政策シンポジウム他

「21世紀の政策形成」~政策のプロには何が求められるか~

開催案内

90年代における主要先進国の行政改革のテーマは、効率的で小さな政府を目指すために、いかにNPM(New Public Management)的な行政管理手法を導入するかであったといえます。
他方、90年代を通じて、政策形成を巡る環境は複雑化しました。政策形成に求められるスピードと専門性が飛躍的に拡大し、政策は、「市場」の信頼に耐えうるものでなければならなくなり、政策形成における国民国家の役割が相対化しました。
こうした事態を踏まえて、各国の行政の現場においても、90年代を通じて行われた行政管理への民間的手法の導入というアプローチを超えて、新たな環境の下で政策形成を行うための手法やそれを支える行政官等の能力のあり方、さらにその行政内外での育成が課題となっています。 我が国においても、現在検討が行われている公務員制度改革において、New Public Management的なアプローチの採用が検討されているとともに、公務員の人事政策において能力評価を基礎とすることが検討されています。

本シンポジウムにおいては、各国の政府関係者や研究者の参加を得て、次の論点について議論を行うこととしています。

  1. 行政官が政策形成を行ううえで求められる能力に各国でどのような変化が生じているか。
  2. そうした変化をより具体的に捉え、共通認識を得るために、各国で実際に行われた政策形成ケースを使って、有用な政策形成手法、スキルを見いだすことができるか。
  3. それら手法やスキルについて、各国の政策形成プロセスの差異を反映した違いが大きいのか、むしろ、各国間で共有化できるものなのか。
  4. こうしたスキルや手法を修得するうえでの「教育プログラム」として適切なものとしてどのようなものがあるか、特に、行政内部での研修に限らず、公共政策大学院においてこうした政策形成能力の育成を行ううえで、どのようなカリキュラムが適切なのか。

イベント概要

  • 日時:2003年6月6日(金)13:00~17:00、7日(土)10:00~17:45
  • 会場:RIETIセミナールーム(経済産業省別館11階)
  • 開催言語:日本語・英語(日英同時通訳あり)
  • 主催:RIETI、経済産業省
  • お問合せ:RIETI 加藤由紀(Tel:03-3501-8398)

第1セッション概要【参加する各国関係者から、政策形成環境の変化を踏まえて、各国においてどのような政策形成のための能力が求められており、それを実現するためにどのような公務員制度改革が志向されているかについて発表、討論を行います。】

第2セッション概要【各国関係者から自国における具体的な政策形成ケースの発表を行います。その際政策の内容やその当否よりも、政策を形成(問題設定、企画、意見集約、調整、合意形成、実施、評価)していくうえで、各々のステップで工夫し、採用されている手法としてどのようなものがあるか、政策形成に携わる者に求められるスキル・能力としてどのようなものが重視されているか、に重点をおいて議論を行います。
特に我が国の経済産業省、英国の貿易産業省、ドイツの経済省との間では、類似の政策領域における近年の政策形成ケースをいくつか取り上げたうえで、三極比較する共同研究プロジェクトの成果を発表し、政策形成プロセス、用いられている手法、発揮された能力について具体的に比較検討を行います。】

第3セッション概要【第2セッションで抽出された、新たな政策環境の下で政策プロフェッショナルが身につけるべきスキル・能力について、これを効果的に修得していく教育プログラムとしてどのようなものがあるかについて議論します。現在我が国において公共政策大学院の設立の検討が行われていますが、そのプログラムのあり方についても、発表、議論を行います。さらに中央政府のみならず地方政府における政策形成能力の育成のあり方についても発表・議論を行います。】

※シンポジウム終了後、インターネットにて当日の模様の一部をビデオ映像でご紹介(動画配信)する予定です。また資料も後日、本サイトからダウンロードしていただけます。

【シンポジウム映像の撮影と利用について】

プログラム 2003年6月6日 (土)

総合司会:西山 圭太 (RIETIコンサルティングフェロー/経済産業省)

13:00~13:15 開会の辞

青木 昌彦 (RIETI所長/スタンフォード大学)

13:15~13:30 イントロダクション

13:30~17:00 第1セッション:「21世紀における政策プロフェッショナルに求められる能力と公務員制度改革」

コーディネーター:

城山 英明 (東京大学法学部助教授)

報告

ジェフ・マルガン (英国内閣府戦略ユニット長)

齋藤 健 (内閣官房行政改革推進事務局企画官)

エレーン・ケーマーク (ハーバード大学ケネディ・スクール21世紀政府ビジョン研究所長)

コメント

スティーブン・ケルマン (ハーバード大学ケネディ・スクール教授)

飯尾 潤 (RIETIファカルティフェロー/政策研究大学院教授)

西山 圭太 (RIETIコンサルティングフェロー/経済産業省)

ディスカッション

Q&A

17:00~18:30 レセプション

*上記プログラムの講演内容及び講演者は状況により変更することがありますのでご了承下さい。

プログラム 2003年6月7日 (土)

10:00~15:00 第2セッション:「政策プロフェッショナルとして修得すべきスキル・能力は何か~各国の具体的な政策形成ケースに基づいて考える~」

コーディネーター:

西山 圭太 (RIETIコンサルティングフェロー/経済産業省)

報告

クリストファー・フッド (オックスフォード大学教授)

マーティン・ロッジ (ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス講師)

城山 英明 (東京大学法学部助教授)

ディスカッション

Q&A

ランチ

報告

スック・ウォン・リー (ソウル国立大学助教授)

リム・ファイ・チー (シンガポール首相府公務員省21世紀公務員制度室長)

林 良造 (経済産業省経済産業政策局長)

増田 雅暢 (国立保健医療科学院 福祉サービス部長)

コメント

岸本 周平 (RIETIコンサルティングフェロー/財務省理財局国庫課長)

アラスター・モーガン (駐日英国大使館 貿易政策参事官)

ジェラルド・カーティス (RIETIファカルティフェロー/コロンビア大学政治学部教授)

ディスカッション

Q&A

15:00~15:15 コーヒーブレーク

15:15~17:45 第3セッション:「政策プロフェッショナルを育成するためのプログラムのあり方」

コーディネーター:

加藤 淳子 (東京大学法学部教授)

報告

スティーブン・ケルマン (ハーバード大学ケネディ・スクール教授)

金本 良嗣 (RIETIファカルティフェロー/東京大学経済学部教授)

城山 英明 (東京大学法学部助教授)

今村 都南雄 (中央大学法学部教授)

コメント

秋月 謙吾 (京都大学法学部教授)

藤野 達夫 (人事院公務員研修所長)

ディスカッション

Q&A

*上記プログラムの講演内容及び講演者は状況により変更することがありますのでご了承下さい。