著者からひとこと

日本発 母性資本主義のすすめ 多死社会での「望ましい死に方」

著者による紹介文

超高齢社会になって久しい日本では、死亡する人が多くなり、人口が少なくなっていく社会(多死社会)が到来しつつあります。多死社会は過去何度も発生していますが、日本に到来するのは「高齢者を中心とする『長くて緩慢な死』が大量を発生する現象が長期間続く」というものです。

多死社会とともに日本では単身世帯の比重が拡大している(超ソロ化)ことから、「看取り難民」が今後大量に発生することが懸念されますが、現在関心が集まっているAIやビックデータなどの先端技術でこの問題に対処することは不可能です。

多死社会の下では、死をタブー視するのではなくあえて価値付けする(例えば「望ましい死」)という発想の転換が不可欠です。

「望ましい死」を実現するために不可欠な資質は「困った人を助ける」という本能である「母性」です。母性とは女性だけに備わったものではなく、あいまいなことをあいまいのまま受けとめるという知性のあり方であり、時代時代に応じた社会的な特性の一つです。

社会が「母性」に対する価値を再認識すれば、介護など多死社会を支える産業の健全な発展が図れるのではないでしょうか。

このような問題意識から、筆者は現在の資本主義に「母性」を加味することによって、誰もが「満足して死ねる社会」を築くことができると確信しています。

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