RIETI/ADBI アジア通貨危機10周年シンポジウム

アジア通貨危機から10年―危機予防策は万全か?

開催案内

1997年7月2日、タイに始まったアジア通貨危機から今年は10年を迎えます。また、現在進められている東アジア地域統合(東アジア共同体)の推進を中心的に担っている枠組みは「ASEAN+3(日中韓)」の13カ国ですが、その発足もちょうど10年前のことでした。

現在、アジア地域統合の推進に非常に熱心なアジア諸国の関係者(政治家、官僚、学者、経済人)たちの合言葉は、「アジア通貨危機を忘れるな」もしくは「アジア通貨危機はわれわれにとってウェイクアップ・コールになった」というものです。すなわち、危機に陥り辛酸を舐めたアジア諸国にとって、いわばアジア通貨危機が彼らをしてアジア地域統合に本格的に駆り立てることになった原点なのです。

貿易の分野では、今年5月初め、日本・ASEAN EPA(包括的経済連携協定)の枠組み合意が成立し、これで日中韓3カ国のASEANとのFTAの成立に目途がつきました。すなわち、2002年11月の「東アジア・スタディ・グループ」(EASG)の最終報告書に盛り込まれた9つの中長期的な目標の1つである、東アジアFTAの構築に向けて前進したわけです。また、通貨・金融の分野では、同じく今年5月初め、京都で開催された「ASEAN+3」財務相会議で、チェンマイ・イニシアティブ(CMI)のマルチ化―すなわち参加国の外貨を1カ所にプールして一元的に管理しようというもの―の推進について合意がなされました。これらは、いずれも重要な進展といえますが、果たして現状の態勢で、アジアの危機予防策は万全なのでしょうか?

そこで、今回のシンポジウムでは、「アジア通貨危機の教訓」と「アジア地域統合の推進」の2つをキー・ワードとして、危機予防策の現状と今後進むべき方向について、内外の識者をお招きして、議論を深めたいと考えております。アジア通貨危機の教訓を活かし、危機予防の枠組みとしてのアジア地域統合の推進を図るにはどのような道筋が望ましいか、また、それを実現するための方途はどのようなものであるか、などについて議論を展開していきます。

今回のシンポジウムを通じて、内外のさまざまな立場から、アジア地域統合の今後のロードマップの構築について意見が提供されることでしょう。このことにより、アジア地域統合の日本にとっての必要性について、広く一般の方々が認識を一層高められることに貢献できればと、希望いたしております。

イベント概要

  • 日時:2007年6月29日(金) 9:30-18:05
  • 会場:アジア開発銀行研究所(ADBI)会議室 (東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビル8階)
  • 開催言語:日本語⇔英語(同時通訳あり)
  • 参加費:無料
  • 主催:独立行政法人経済産業研究所(RIETI)、アジア開発銀行研究所(ADBI)
  • 後援:日本経済新聞社、東アジア共同体評議会(CEAC)
  • お問合せ:RIETI 松倉多恵子
    Tel:03-3501-8398

※シンポジウム終了後、資料を本サイトからダウンロードしていただけます。

【シンポジウム映像の撮影と利用について】

プログラム

9:30 - 12:50 第1セッション:危機予防・対応の枠組みとしてのアジア地域統合

司会:小川英治 (RIETIファカルティフェロー/一橋大学大学院商学研究科教授)

開会挨拶&基調講演

河合 正弘 (アジア開発銀行研究所(ADBI)所長/東アジア共同体評議会(CEAC)有識者議員)

報告

タノン・ビダヤ (前タイ財務大臣)

ユスフ・アンワル (インドネシア共和国大使/元インドネシア財務大臣)

山下 英次 (大阪市立大学大学院経済学研究科教授/東アジア共同体評議会(CEAC)有識者議員)

黒田 篤郎 (経済産業省通商政策局国際経済課課長)

10:50 - 11:10 コーヒーブレイク

ディスカッション

伊藤 隆敏 (RIETIファカルティフェロー/東京大学大学院経済学研究科(兼)東京大学公共政策大学院教授/東アジア共同体評議会(CEAC)有識者議員)

村瀬 哲司 (京都大学国際交流センター教授)

有吉 章 (国際通貨基金(IMF)アジア太平洋地域事務所所長)

ロバート・アラン・フェルドマン (モルガン・スタンレー証券経済研究主席兼マネージング・ディレクター)

小野 尚 (財務省国際局地域協力課課長)

Q&A

12:50 - 14:00 ランチブレイク (ビュッフェ形式)

14:00 - 17:00 第2セッション:個別国の危機の経験から何を学ぶべきか? 新たな問題は何か

司会:マリオ・ランベルテ (ADBIリサーチディレクター)

基調講演

行天 豊雄 (国際通貨研究所理事長/三菱東京UFJ銀行特別顧問/東アジア共同体評議会(CEAC)副議長・シンクタンク議員)

報告

[タイ]
バハス・バニチ・スパポル (財政政策研究次長)

[マレーシア]
プレマ・チャンドラ・アトゥコララ (オーストラリア国立大学(RSPAS)教授)

[韓国]
ヤン・ドゥヨン (韓国対外経済研究院(KIEP)国際マクロ金融室長)

[インドネシア]
Hendar (Deputy Director of Monetary Policy Bureau, Directorate of Economic Research and Monetary Policy, Bank Indonesia)

[中国]
姚枝仲 (中国社会科学院世界経済政治研究所国際貿易研究室副主任兼副研究員)

15:35 - 15:55 コーヒーブレイク

ディスカッション

北原 淳 (龍谷大学経済学部国際経済学科教授)

小松 正昭 (広島大学大学院国際協力研究科教授)

佐藤 清隆 (横浜国立大学経済学部准教授)

ジャイアン・メノン (ADBI上席研究員)

木下 俊彦 (早稲田大学大学院アジア太平洋研究科客員教授)

Q&A

17:00 - 18:00 第3セッション:アジアは新たな通貨・金融リスクに対応できるか

パネルディスカッション

司会:伊藤 隆敏 (RIETIファカルティフェロー/東京大学大学院経済学研究科(兼)東京大学公共政策大学院教授/東アジア共同体評議会(CEAC)有識者議員)

<ディスカッサント>

河合 正弘 (アジア開発銀行研究所(ADBI)所長/東アジア共同体評議会(CEAC)有識者議員)

山下 英次 (大阪市立大学大学院経済学研究科教授/東アジア共同体評議会(CEAC)有識者議員)

タノン・ビダヤ (前タイ財務大臣)

有吉 章 (国際通貨基金(IMF)アジア太平洋地域事務所所長)

18:00 - 18:05 閉会挨拶

藤田昌久 (RIETI所長・CRO/甲南大学教授/京都大学経済研究所特任教授)

18:15 - 交流会

*上記プログラムの講演内容および講演者は状況により変更することがありますのでご了承下さい。