ふるさと納税におけるワンストップ特例制度の効果検証:寄附先の集中と制度の満足度に与える影響

執筆者 小西 葉子(上席研究員)/小川 光(東京大学)/伊藝 直哉(株式会社インテージリサーチ)/伊藤 千恵美(株式会社インテージリサーチ)
発行日/NO. 2024年3月  24-J-009
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概要

ふるさと納税制度では、寄附する自治体が5つまでであれば、確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組み「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が設けられている。本稿では、2022年のふるさと納税利用についての独自のアンケート調査結果を用いて、「5自治体の上限」制約が利用者の選択に与えた歪みについて検証することを目的とする。実証研究では、利用確率モデルの推定により寄附者の特徴を明らかにし、寄附者の満足度とふるさと納税の関係を考察する。分析の結果、「5自治体の上限」制約が、①利用者の寄附先件数を抑制して上限への集群を生み、②寄附者の一件当たりの寄附額を上昇させて、寄附を受ける自治体数の減少をもたらし、③一部の制度利用者の満足度の低下に繋がっていることを確認した。