イベント概要
議事概要
RIETIは、2008年1月21日(月)、標記シンポジウムを(社)首都圏産業活性化協会(TAMA協会)と共催した。
TAMA協会は、首都圏西部地域(埼玉県南西部、東京都多摩地域、神奈川県県央部)を中心として産学官金のネットワークを形成し、中小企業等による新事業創出に向けた取り組みを支援するための基盤整備を行っており、経済産業省が平成13年度から推進する産業クラスター計画の先導的・モデル的な存在である。
本シンポジウムでは、地域経済の活性化と産業クラスターの更なる発展に向け、『新たな価値の創造に向けて』と題した講演、『産業クラスターの成果と将来展望』をテーマとしたパネルディスカッションを開催した。また、製品・技術発表会『TAMAワザ自慢100』と題し、TAMA地域で活躍する中堅・中小を中心とした企業100社の優れたものづくりの『技術』と『技』をパネルにより紹介した。
基調講演では、ソニー株式会社 技術戦略部統括部長 武田立氏から、ものづくりを取り巻く環境が変化しており、サービスまで含めた一連の流れの中で「ものづくり」を考える必要があること、同様に、イノベーションを単に「技術革新」として捉えるのではなく、社会革新を及ぼすような一連の流れとして捉え、「創造+具現+商業化」のどの部分で貢献が可能かを見いだすことにより新たな道筋が開ける可能性があることなど示唆に冨む講演が行われた。
また、パネルディスカッションでは、産業クラスターに参画するコア企業の経営者、産業クラスターに造詣の深い学識経験者により「産業クラスターの成果と将来展望について」議論が行われた。
産業クラスターの成果としては、各パネリストともに、首都圏西部地域を中心としてTAMA協会が展開するクラスター活動の実績を高く評価。今後、更に、地域が自律的に産業クラスター活動を推進する上での課題・期待として以下のような点が指摘された。
- 首都圏は『出口』・『マーケット』に近いというポテンシャルがある。TAMA協会には、このポテンシャルを他地域が活用できるよう、広域連携とマーケティング面での先導的な役割を期待する。
- 企業間連携を推進する上で必要なのはコーディネートする人。企業シーズを知っている人が実際にコーディネートすることが重要。
- 地域経済の活性化、産業クラスターの更なる発展のためには、TAMA協会のような機関が自立化することが重要。そのためには、広域に展開し、踏み込んだ連携をするべき。中小企業が困っている事業継承・仲介代行役の機能を強化することが重要。
- TAMAには多様な知識と技術が蓄積されている。知識と知識、技術と技術が束になってイノベーションが生まれるところが欧米とは違っている。
- オープンイノベーションは重要なテーマの1つ。TAMAは要素技術開発の担い手になりうる。大企業との開発段階での連携がグローバル競争を勝ち抜く中で重要。
- クラスター活動を推進する組織の中で会員が役割分担する姿勢、仕組みが重要。
- TAMAの実績を認めるのは共通認識。今後も期待でき他地域にとっても活用すべき存在。施策は山ほどある。使い方を伝える翻訳機能、コーディネータ機能が必要。
- TAMA協会自身も新陳代謝が必要で会員自らがコミットしていくことが重要。それが会員自身のメリットになるのが理想像。