著者からひとこと

産学連携イノベーション―日本特許データによる実証分析

著者による紹介文

産学連携を考える全ての人の必読書

近年、大学発のイノベーションが注目されています。たとえば、バイオ分野ではスタンフォード大学のコーエンとカリフォルニア大学のボイヤーによる遺伝子操作の研究がバイオテクノロジーの端緒となり、医薬産業、化学産業、食品産業などに幅広いインパクトを与えました。日本でも、1998年に大学等技術移転法が制定されるなどして、産学連携を推進しようと官民挙げての取り組みが行われています。

しかし、一口に産学連携と言っても、大学にはさまざまな研究分野があり、企業も多様な分野の技術を活用して多彩な製品を作っています。産学連携はどのような分野で活発なのか、どこの大学で行われた研究成果がどの国の産業で活用されているのか、その研究成果を産み出すための資金はどの国から提供されたのか、産学連携は距離が近い方が活発なのか、産学連携によって産み出された技術は質の高いものなのか、などといった問いは、特に日本ではこれまで十分に研究されていませんでした。

本書は、著者が独自に構築した日本特許のデータベースを用いてこれらの問いに答えようとするものです。そのために用いたのが、サイエンス・リンケージと呼ばれる手法です。これは、特許に引用されている学術論文を手がかりに、科学とイノベーションとの関係を分析するもので、特許一件あたり平均何本の論文が引用されているか、引用されている論文の著者はどこの国のどの研究機関に所属し、どこから資金援助を受けて研究したのかなどを調べる手法です。

これらの分析を通じ、産学連携を考えている企業人、大学等の知財関係者、政府の政策立案に携わる人などが、大学や公的研究機関を活用したイノベーションについての新しい知識を少しでも得ることができたとすれば、これに勝る喜びはありません。

玉田 俊平太

編著者紹介

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玉田 俊平太

関西学院大学経営戦略研究科(ビジネススクール)教授
博士(学術)(東京大学)、MPA(ハーバード大学)

1966年、東京生まれ。筑波大学講師、独立行政法人経済産業研究所フェロー、関西学院大学経営戦略研究科(ビジネススクール)准教授を経て、2010年4月より現職。現在、経済産業研究所ファカルティフェロー、芝浦工業大学技術経営研究センター客員研究員を兼務。研究・技術計画学会評議員。日本経済学会、International J. A. Schumpeter Society会員。専門はイノベーション経営、科学技術政策。