RIETIの活動

グリーンイノベーション基金事業に関する検証シナリオ(第二次案)についてのRIETI EBPMセンターからのアドバイス

2023.9
RIETI EBPMセンター

昨年4月に発足したRIETI EBPMセンターにおいては、内外の研究者や政策当局と連携し、これまで進めてきたデータに基づく事後検証型の政策効果研究に加え、官民連携で実施する大規模プロジェクトについて、政策効果の分析に必要なデータ・デザインなどの基本構想と具体的な検証方法等につき、政策当局に対し伴走型で提案することとしています。

その第一弾(試行的取組)として昨年度より取組を行っているグリーンイノベーション基金事業について、経済産業省の検証シナリオ(第二次案)に対するアドバイスを公表します。

事業終了後に政策の効果を検証し始めるのではなく、事業開始前及び事業実施中にアジャイル(注1)に政策評価手法を検討し政策の効果を検証しようとすることは、これまでになかった取組であり、この点については先進的取組として評価できるものです。但し、長期にわたる事業に対する評価手法としては道半ばであるため、更に改善する余地があるものと考えます(注2)。

なお、本アドバイスについては、大橋弘先生、北尾早霧先生、渡辺安虎先生を含むRIETI EBPMセンターのアドバイザリー・ボードのメンバーにご意見を頂きながら作成したものです。この場を借りて、深く御礼を申し上げます。

1.背景

グリーンイノベーション基金事業については、2022年11月に経済産業省より検証シナリオ(第一次案)が公表されており、同月、それに対してRIETI EBPMセンターからアドバイスを公表していました。

これらに基づき経済産業省で検討を進め、2023年8月に検証シナリオ(第二次案)が公表されました。

今回のアドバイスは、これまでの取組を踏まえ、今後検討をより深めていくために必要と考えられる論点等についてアドバイザリー・ボードの先生方の意見をとりまとめ、RIETI EBPMセンターから公表するものです。

2.RIETI EBPMセンターのアドバイス

脚注
  1. ^ 「アジャイル(agile)」とは、もともとソフトウェア開発における考え方で、事前検討を重視した重厚長大なアプローチ(ウォーターフォールモデル)ではなく、小さな単位で動くソフトウェアを短い期間で評価し、実装とテストを繰り返していくことで不確実性をコントロールしていく考え方。2001年に米国で提唱され、近年では、広く経営や技術開発にも応用されている。(参考:NRIの用語解説等)
  2. ^ この点については、RIETI EBPMセンターのアドバイザリー・ボードからもご意見をいただいている。