RIETI政策シンポジウム

ワーク・ライフ・バランスと男女共同参画

開催案内

雇用の機会均等法が施行されて20年を過ぎ、男女共同参画基本法が制定されて早や8年目となりますが、わが国の男女共同参画は遅々として進んでいません。国連開発計画(UNDP)が導入した、女性が積極的に経済活動や政治活動に参加し意思決定に参画している程度を測るGEM指数によると、わが国は2006年時点で75カ国中未だ42位です。本シンポジウムは、その遅き流れを加速することにワーク・ライフ・バランスの達成がどう寄与できるかを考えるために開催します。

ワーク・ライフ・バランスの達成と男女共同参画には強い関連があります。早い年代に女性の高い就業率を達成した北欧諸国は、育児休業の推進や託児所の充実など仕事と育児の両立を高める国の施策を通して就業女性の負担を取り除くことに力を注いできました。一方米国では、ワーク・ライフ・バランスは主として民間ベースで「家族に優しい」職場環境の達成に努めてきました。このように国々の方策は異なるものの、ワーク・ライフ・バランスは先行した女性の高い就業率や男女共同参画を支えるために提唱されてきました。一方わが国の場合、ワーク・ライフ・バランスは「男性は仕事中心、女性は家事育児中心」という伝統的な男女の役割分業を見直し、男性も家庭生活を大切にするという選択肢を持ち、女性も仕事を生きがいとするという選択肢を持つという、より男女が平等で柔軟な社会を実現するための指針となっています。ワーク・ライフ・バランスは欧米のように先行する男女共同参画を後押しするのでなく、今後の男女共同参画社会実現を牽引する役割が期待されています。

今回のシンポジウムは、ワーク・ライフ・バランスと男女共同参画の推進について、目的は基本的に異ならないものの、その具体的手段や道筋、あるいは前提となる条件の把握において、やや意見を異にすると考えられる第一線の専門家たちにペアとなって討論していただき、問題の共通理解を深めることを意図して企画されました。それに先立ち、始めに板東久美子内閣府男女共同参画局長に男女共同参画の現状について語っていただきます。

第1セッションでは「労働ビッグバン」の提唱者である八代尚宏国際基督教大学教授に労働市場の自由化が女性の人材活用とワーク・ライフ・バランスの達成にもたらす利点についてお話いただくとともに、労働市場の自由化推進には周到なデザインが必要だとお考えになる樋口美雄慶應義塾大学教授に、八代教授とはやや異なる視点を提示していただきます。

第2セッションでは、わが国においてワーク・ライフ・バランスの達成の重要性の認識において異ならないものの、その道筋と前提の理解について自由主義的でライフスタイルの選択に中立的な政策の重要性を強調される佐藤博樹東京大学教授と、実証的なジェンダー研究の観点から、佐藤教授の「楽観的」お考えに懐疑的な御船美智子お茶の水女子大学教授に討論していただきます。

第3セッションでは欧州諸国の子育て事情に詳しい池本美香日本総合研究所主任研究員に経済的生産性や効率性向上の発想に結びつく両立支援や子育て支援のありかたの問題や限界をお話いただくとともに、同じく欧州諸国でのワーク・ライフ・バランスの実情に詳しい権丈英子亜細亜大学准教授に、広い意味での経済的合理性の考え方とワーク・ライフ・バランスの達成は矛盾するのか否かを議論していただきます。

第4セッションでは「女性はいずれ離職するからコストを生む」という理由で企業が女性一般に対して行ういわゆる「女性の統計的差別」が合理的根拠を持つのか否か、また統計的差別はどう解消できるのかについて社会学者の山口一男シカゴ大学教授と、関連する情報の経済学に詳しい阿部正浩獨協大学准教授に、各々の観点を議論していただきます。

本シンポジウムを通じて、多くの方々とワーク・ライフ・バランスと男女共同参画の推進について問題意識を共有することができればと考えています。

イベント概要

  • 日時:2007年8月28日(火) 9:45-18:00
  • 会場:経団連会館 国際会議場 (東京都千代田区大手町1-9-4 経団連会館11階)
  • 開催言語:日本語(同時通訳なし)
  • 参加費:1000円(交流会費を含む)[公印を捺印した領収書を発行いたします。]
  • 主催:独立行政法人経済産業研究所(RIETI)
  • 後援:内閣府男女共同参画局
  • お問合せ:RIETI 原田朋子 Tel:03-3501-8398

※シンポジウム終了後、資料を本サイトからダウンロードしていただけます。

プログラム

オーガナイザー:山口 一男 (RIETI客員研究員/シカゴ大学社会学部教授)

共同オーガナイザー:樋口 美雄 (慶應義塾大学商学部教授)

総合司会:パク・ジョアン・スックチャ (アパショナータ, Inc. 代表)

9:45 - 10:30 イントロダクション:本シンポジウムの目的と意義について

9:45 - 9:50 自己紹介

パク・ジョアン・スックチャ (アパショナータ, Inc. 代表)

9:50 - 9:55 開会挨拶

藤田 昌久 (RIETI所長・CRO/甲南大学教授/京都大学経済研究所特任教授)

9:55 - 10:15 後援者挨拶および講演

板東 久美子 (内閣府男女共同参画局長)

10:15 - 10:30 謝辞・イントロダクション

山口 一男 (RIETI客員研究員/シカゴ大学社会学部教授)

10:30 - 12:00 第1セッション:女性の人材活用とワーク・ライフ・バランス:米国モデルは有用か?

モデレータ:山口 一男 (RIETI客員研究員/シカゴ大学社会学部教授)

10:30 - 10:55 プレゼンテーション

八代 尚宏 (国際基督教大学教養学部教授)

10:55 - 11:20 プレゼンテーション

樋口 美雄 (慶應義塾大学商学部教授)

11:20 - 11:45 講演者相互コメントと応答

11:45 - 12:00 質疑応答

12:00 - 13:00 ランチブレイク

13:00 - 14:30 第2セッション:ワーク・ライフ・バランス:その前提と道筋

モデレータ:樋口 美雄 (慶應義塾大学商学部教授)

13:00 - 13:25 プレゼンテーション

御船 美智子 (お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授)

13:25 - 13:50 プレゼンテーション

佐藤 博樹 (東京大学社会科学研究所教授)

13:50 - 14:15 講演者相互コメントと応答

14:15 - 14:30 質疑応答

14:30 - 16:00 第3セッション:ワーク・ライフ・バランス:経済的発想の功罪

モデレータ:山口 一男 (RIETI客員研究員/シカゴ大学社会学部教授)

14:30 - 14:55 プレゼンテーション

池本 美香 (日本総合研究所主任研究員)

14:55 - 15:20 プレゼンテーション

権丈 英子 (亜細亜大学経済学部准教授)

15:20 - 15:45 講演者相互コメントと応答

15:45 - 16:00 質疑応答

16:00 - 16:20 コーヒーブレイク

16:20 - 17:50 第4セッション:女性の統計的差別解消への道筋

モデレータ:樋口 美雄 (慶應義塾大学商学部教授)

16:20 - 16:45 プレゼンテーション

山口 一男 (RIETI客員研究員/シカゴ大学社会学部教授)

16:45 - 17:10 プレゼンテーション

阿部 正浩 (獨協大学経済学部准教授)

17:10 - 17:35 講演者相互コメントと応答

17:35 - 17:50 質疑応答

17:50 - 18:00 閉会挨拶

及川 耕造 (RIETI理事長)

18:00 - 19:30 交流会

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*上記プログラムの講演内容及び講演者は状況により変更することがありますのでご了承下さい。