著者からひとこと

知的財産イノベーション研究の展望

知的財産イノベーション研究の展望

知的財産イノベーション研究の展望

  • 編:日本知財学会知財学ゼミナール編集委員会
    「第6章 知的財産組織の発展モデル及びイノベーション効果の計測手法」執筆:田村 傑

著者による紹介文

知的財産研究あるいはイノベーション研究において重要性が高まる研究課題に関する論文集

本書籍は日本知財学会の設立10周年記念事業の一貫として2012年に公募により選定された論文を編纂し、刊行されたものです。全部で14編の論文が収録されています。知的財産イノベーション研究の展望の表題のとおり、これまでの研究のレビューと萌芽的な研究分野の抽出を目的とした論文集となっており、知財とイノベーションに関わる研究を行う方々が、俯瞰的に今後の研究課題を理解する上で役に立つものとなっています。

著者の論文は、第6章、「知的財産組織の発展モデル及びイノベーション効果の計測手法」に収録されています。組織構造の違いが、知財戦略にどのような影響を与えるかについて、"structure follows strategy" (Chandler,1962)との考えを敷衍して、日本企業と中国企業(Huawai)の知的財産組織の構造の違い等に焦点を当てて発展モデルを提示しつつ、論究を行っています。この中で、知財分野における技術標準の役割に着目しつつ、社会の多方面で進捗しているデジタル革命は、その本質において情報の規格化による標準化革命("revolution by standardisation")であると論じ、標準化活動に係る管理手法の重要性を論述しています。

採録論文名および著者は以下のとおりとなります。
第1章 特許制度のモデル化とソフトウェア特許の改善(吉田哲・久保浩三)
第2章 経済学的手法により検証する存続期間と特許料に関する知財政策の展望(北田透)
第3章 権利の広さ指標としての格成分数─実社会への活用に向けて─(安彦元・安高史朗)
第4章 知識創造性を高めるモチベーション・マネジメントの研究(金間大介)
第5章 所有から利用へのパラダイムシフトに伴うサービスとデバイスの相互作用
―サービスとデバイスが協働的価値形成を行うための知財マネジメントに関する考察―
(沙魚川久史・小川延浩・妹尾堅一郎)
第6章 知的財産組織の発展モデル及びイノベーション効果の計測手法
―特許と標準の統一的マネジメント―(田村傑)
第7章 産学間共同研究に関する知財研究の今後の方向性についての考察(西尾好司)
第8章 アカデミック・ナレッジはイノベーションに貢献しているか?
―ライフサイエンスに基づく製薬・バイオのイノベーション創出に向けて―
(隅藏康一・齋藤裕美)
第9章 材料イノベーションの形成過程の可視化に向けた 特許指標の提案
―リチウムイオン電池の材料開発を事例とした実証分析―(柴田洋輔)
第10章 医療のためのイノベーション政策の構築に向けて
―科学技術政策と医療制度の整合性をめぐる諸課題―(齋藤裕美)
第11章 一次産業における知財の活用―地理的表示と地域団体商標の展望―(香坂玲・西悠)
第12章 水産業における知的財産取得に向けて(前田敦子・中村宏)
第13章 コンピュータ・ソフトウェアの課税問題
―著作権使用料(所得税法第161条第7号)の課税要件の構築―(細川健)
第14章 日本の知財教育の進展と日中韓における知財教育交流の展開
(世良清・松岡守・村松浩幸・陳愛華・吉日拉・錦秀)

最後に、本書の編集にあたられた日本知財学会知財ゼミナールの編集委員の方々および白桃書房の東野氏、並びに本論文をまとめる機会を頂戴したRIETI(経済産業研究所)の各位にお礼を申し上げます。

[参照]
Chandler, A.(1962) Strategy and Structure, Cambridge: MIT Press.

著者(編著者)紹介