地域資源活用企業による地域活性化に関する政策的考察

執筆者 中西 穂高  (上席研究員) /坂田 淳一  (東京工業大学) /鈴木 勝博  (早稲田大学) /細矢 淳  (早稲田大学)
発行日/NO. 2013年3月  13-J-017
研究プロジェクト 地域活性化システムの研究
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概要

近年、地域資源を活用した地域活性化の取り組みが多くみられるが、いずれも小規模で地域活性化効果は明らかでない。地域資源を活用した地域活性化のためには、地域資源を活用した企業が成長するプロセスを示すことが必要である。このため、地域の企業を、取引先との地理的位置関係により「地産地消型」、「地域企業成長型」、「消費地立地型」、「県際活動型」の4類型に分類した。その上で、地域資源を活用してスタートした「地産地消型」企業が、規模を拡大して地域外の市場に進出して「地域企業成長型」企業、あるいは、さらに規模を拡大して「県際活動型」企業となるという地域資源活用発展モデルを提案した。

各類型に属する企業の活動について東京商工リサーチの企業データおよび特許データを用いて分析すると、東北地方では域外からの誘致企業が売上高上位を占めるのに対し、瀬戸内地方では地域資源活用企業の活動が活発で、イノベーションへの取り組みも積極的であった。また地域企業成長型企業および地元資本の県際活動型企業は、地域技術の創出への取り組みが活発であることも明らかになった。立地企業の類型による企業活動の相違は、東北地方と瀬戸内地方の経済状況の相違と整合的である。

地域資源を活用した取り組みが地域経済活性化に結び付いていくためには、地域資源活用の取り組みを支援するだけでなく、地元の小規模な地産地消型企業のイノベーションを選択的に支援することで地域外への活動拡大を促進し、地域企業成長型企業、県際活動型企業へと成長させていくことが重要である。