Research & Review (2005年6月号)

日本のコンピュータ・家電産業
マルチサイド・ソフトウェア・プラットフォームの可能性

はじめに

現代のハイテク産業のうち、コンピュータあるいはそれに関連するシステムに基礎をおくものがますます増えてきている。PC、PDA、ビデオゲーム、デジタルテレビ、スマート携帯電話、iモードやiPodといったデジタルコンテンツ・キャリアのみならず、家電製品においても、コンピュータ・システムの個々のコンポーネントが重要な役割を果たすようになっている。中でもソフトウェア・プラットフォームは、アプリケーションの開発を促進し、消費者にとって統合されたシステムとしての価値を高めるという意味で、今後のコンピュータ・システムの鍵を握る存在といえる。ソフトウェア・プラットフォームはまた、他のコンポーネントとどこまで統合されるかによってコンピュータ・システムの構成や発展にも影響しうる。

コンピュータ・システムはマルチサイドプラットフォーム市場からできている。マルチサイドプラットフォームとは2つ、あるいはそれ以上のはっきりと区別でき、重要な相互依存関係にある顧客が同時に参加することによって、各々にとって高い価値が生じるようなマルチサイドプラットフォームに基づくビジネスをいう。例えばウィンドウズは、アプリケーション開発者、ハードウェア・メーカー、エンドユーザーの三者にサービスを提供する、スリーサイド・プラットフォームである。この場合、三者のうちどれか1つでも欠けるとプラットフォームはなりたたない。こうしたマルチサイドプラットフォームについては、その価格設定と事業戦略に関する興味深い研究も進んでいる。

マルチサイドプラットフォームが中心的存在である市場の中には、シングルサイド市場としても将来性を持つものもある。市場に依存せずコンポーネントを供給するという、垂直統合に向かう選択肢だ。たとえばiPodは、理論上はマルチサイドプラットフォームとして展開可能だが、アップル社は全面的に一体化したシングルサイド製品というビジネスモデルを構築する道を選んだ。同社はハードとソフトの双方を製造するほか、独自のコンテンツサービスを提供するため、他社と競合しつつコンテンツも購入している。同業他社の中には、消費者が第三者から音楽などのコンテンツを購入できる場として、インターネット上のポータルを提供するマルチサイドアプローチのほうが得策と判断するケースもあるだろう。

筆者は、こうしたソフトウェア・プラットフォームをとりまく産業の構成や、経済やビジネスに与える影響に注目し、デヴィッド・エヴァンズ、リチャード・シュマレンジーらと分析を行ってきた。その研究結果は既に論文として発表されているほか、近く書籍の形にまとまる予定のため、ここでは簡単に紹介し、日本のコンピュータ・家電産業にとっての教訓についてもふれたい。重要なことは、マルチサイドソフトウェアプラットフォームがコンピュータに基盤をおく産業の主役であるということであり、それを理解することで近年、日本の電子製品メーカーの相対的競争力が低下した理由も説明できる。日本が、デジタル家電において比較優位を取り戻し維持する上で、関係官庁にとっても政策立案の一助ともなろう。

コンピュータに基盤をおく産業におけるツーサイドソフトウェアプラットフォーム

共同研究の対象となったのは、コンピュータに基盤をおく産業、すなわちパソコン、ビデオゲーム、PDA、スマート携帯電話、デジタル・メディア機器の5つである。コンピュータに依存する業種がこのように増えた背景には、マイクロプロセッサやメモリの小型化・低価格化(※1)があげられよう。いうまでもなくこれらの製品には大抵、マイクロプロセッサとOSからなる高性能のコンピュータ・システムが内蔵されている。各製品の核はコンピュータ・システムであり、このコンピュータシステムが中心となって、それを補完する製品、すなわちソフトウェアアプリケーション、ハードウェア、ゲーム、コンテンツ等がその周囲で開発される形で、マルチサイド市場が形成されるのである。研究では、現下の産業組織、現在の市場構造を作り出してきた進化の過程、及びプラットフォーム・ビジネスモデルという3つの観点から分析を行った。

(1)ツーサイド・プラットフォームを中心とする産業組織
先述したように、今回対象とする産業はプラットフォームを中心に編成され、そのすべてが何らかのソフトウェアを核に据え、一部はハードウェアと一体化されている(図1)。パソコン、ゲーム、PDA分野での主要プラットフォームは現在、1)純粋なソフトウェア・プラットフォーム(ウィンドウズ、リナックス、パーム)、もしくはハードとソフトが一体化したプラットフォーム(プレステ、Xbox、マック)のいずれかであった。一方携帯電話の場合は、シンビアンやウィンドウズCEのようなOSと、iモードのように通信業者によるサービスという二種類のソフトウェア・プラットフォームが同時に存在する。どちらもアプリケーションとコンテンツをサポートすることができ、その間の技術的関係が常に複雑なのが特徴である。

図1 ソフトウェア・プラットフォーム層
図1 ソフトウェア・プラットフォーム層
図2 コンピュータ基盤業界での垂直分解
図2 コンピュータ基盤業界での垂直分解

(2)産業としての進化…垂直統合の分化
各産業共通のパターンとして興味深いのは、「垂直統合の分化」がはっきりと進んでいる点である(図2)。IBMを例にあげてみよう。同社は当初、ハードウェアとソフトウェアが完全に一体化したネットワークに接続していないスタンドアローンのシステムを提供していたが、両者を切り離し別の産業とするアンバンドル化が進んだため、IBM用にプログラムを提供するソフトウェア産業が成長した。その後、マシンが小型化しワークステーションやPCの開発が進むにつれ、アップル、マイクロソフト、ノベルといった独立系のベンダーによって供給されるOSが、産業のカギとなる焦点、すなわちプラットフォームとなった。ただしアップルなど一部の企業は、OSとハードウェアの緊密な一体化を維持することにより、垂直統合の分化を完全には行わない戦略を採用してきたことは注目すべきである。同様の進化がPDA・携帯電話分野ではもっと短期間でみられた。メーカーによる単一目的の製品から、サードパーティー業者が提供する多種多様なアプリケーションとコンテンツをサポートできるソフトウェア・プラットフォームを土台とする小型コンピュータへと進化したのである。ゲームにおいても、ホームポンのようなシングルゲーム・システムから、アタリのVCS 2600のようなマルチゲーム・システムを経て、プレステやXboxといった数百ものメーカーがサポートするゲーム機に進化した。また、ゲーム産業では、ソフトウェアとハードウェアのプラットフォームが常に緊密に一体化した状態が続いてきたのは、興味深い。

(3)プラットフォームビジネスモデル…価格設定構造
ツーサイド・プラットフォームに関わる唯一の最も重要な経営上の決定は、価格設定構造をどのように選択するかである。つまり、ユーザー側と、アプリケーション・ゲーム・コンテンツ開発者の側を比較し、どちらにどれくらいの課金を行うかという決定である。しかし、我々が研究対象としているプラットフォームは、複雑な経済的特性が組み合わさったものであるため、プラットフォームに応じて非常に大きな多様性・異質性がある。そのため、我々経済学者としては、ケースごとに分析を行う際の判断基準となる互いに必ずしも排他的でない価格付けの原則として、いくつかの可能性を提示することしかできない。例えば筆者は、コンピュータに基盤をおく産業において、製品の多様性に対する消費者の需要に応じて、様々なプラットフォームの価格設定構造が生まれることを説明する理論的枠組みを、最近公表したRIETIのディスカッション・ペーパー(※2)で提案しているので、詳細はそちらをご参照いただきたいが、表1で簡単に紹介する。表内にある「<0」は、プラットフォームがその市場である特定の参加者に損失を生んでおり、「>0」は利潤を生んでいることを意味するが、極端な対照を示しているのがパソコンとビデオゲームである。前者の場合、ウィンドウズなどのソフトウェア・プラットフォームは、ソフトウェア・ツールと開発業者のサポートに対しては利用料をとらず、アクセス料金も低価格に抑え(しばしばコストを下回る金額)、さらに、便利なサービスも無料で提供されている。アプリケーション業者側は損失を強いられるが、エンドユーザーに対するライセンシングを通じて利潤をあげるというしくみになっている(OEMからはコピーあたりの固定金額を徴収)。一方、ゲームの場合、メーカーはゲーム開発業者から徴収するロイヤルティによって利潤の大半をあげ、ユーザーに対しては限界費用ギリギリかそれ以下の価格でゲーム機を販売している。これに対しiモードとリアル・プレーヤーは、エンドユーザーとコンテンツ・プロバイダーの両方から利潤を得るという、よりバランスの取れた価格設定構造を持っているようだ。

表1 ソフトウェア・プラットフォームの価格設定構造
表1 ソフトウェア・プラットフォームの価格設定構造

成功したプラットフォーム戦略から学べること
 ―日本のコンピュータ・家電メーカーにとっての意味

家電分野での国際的リーダーとしての日本の位置づけからみれば、ハイテク産業でも将来性のあるすばらしいプラットフォームが日本から多く生まれて当然なようだが、実際そのような例としてはプレステとiモードくらいしかない。なぜだろうか。主な原因は、以前から日本のハイテク部門が弱く、ビデオゲーム以外に強力なソフトウェア産業が存在しないことである。日本のような成熟した技術集約的経済が、国際的競争力のあるソフトウェア産業を生みだせないという事実(※3)は、いったい何を意味するのだろうか。

家電メーカー各社は、製品としてのソフトウェアにさほど関心がないにもかかわらず、高度に一体化したスタンドアローン・システムの革新的設計・性能・信頼性を頼りに、世界のリーダーとしての地位を確保してきた。藤本隆宏教授の提案で知られる「モジュール性/オープン性」理論にあてはめると、「モジュールかつオープンではなく、インテグラル(摺り合わせ)かつクローズドな(専有可能な)システム」ということになろう。

ラルフ・パプリツキ教授らが指摘するように、日本の家電メーカーは1990年代以降、ハイテク産業における変化がもとで弱体化した。韓国、台湾、マレーシア、中国のメーカーがローコストで参入、ソニーや松下、日立、富士通といった一流企業もマージンが激減した。

より根本的な2つ目の要因は、ネットワーキングと接続性(インターネットとワイヤレス・ネットワーク)の重要性が増し、デジタル融合の出現、つまり家電製品間で相互操作性が向上し、情報のやりとりが行われる傾向が強まったことである。これにより、製品の価値は、統合化されたスタンドアローンの性能から、ソフトウェア、音楽、映画、ゲームといったデジタル・コンテンツをサポートし、他の家電製品ともそうしたコンテンツを共有する能力へとシフトした。こうした状況に対応するためには、水平的でプラットフォームを中心としたネットワーク型の生産体制を組織化するスキルが必要となる。これはしかし、日本の家電メーカーが築いてきた垂直的でピラミッド状のネットワークとは全く異なっていた。

マルチサイドプラットフォームの存在意義は、デジタル・コンテンツへのアクセスを提供することにある。消費者が求める商品やサービスを提供することは、どのような企業でも単独では不可能だが、ユーザーとメーカーを結ぶ技術サポートを強化すれば、その価値を手にすることができる。プレステとiモードが、その好例だろう。

プレステはゲーム産業における初めての真にツーサイドのプラットフォームである。プレステが発表された1995年当時、任天堂やセガのゲーム機は、ゲームソフトの六割強を自社ゲーム、特に目玉商品のスーパーマリオとソニックの生産に依存する状態だった。対照的にゲーム開発のノウハウを自社内に持ち合わせないソニーのプレステが成功したのは、プログラミングが容易で融通が利き、優れたツールを備え、カートリッジでなくCD-ROMで提供されるためサポートコストも低いなど、開発業者にとってはきわめて魅力的な条件を提供したからである。

iモードが大ヒットしたのも、サードパーティー・コンテンツ・プロバイダーと携帯電話ユーザー双方に対し、きわめて魅力的なプラットフォームを提供したためだ。まず、業界で初めてWAP(ワイヤレス・アプリケーション・プロトコル)ではなくc-HTMLを選択したことで、既にインターネットにサイトを持っていたプロバイダーにとっては大幅なコストダウンとなった。次に料金面でも、接続時間ではなくデータ通信量に基づき課金する効率的なシステムを導入した。iモードが出た頃、世界のモバイル通信産業では第三世代プラットフォームが相次いで大失敗していた。たとえばボーダフォンとビベンディのジョイントベンチャーだったヴィザヴィは、ビベンディ・ユニバーサル社が提供する社内製コンテンツのみに依存するという過ちを犯した。

これらの例からいえるのは、消費者が求めるコンテンツやアプリケーション、ゲームといった商品を提供することと、プラットフォームの成功とは必ずしも関係しないし、多くの場合経済的にも成り立たないということである。むしろプラットフォームのうち付加価値が最も高い部分に焦点を絞り、プラットフォームを他社を含めた市場参加者全員にとって魅力あるものにし、製品の供給については市場に頼ればよい。

我々は更に、コンピュータに基盤をおくプラットフォームの価値の大半は、ソフトウェア・プラットフォームにあると考えている。例えば、マイクロソフトがOSを支配しPCメーカー間の競争を進めることによって確固たる地位を築いたのに対し、アップルはパソコン産業ではNSやIBMに先行したものの、ソフトウェアとハードウェアのプラットフォームの一体的供給を維持することに固執したため、IBM互換PCとの競合に必要な規模を達成できないという、戦略上の大失策をおかした。PDAでは、アップルのような統合製品としてパームが1998年に登場したが、同社はその後最も重要なのはパームOSであることに気づいた。そこでソニーなどの競合他社へのライセンシングを開始し、2003年にはスピンオフしてパームソース社を設立した。

次にデジタル融合について考えてみる。デジタル融合がもたらしたのは、ハードからソフトへの価値の移行の加速である。このプロセスはPDAと携帯、DVDとビデオゲーム、PCとテレビという異なる製品を結びつけ、機器を通じてデジタル・コンテンツにアクセスし、コンテンツをシームレスに移動させることができるようにすることにより、新しい経済価値が生まれる。

問題は、家電における日本のトップ企業が、融合の進むデジタル経済におけるプラットフォーム提供で優位につけていないという事実である。ビジネスウィーク誌が、デジタル融合の特集号で、中心的役割を果たすとして選んだ5社はマイクロソフト、インテル、コムキャスト、サムスン、IBMで、日本企業は1社も入っていない。同号には、情報技術業界トップ100社も掲載されているが、日本企業の最上位はNTTドコモの39位で、その上に韓国、台湾、中国の企業が15社も入っていた。

優れたハードウェアを核に、競争力のある革新的プラットフォームを構築することが家電メーカーにとっていかに難しいかを示すのが、ソニーの例である。問題点を十分認識しているソニーは、PCから携帯電話、TVなどの製品を結びつけるセルチップの開発を進めているが、ハードウェアとコンテンツの合体という部分でつまずいてしまった。デジタル音楽の分野でも、ソニーはウォークマンを始めとするミュージック・プレーヤーを数多く発明し、抜きんでた量のコンテンツも所有している(コロムビア、CBSレコード、MGM)が、iPodとiTunesより3年遅れてしまった。この分野で先行するアップル社は、PC以外に家電製品のコンテンツも経験も持たなかったが、ソフトウェア・プラットフォームを作り出すことで成功した。iPodやiTunesの核をなすのは同社のクイックタイムで、消費者は音楽配信サイトiTunesから曲を購入、パソコンでMP3に暗号化したりiPodデジタル・ミュージック・プレーヤーに転送するので、そのプロセスを通じてデジタル化された権利(デジタル権)も管理できるというしくみだ。

このことは、プレステのプラットフォーム戦略、つまり魅力的なプラットフォームの提供に専念するかわりに、コンテンツは、ゲームであれ音楽であれ自社提供をあきらめ、市場に頼るという考えとさほど変わらない。その意味で、ソニーが自身の成功から学べなかったことはやや奇異にも思える。デジタル権の管理と海賊行為の問題をめぐり、ソニーミュージックとエレクトロニクス部門の間に軋轢が生じてしまったため、同社のデジタル技術開発はコンテンツ獲得によって助けられるどころかむしろ妨げられた。

プラットフォームの確立という点で日本の各企業が後塵を拝している理由には、ソフトウェアプラットフォームでの経験不足もあろう。技術的能力が足りないのではなく、「プラットフォーム思考」が欠けているために競争力のあるソフトウェア企業に成長できないのである。ここからいえることは、十分な規模を確保し、さまざまな機器に横断的に適用可能なソフトウェアプラットフォームを提供する外国企業に、日本の産業が支配されるのを目の当たりにするリスクが存在することである。現にPC産業で既に起こりつつある。

その一方、急成長する携帯電話市場が示すように、コンピュータに基盤をおく産業が、必ずしもソフトウェア企業によって支配されるとは限らない。現在、携帯市場の主要OSプラットフォームはシンビアンOS(※4)で、携帯電話専用に設計されたアプリケーション2500余りをサポートしている。シンビアンは、ノキアとエリクソンを筆頭とする携帯電話メーカーのJVとして1998年に設立されたが、その目的は、業界におけるソフトウェア・プラットフォームを、ウィンドウズCEのような他のプロプラエタリOSの支配から防ぐためであった。

結論

今回は、主として一種類のコンテンツ(たとえば音楽)を1つの装置(ポータブル・メディア・プレーヤー)で提供する比較的シンプルなプラットフォームをとりあげた。しかし現実には、より複雑な課題が関連産業全体を通じて浮上しつつある。多様なメディアを介したコンテンツとサービスの開発と配信をめぐる問題だ。そのためにはマルチサイドプラットフォームという、より高度なコンセプトが必要になるが、それが企業にとって効率的で競争力のあるソリューションをもたらすきっかけになることは間違いない。

では、日本でマルチサイドプラットフォームの枠組みを活用できる市場はあるだろうか?我々の考えでは2つある。広義にとらえた場合のコンテンツ産業(提供される漫画やテレビ、インターネット、ゲーム等)と、企業向けコンピュータ関連市場である。

コンテンツ産業に関する目下最大の課題は、発展性のあるビジネスモデルを新たに提供することで、クリエーター、映画やTVのスタジオ、インターネットまたはモバイル・ネットワークから家庭用デジタルテレビ、携帯電話、コンピュータまで、多様なチャネルを通じたコンテンツの開発と配信を活性化することだ。そのためには多数のフォーマットと標準をサポートでき、様々な機器で動作する創意工夫に富む柔軟なプラットフォームを創造する必要がある。

企業向けコンピュータ関連市場の場合、以前はマルチサイドではなく、ワンサイドの戦略に依存する垂直統合システム・プロバイダーの最後の砦と見なされていたが、現在は、ソフトウェアプラットフォーム(サービスではなく)のシェアを巡ってオラクルとSAPが争っていることから明らかなように、状況は激変しつつある(※5)。SAPのプラットフォームであるネットウィーバーは、データベースに載り、アプリケーションをリンクさせ、その上でサードパーティー・ベンダーが革新的ソフトウェア・サービスを開発できるようにする。オラクルの方は、データベースを不可欠なプラットフォームとみなしている。IBMも、ウェブスフィアでツーサイド・プラットフォーム戦略を採用した。これはエンドユーザーに直接サービスを提供するだけでなく、他のベンダーのサポートとアプリケーションのサポートも行う。このような背景のもと、富士通、日立、NECなどの日本企業は、純粋に統合化されたスタンドアローンの製品から、マルチサイドプラットフォーム戦略に移行し、競争力を維持しようとしている。移行のプロセスは困難を伴うだろうが、企業にとってマルチサイドプラットフォームの枠組みが大いに役立つものと我々は確信している(※6)

脚注
  • ※1…例えば現在市販されている代表的 Pocket PC のプロセッサの速度は266~400MHz。インテルがクロックスピード233MHzのチップをリリースしたのは1997年、450MHzのチップのリリースは1999年だった。ただしシステムのアーキテクチャが違うためこれらの数字を直接比較することはできない。
  • ※2…「Two-Sided Platforms: Pricing and Social Efficiency(ツーサイド・プラットフォーム…価格設定と社会的効率性)」2004年12月27日
  • ※3…「Perspectives on the Japanese Software Industry:Fragmentation, Modularity and Upcoming Challenges(日本のソフトウェア業界展望…断片化とモジュール方式と今後の課題)」2005年1月12日
  • ※4…2003年に出荷された携帯電話1200万台中660万台がシンビアンOSを搭載していた。
  • ※5…「ビジネス・ソフトウェア…ソフト戦争かハード戦争か?」("Business Software: Soft War or Hard?")『 The Economist 』2005年3月23日号
  • ※6…筆者は現在、富士通の研究者らと共同で、このテーマに関する研究を進めている。
参考文献
  • アジア版『Business Week』、2004年6月22日号
  • 『The Economist』、2005年3月23日号
  • 『コンピュータに基盤をおく産業におけるソフトウェア・プラットフォームの経済的役割調査』D・エヴァンス、A・アジウ、R・シュマレンシー、CESifo(独ifo研究所)ワーキングペーパー(2004年4月)及びRIETIディスカッションペーパー(2004年10月)
  • 『日本のハイテク・コンピュータ産業:ソフトウェア・プラットフォームの可能性』A・アジウ、RIETIコラム(2004年10月)
  • 『日本のソフトウェア産業展望:断片化とモジュール方式と今後の課題』A・アジウ、RIETIコラム(2005年1月)
  • 『ツーサイド・プラットフォーム:価格設定と社会的効率性』A・アジウ、RIETIディスカッションペーパー(2004年12月)
  • 『日本の家電産業における企業間のネットワーク』ラルフ・パプリツキ、シェフィールド大学日本研究センター、ルートリッジ・カーゾン・プレス(2004年)

(原文はいずれも英文)

2005年6月28日掲載