RIETI政策シンポジウム

Auto Industry Symposium: The 2003 RIETI-HOSEI-MIT IMVP Meeting

イベント概要

  • 日時:2003年9月12日(金)10:00-17:30
  • 会場:法政大学 スカイホール(ボアソナードタワー26F)
  • 開催言語:英語⇔日本語(同時通訳あり)
  • 議事概要

    Ulrich JURGENS (Professor, Social Science Research Center, Germany)

    「『空洞化』について、アウトソーシング、モジュラー化への動きと技術トレンドから」

    独VDAの研究成果によれば、組み立てにおいて自動車メーカーの占める割合は2000年現在で28%であったが2010年には20%に、製品開発における自動車メーカーが占める割合も、現状の70%から50%へと低下すると予測されている。この予測は、2010年には自動車はよりモジュラー度が高まっているだろう、ということを示している。
    技術についてもVDAによればBIW(Body In White)については2002年から2015年までに自動車メーカーの独自技術が占めるシェアは72%から66%へ、部品においても17%から12%へ、エンジン、動力系についても大量生産が進み、シェアは24%から9%へ、シャシー、ドライブトレーンについても31%から13%へという風に技術進歩が早く、伸びつつある分野で軒並み下落すると予測されている。一方プレス、ウェルドといった進歩の速度が遅い分野での独自技術のシェアは維持すると見られている。こういった予測から考えるとこのままではイノベーションのトレンドから自動車メーカーが取り残されるという事態になりかねない。
    最終組立工場も様変わりすると思われる。ドイツにあるVWやポルシェの工場では30ほどしかステーションがない。周りを囲むようにサプライヤーがいてサブアッシーを行い、モジュール納入が行われているのである。しかし、組み立てに占めるサプライヤーの割合が伸びると言うことは調整コストが高くつくということでもある。ドイツの生産性がフランスよりも低いのは調整コストがかさんでいるためと考えられる。外注比率を高めつつ調整力を高めていく必要性がある。
    エレクトロニクスへの対応も必須となってくる。さもないとアーキテクチャの変化、イノベーションに対して受動的にならざるを得なくなると考えられる。
    そしてリロケーションについて。ドイツでは東欧、日本ではASEAN、アメリカは中南米へと製造拠点の移転が始まっている。賃金格差が大きく広がっているため、これを利用しようとするのは自然な流れといえる。日本だと海があるが、欧州は陸続きであるために移転が非常に容易であることも欧州メーカーの製造拠点の移動を促進している。このため、これまで東欧の経済発展はなかなか進んでいなかったがサプライヤーによる東欧への投資が拡大、将来的には自動車メーカーも東欧に進出することが予測されるとともに、中国への投資も拡大してくるであろう。投資先のシフトが始まっている。これは「空洞化」を招いているともいえるが、投資は双方向的なものであり、楽観視しても良いと考える。この投資先のシフトは本質的にはプロセスチェーンが変化しているだけであり、高い機能を実現できる場所と、コストが低い場所への双方向の移動であるといえる。

    文責:東 秀忠