RIETI・AEI共催コンファランス

日米経済の現状と将来-21世紀の新たな日米関係

イベント概要

  • 日時:2001年4月27日(金)9:15-13:20
  • 会場:経済産業研究所会議室(経済産業省別館11F E19・21号室)
  • 開催レポート

    米新政権に大きな影響力を有するアメリカン・エンタープライズ研究所の研究員と日米の有識者を交えて、日米の経済の現状と経済政策の方向性について議論すると共に、経済・安全保障の両面から21世紀の日米関係のあり方について議論しました。
    日本経済に関しては、これまでの政策やシステムが日本経済の競争力のあるセクターの力を殺ぎ、非効率なセクターを残存させてきたことが経済低迷の原因であり、中長期的な経済活性化のためには、短期的な景気回復自体を目標としたマクロ経済政策ではなく、制度的な転換の促進を含む経済構造改革の断行以外に選択肢はなく、それなくしては景気回復自体も不可能との意見が相次ぎました。同様の認識を表明し構造改革を前面に打ち出して成立した小泉新政権への期待感も聞かれました。また、既に多くの構造改革のための政策メニューが示されており、これからは民間セクターが如何にこれらを活用して現実に経済構造改革を実現させていくかに焦点が移っていることが伺える、その意味でも経済構造改革の主役は「官」から「民」に転換しつつあるとの認識も示されました。

    日米経済関係に関しては、グローバリゼーションの流れを踏まえて、両国間でより自由に財貨・サービス・資本・人・情報が移動できるようにするための制度改革の枠組みを検討し、日米の経済連携を強化してアジア太平洋のペースメーカーになるべきとの議論がなされました。また、両国経済の統合強化の具体策として、日米友好通商航海条約を改訂して両国間の制度的ハーモナイゼーションを進めることにより日米共通市場を創設するべきであり、その推進のために両国関係者による経済統合委員会を設けて両国政府に提言すべきとの意見も示されました。
    安全保障面においては、日本に対し、米国のパートナーとしてアジアにおいてより積極的な活動を求めるという考え方と、現実問題としては国内的障害が大きいとの観測が示されました。また、従来、米国を中心とした二国間関係の収束体制(Hub&Spokes)に固執してきた米国関係者達が集団安全保障の可能性を示唆し始めており、その障害は日本の戦後問題の解消と過度の自制と見られているとの意見も出されました。
    日米関係全般の問題として、アジア全体の安定のためにも日米の安全保障協力の強化と経済連携の強化を整合的に進めていくべきとの意見も出されました。