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2007年度政策研究領域(基盤政策研究領域)

I. 少子高齢化社会における経済活力の維持

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他国に例を見ない急激な少子高齢化の中で、我が国の経済活力を維持していくため、経済構造改革推進のための方策、女性、高齢者、若者などの労働力参加率の上昇、労働と資本の生産性の向上、最適な世代間、世代内の給付・負担のバランスを確保する社会保障制度のあり方、効果的な財政政策と財政均衡の回復のあり方に関する多面的かつ統合的な研究を行う。

1. 少子高齢化のもとでの経済成長

活動期間:2007年9月1日〜2009年12月31日

プロジェクトリーダー

吉川 洋ファカルティフェロー

サブリーダー

岡崎 哲二ファカルティフェロー

プロジェクト概要

少子高齢化のもとで我が国の経済活力を維持していくためには、生産性の向上や技術進歩などに関する統合的な研究が必要である。本プロジェクトは、そうした政策課題を強く認識しながら、さまざまな角度から経済成長のメカニズムの解明を図ろうとするものである。経済成長にかかわる既存研究が多分にTFP中心であったのに対して、本プロジェクトにおいては、試行的な研究や周縁的な研究まで含めて広範なテーマを取り扱う。とりわけ、従来から実証研究の乏しいプロダクト・イノベーションの役割についても研究を行う。

主要成果物

RIETIディスカッションペーパー

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2. 新しいマクロ経済モデルの構築および危機時における経済政策のあり方

活動期間:2007年7月1日〜

プロジェクトリーダー

小林 慶一郎上席研究員

プロジェクト概要

日本経済の動向やサブプライムローン問題に揺れる米国経済の動向などを分析するための定量的景気循環モデル(マクロ経済モデル)を構築し、シミュレーションなどによって、マクロ経済政策の政策評価に役立てることを目指す。特にNews Shock(将来の経済状態についての期待やニュース)がもたらす景気変動や、経済が収束する定常均衡が無数にあり得る場合にどのような景気変動が起きるか、という問題を分析する。またこれに関連して、平成17年度から発展させているBusiness Cycle Accounting(BCA)の手法をさらに精緻化する。さらに、軍事的な有事などの危機が発生した場合に、経済システムを正常化するために、どのような政策対応が必要となるのかを、諸外国のケーススタディや想定されるシナリオなどを収集し分析する。

主要成果物

RIETIディスカッションペーパー

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3. ITと生産性に関する実証分析

活動期間:2007年7月1日〜2008年6月30日

プロジェクトリーダー

元橋 一之ファカルティフェロー

サブリーダー

松浦 寿幸研究員

プロジェクト概要

90年代後半以降、日本企業は積極的にIT投資を行っているのにもかかわらず、その生産性に対する効果は限定的であるといわれている。ITは幅広い産業において活用され、特に非製造業におけるビジネスイノベーションを実現するための重要な補完的技術である。従って、ITの有効な利活用を進めることは、マクロレベルでみたTFPの動向にも大きな影響を及ぼすものと考えられる。本プロジェクトでは、ITイノベーションの実態と生産性に対するインパクトについて国際的な比較分析を行う。日本のエレクトロニクス産業やソフトウェア産業における生産性の決定要因は何か? 日本企業においてITの利活用は効果的に行われていないのか? もし、そうであればその原因は何か? という問に対して、マクロ、ミクロの両面からの実証分析を総合的に行う。

主要成果物

RIETIディスカッションペーパー

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4. 社会保障問題の包括的解決をめざして:高齢化の新しい経済学

活動期間:2007年9月1日〜2009年3月31日

プロジェクトリーダー

市村 英彦ファカルティフェロー

サブリーダー

清水谷 諭ファカルティフェロー

プロジェクト概要

世界的に例を見ない高齢化のスピードを経験する中で、高齢者の生活の質を落とすことなく、持続的な社会保障システムを構築することが不可欠である。このプロジェクトは、これまでの医療・介護・年金ごとの分野別アプローチやマクロモデルを使ったシミュレーション分析の限界を超え、高齢者の多様性を前提にしたミクロ的かつ包括的な市場指向型の「新しい」アプローチを実現する。既に平成17年度プロジェクトで実施したパイロット調査や同様の高齢者調査(HRS/ELSA/SHARE)の知的支援も十分に踏まえ、「世界標準」の中高年者パネル調査を開始する。健康状態、経済状況、家族関係、就業状況、社会参加といった多面的でかつ国際的に比較可能なデータ収集を行い、豊富なミクロデータを踏まえた“Evidence-based Policy Making”を日本の社会保障政策分野で確立するとともに、日本の経験を踏まえて諸外国の政策立案にも貢献する。

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5. 社会保障研究:社会保障財政シミュレーションモデルの開発

活動期間:〜2007年9月30日

プロジェクトリーダー

深尾 光洋ファカルティフェロー

サブリーダー

中田 大悟研究員

プロジェクト概要

急速な高齢化の進展により、将来的な社会保障財政負担増大がわが国の経済活力維持に対する懸案材料となっている。社会保障財政の将来負担および将来給付の見通しを得るためには、わが国の社会保障制度を的確に反映させた財政シミュレーションモデルの構築が不可欠である。そこで本プロジェクトでは、これまで当研究所で開発してきた年金シミュレーションモデルを用いた年金財政分析を中心的に展開しつつ、その他の社会保障分野における分析も進めることで、年金・医療・介護・福祉財政を包括的に分析できるシミュレーションモデルを構築し、少子高齢化社会における経済活力と共存可能な社会保障の給付と負担のあり方を検討する。

主要成果物

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6. イディオシンクラティック・リスクと経済変動

活動期間:2007年5月18日〜2008年6月30日

プロジェクトリーダー

中嶋 智之ファカルティフェロー

プロジェクト概要

経済におけるリスクには2種類ある。経済全体のリスク(Aggregate Risk)と、個々の経済主体の直面するリスク(Idiosyncratic Risk)である。完全な金融市場の下では、Idiosyncratic Riskは完全に保険することができるので問題とはならないが、不完全な金融市場のもとでは、マクロ経済政策を考える上で重要なファクターとなる。いわゆる「格差問題」も、金融市場の不完全性の下でIdiosyncratic Riskのもたらす問題の1つとみなすことができる。そのようなIdiosyncratic Riskが存在する場合の望ましいマクロ経済政策について理論的・数量的に分析することが本プロジェクトの課題である。

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