プロジェクト概要
2008年度~2010年度
本研究のテーマは「差別化されたサービスを生産する企業の生産性の分析」である。企業・事業所レベルのデータを用いた生産性研究において通常アウトプットとして使用されるデータは売上高(あるいはそれを用いて求められた付加価値)であり、その際のデフレーターは産業レベルのものである。これは、利用可能な統計資料から製品レベルの生産量や価格についてのデータを得ることがほぼ不可能であるためであり、サービス産業においては生産量の定義自体が困難なことも含めてこの制約はとりわけ厳しい。また、製品(サービス)の多様化が推計される生産性に与える影響も無視されている。加えて、推定される生産性の変動はマークアップや需要ショック(企業レベルでの消費者選好の変化など)も含んだものであり、厳密な意味での生産性の変動とは一致していない可能性がある。そこで本研究では以下の論点に関して研究を行う。
1)個別の生産物(サービス)価格・数量データが利用できないという現実の制約条件下において、製品(サービス)差別化を明示的に取り入れたモデルによる生産性推定
2)その結果(規模の経済性や生産性ダイナミクスなど)に関する既存研究との比較および企業特性・戦略、産業政策などの効果分析
プロジェクト期間: 2008年6月23日 〜 2010年6月 3日