著者からひとこと

金融ビッグバンの政治経済学

金融ビッグバンの政治経済学

経済政策分析シリーズ2
金融ビッグバンの政治経済学

  • 著:戸矢 哲朗
    監訳:青木 昌彦
    訳:戸矢 理衣奈

戸矢哲朗氏による謝辞(原文は英語)

本論文の作成にあたっては、たくさんの方々からご意見やご指導をいただいた。スタンフォード大学のダニエル・オキモト教授、青木昌彦教授、バリー・ワインガスト教授は指導教授として本論文の完成を導いてくださった。ダニエル・オキモト教授は筆者がスタンフォードで学ぶきっかけを与えてくださった。そしてテーマ設定や日本での調査をはじめとした論文執筆の各段階において、日本に対するその深い知識と理解に基づいたアドバイスによって筆者を指導してくださった。教授の存在なくして本論文は完成に至らなかっただろう。その温かなお人柄からも筆者は大いに励まされた。

青木昌彦教授は筆者が本論文に取り組むにあたり、課題を解決するための手段を与えてくださった。本論文は青木教授による、比較制度分析(CIA)の視点から発展した制度変化に関する革新的な枠組みが、現実世界の問題を分析する際の有望なツールとなることを示すものである。理論をさらに磨きあげるために、真摯に研鑽をつまれる青木教授と接することで、どのように社会科学がなりたちうるかについて筆者は多くを学ばせていただいた。

バリー・ワインガスト教授は、日本政治の外部の視点から数々の有益なコメントをくださり、本論文が日本政治研究を越えた汎用性の高い研究になるよう指導してくださった。研究のさまざまな転換点で教授の洞察に富んだフィードバックをいただき、そのたびに筆者は本論の主となる議論と対峙し、改善を試みることとなった。

スティーブン・クラズナー教授から徹底的に鋭いコメントをいただきながら、本研究の基本的な問題意識が形成されていった。クラズナー教授とウォルター・パウエル教授はスタンフォード大学での口頭試問に試験委員として参加してくださり、その際にも論文を改善するためのご提案をくださった。スタンフォード大学の研究者との交流も本論文の完成には不可欠なものだった。トム・ブランディ、ジュディス・ゴールドシュテイン、トービン・イヴァセン、ロナルド・マッキノン、ロジャー・ノル、ジーン・オイ、マイケル・サイズをはじめとした方々である。1999年10月29日に開かれた、スタンフォード大学アジア太平洋研究所(A/PARC)での日本政治経済に関するリサーチプロジェクトの会合に参加された方々のご意見にも大きく刺激を受けた。

スタンフォード大学政治学部の卒業生や在校生の方々の存在も、この研究を進めるうえでのよき推進力であった。竹中治堅はスタンフォード大学の博士課程を3年で修了するという挑戦を行った国費留学生の先輩として、常に親身に相談にのってくれた。ジェニファー・エイミックスは彼女の貴重な調査データを共有させてくれた。彼女はスタンフォード大学での担当講義で筆者に発表の機会も与えてくれた。イヴ・ティベルジアンは数々の助言や必読となる資料を教えてくれた。本書のトピックは、そもそもはわれわれ2人がティーチング・アシスタントとして参加していたアジア産業の興隆に関する講義で、われわれも何か話そうという彼の提案から生まれたものである。吉原麻里子は、3年で博士号を取得し、かつその間に結婚もするという筆者にとっての大いなる挑戦を常に温かく応援してくれた。フィリップ・リーケルト、エイミー・シーライト、河野勝からの助言にも感謝したい。アジア太平洋研究所や政治学部の友人たちとの交流により、大学院生活も通常考えられるよりもずっと楽しいものとなった。

スタンフォード大学アジア太平洋研究所のスタッフの方々と奨学生プログラムのおかげで快適な研究環境に恵まれた。なかでもユミ・オノヤマ、グレート・ジャスパー、クレア・マックラエ、マリア・トヨダ、ロモラ・ブレカリッジにお世話になった。英語表現の校正作業を行ってくれたスーザン・スティービックにも感謝したい。

インタビューの際にも、たくさんの方々が筆者の質問に対して貴重な時間を割いてくださった。なかでも緒方四十郎、榊原英資、塩崎恭久、中川勝弘の4氏は、通常のインタビューに加えて、(キャリア、結婚などの)人生一般における見識をお話しくださり、筆者にとって非常に思い出深い経験となった。

加藤秀樹、香西泰、水野清、西村吉正、野口悠紀雄の各氏、そしてここでは匿名とすべき官僚や金融業界の方々に感謝したい。大蔵省と通産省の友人たちと本音を共有することができたことも、論文作成にあたり大きく役に立った。こうしたなかで、いかに政府は動くのかという問題の全体像を把握することができたように思う。

スタンフォード大学国際問題研究所とジャパンファンドから、論文の作成に対して部分的なグラントをいただいた。スタンフォード大学アジア太平洋研究所と人事院長期海外研修制度も筆者の研究に対して援助をしてくださった。そしてスタンフォード大学での博士号の取得という試みを理解し、支援してくださった大蔵省の寛大な対応に感謝したい。なお、本論文の見解は、筆者が過去に属したいかなる組織の見解とも関係のないものであることを強調しておく。

筆者に学問の面白さを教えてくださった東京大学の先生方にも感謝したい。渡辺浩教授は筆者を政治学研究に導いてくださり、人々の意識や思想の重要性をはじめて気づかせてくださった。六本佳平教授は筆者が社会科学の諸研究に接するきっかけを与えてくださった。また、私が大学で初めて師として仰いだ蓮實重彦東京大学総長は、著者の知の探求への道のりを大学入学のその日から決定づけてくださった。

最後にこの研究に対して励ましとフィードバックを与えてくれた筆者の家族に感謝したい。両親の戸矢博道と清子は妥協のない愛情と支持を与えてくれた。兄の戸矢博明は常に年長者として知見と保護を与えてくれた。戸矢(旧姓・富田)理衣奈はトピックの選択を含め、論文の完成に大きく貢献してくれた。その過程のなかで彼女は筆者の婚約者となり、そして妻となった。婚約の日に約束したように、この論文を理衣奈に捧げる。

2000年5月 カリフォルニア、スタンフォードにて
戸矢哲朗

著者(編著者)紹介

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戸矢 哲朗

1972生まれ。1995年東京大学法学部卒業、大蔵省入省。1997~2000年までスタンフォード大学大学院政治学部に留学し、Ph.D取得。2000年に大蔵省に復職し、経済産業研究所客員研究員(兼務)となる。2001年6月、白血病のため逝去。