プログラム (2016年度-)

2016年4月から4年間の第4期中期目標期間においては、過去15年間の成果を発展的に継承し、引き続き「知のプラットフォーム」としての機能を高め、国際的にも一層高く評価される政策シンクタンクを目指してまいります。

プログラム

マクロ経済と少子高齢化

長期的な成長の持続が世界経済の共通の課題となる中、我が国は他国に先駆けて急激な少子高齢化に直面している。我が国の経済活力を維持し、今後の世界経済の発展に貢献する政策提言に資する研究を展開する。具体的には、アジア地域のバスケット通貨の役割など制度インフラの検討、国際金融と世界経済動向、長期デフレのメカニズムなどを分析する。また、包括的高齢者パネルデータの分析、社会保障と税制を一体とした改革の方向性、景気回復・財政再建へ向けての政策提言などに関する多面的かつ統合的な研究を行う。

貿易投資

グローバル化の中で我が国の経済政策を検討するに当たっては、国際貿易・海外直接投資の理解が一層重要化している。そこで、このプログラムでは、企業活動の国際化(輸出・海外生産)に注目しつつ、企業の国際的な取引ネットワークについて理論的・実証的に研究するとともに、貿易政策や国際的な貿易・投資ルールに関して実証面、法制度面からの研究を行う。

地域経済

日本の地域をグローバル経済の中で捉え、国際貿易や資本・労働の移動や技術変化が都市、地域、あるいは産業に与える影響を検討し、少子高齢化や地方創生などの重要な政策課題に向けた提言等につなげていく。具体的には、地方における移出産業の機能と地域内経済循環の促進、地域金融機関の機能強化、最先端情報技術や輸送インフラを活用する社会制度づくり、国際的生産ネットワーク(バリューチェーン)の活用と強靭化への対策、経済空間構造と整合的な統計指標の作成と政策立案枠組みの形成、などについて検討する。

イノベーション

新たな知識の創造と問題解決への活用がイノベーションの根幹であり、その過程を把握できるオリジナルなデータの開発を行い、それによる国際水準の研究とエビデンス・ベースの政策形成に貢献する分析を行う。具体的には、産業のイノベーション能力、特許制度など知的財産制度のあり方、オープン・イノベーション、知識移転と人材移動、産学連携、技術標準、イノベーションを促進する企業組織・産業組織などを分析する。

産業フロンティア

情報処理の高度化と通信網の進化という基幹技術のイノベーションによって、世界の主要国のみならずわが国においても、産業構造に変化の兆しが見られ始めている。センサー技術を用いたIoT(モノのインターネット)を通じて、膨大な非構造化データが入手可能になり、AI(人工知能)の技術もいよいよ実用化されてきている。新たな産業のフロンティアが芽生えつつあるわが国において、従来型の個別産業の政策に加えて、産業横断的な政策を視野に入れて、わが国経済が直面する課題を乗り越えるための政策のあり方などについて研究を行う。

産業・企業生産性向上

日本および東アジア諸国について、産業・企業の生産性とその決定要因を計測し、生産性向上政策の研究を行う。産業レベルでは、一橋大学と協力して日本と中国の産業生産性データベース(JIPおよびCIP)の更新・拡張を進めると同時に、日本の都道府県別産業生産性データベースを構築し、地域間TFP格差やそれを引き起こしている要因等を分析する。企業・事業所レベルでは、内外の政府統計ミクロデータや企業財務データを活用して、企業間生産性格差の決定要因、グローバル化や需要変動が企業のパフォーマンスに及ぼす影響、サービス産業における生産性向上政策、日中韓企業間の生産性格差動向や生産性ダイナミックスの国際比較などについて研究する。またイノベーションと生産性向上の源泉である、研究開発、ソフトウェア、企業内訓練、組織改編等の無形資産投資を、産業・企業レベルで計測しその経済効果を分析する。

人的資本

急速な高齢化の進行による人口減少、グローバル競争の強まりなどの中で、資源小国である日本がその強みを活かしながら、経済活力・革新を維持・強化し、成長力を高めていくためには、人的資源の活用が大きなカギを握っている。労働者のインセンティブや能力を高めるような労働市場制度のあり方、幼児教育から高等教育、さらに、就業期の人材育成、高齢者の活用まで含めた、ライフサイクル全体の視点および女性活躍を含めたダイバーシティ推進の視点から雇用制度・システムの再構築、人的資本・人材力強化の方策などについて多面的、総合的な研究を行う。

法と経済

世界経済では、金融サービス、情報・通信、生命科学などの分野で加速度的に技術革新が進むと考えられる。その中で、世界をけん引するイノベーションを引き起こすには、何が必要なのだろうか。日本でも、欧米でも、自由参入が保障された市場で画期的なイノベーションが起きたケースが多い。自由参入を保障するには、競争法をはじめとして、さまざまな法律や制度が整備されていなくてはならない。本プログラムでは、法と経済学の視点から、今後のイノベーションの活性化にむけ、新しい経済産業政策のあり方を解明する。

政策史・政策評価

20世紀末の日本の経済社会と通商産業・経済産業政策が果たした役割を考察するにあたって、1980年から2000年を中心とした政策の変遷を振り返り、評価することが本研究の目的である。20世紀末の20年間は、日本の経済社会にとって意味のある変化の時期であると同時に、経済産業省発足後の政策展開を歴史的な視点で考察する上で、重要な比較対象となる。本研究は、世紀の転換期に訪れた通商産業政策の変化が、それまでの四半世紀の政策課題の認識やそれに対応した政策手段の選択、さらにはその結果に対する評価等にもとづいてどのようにもたらされたものかを明らかにしようとするものである。

特定研究

RIETI第4期の研究体制について

RIETIは第4期中期計画(2016〜2019年度)において、「経済産業政策を検討する上での中長期的・構造的な論点と政策の方向性」を念頭に、「日本再興戦略」等政府全体の中長期的な政策の方向性を踏まえ、3つの新たな経済産業政策の「中長期的な視点(下図参照)に沿って研究を推進することが求められています。第4期の研究テーマは、これらの視点を常に踏まえることを基本方針として、個々の研究テーマのうち一定のまとまりを持つ政策研究分野として9つのプログラムを設定し、これらプログラムの下にそれぞれ複数の研究プロジェクトを設けることとしています。なお、研究の進捗状況や経済情勢の変化に伴う新たな研究ニーズを踏まえ、必要があればプログラムの変更・追加等を行うこととします。

第4期研究(概念図)

研究プロセス

研究の質を高める目的で、国内外の専門家や政策当局者を交えた議論の場(ブレインストーミング・ワークショップ、DP・PDP検討会)を設けています。

研究プロセスのイメージ