい。