所長挨拶

RIETIは、経済産業政策に関する研究を2001年の設立以来蓄積してきました。この4月から新しい中期目標・中期計画期間に入り、引き続き水準の高い研究を進めつつ、政策への貢献を強化していくという目標を掲げています。このような時期に所長を拝命した重責を自覚して任に当たる考えでおります。

我が国経済は、バブル崩壊以来の長期停滞の間に、他の国々の発展から取り残されてしまいました。人口減少・高齢化の進行に伴い事態が更に深刻化していくことが見込まれるだけでなく、新たな技術が世界に広範な影響を及ぼし始めた一方で、米ソ冷戦終結後続いたグローバリゼーションが加速する時代が終わる歴史的転換期の様相を呈していることから、深い考察に基づく腰を据えた新機軸の政策対応により、長期的な発展の道筋を見出すことが求められています。

こうした中で、RIETIは、研究を通じて経済産業政策を我が国にとってより良い方向に持っていくという使命を再認識して研究活動を推進していく必要があります。このため、政策が学問的批判にも耐えられるようアドバイザリー的な機能を充実していければと考えております。特に、データに基づく実証分析を中心とした研究により中長期的視点から政策形成にインプットを行っていきます。同時に、独立行政法人として、政策が我が国にとって有効なものとなるよう政策の評価や改革の提言を続けてまいります。また、政策への関与は学問的裏付けがあって可能となるものですので、研究の質を高く保つよう努めていきます。政策担当者との意見交換の緊密化が学術研究の刺激となることも期待します。一連のこうした難しい課題に取り組むには、各方面との連携が従来よりも大切になります。御指導・御助言よろしくお願い申し上げます。