ワークショップ

日本の労働市場政策に向けて―女性・教育・貧困・災害―(開催報告)

イベント概要

    • 日時:2017年5月22日(月)14:00-18:00
    • 場所:経済産業研究所 国際セミナー室(1119&1121会議室)

開催報告

2017年5月22日、RIETIにおいて、プロジェクト「日本の労働市場の転換―全員参加型の労働市場を目指して―」(リーダー:川口大司ファカルティフェロー)の政策ワークショップ「日本の労働市場政策に向けて―女性・教育・貧困・災害―」が開催された。厚生労働省や経済産業省をはじめとする労働政策担当者とジャーナリストを招き、プロジェクトメンバー4名がプロジェクトの成果を報告し意見交換を行った。そこで報告された近日中にRIETIディスカッションペーパーとして刊行予定の4本の論文の概要は以下のとおりである。

勇上和史氏は生活保護制度が労働供給に与える影響を分析した。市町村合併に伴う保護額の引き上げを自然実験として用いた分析は、限定的ではあるものの労働参加を抑制する効果があることを指摘した。

近藤絢子氏は東日本大震災の発生がサプライチェーンの寸断を通じて被災地以外の雇用にどのような影響を与えたかを分析し、その影響が限定的であることを指摘した。その一方で、自己申告によると震災の影響によって離職したものが多いことを指摘し、推定の方法によりその影響には乖離がみられることを発見した。

田中隆一・井上敦の両氏は教師の教え方や教師のバックグラウンドが生徒の学力達成に与える影響を推定した。その結果、目標を明示した授業を行うことや、自然科学系学部を卒業した理科教員が教えることが生徒の学力を向上させることを明らかにした。

川口大司氏はスキルならびにスキル利用の男女差を国際比較する分析を行い、育児休業期間の長さが女性の就業促進と相関する一方で、働いている女性のスキル利用と逆相関することを発見した。長い育児休業は女性の就業継続を促す一方で、女性を労働市場における補助的な立場に固定化する傾向があることを示唆する分析結果である。

それぞれの発表に対して政策担当者から質問や意見が出された。発表そのものに対する意見交換がなされるとともに、災害発生時の失業保険や雇用調整助成金の特例的な運用に対する政策評価の重要性が政策担当者・研究者双方で確認されるなど、今後の研究の方向性に関して一定の意見の一致を見ることができた。