量的緩和、マイナス金利政策の財政コストと処理方法

執筆者 深尾 光洋 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2016年3月  16-J-032
研究プロジェクト 財政再建策のコストとベネフィット
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概要

日銀の量的緩和とマイナス金利政策による景気刺激策は、一見コストなしに実行できているように見える。しかし少し長い目で見ると、金融緩和にも相当の財政コストが必要となる可能性が高い。日銀は量的緩和の実施により巨額の国債を保有することになったため、デフレからの脱却に伴って予想される国債価格の下落が日銀に大きな損失を発生させるリスクを生んでいる。また日銀当座預金に対するマイナス金利の適用は日銀の収益を改善させるが、国債のマイナス金利での買いオペは、損失を発生させるため、全体で見ると日銀収益を悪化させる可能性が高い。本稿では、量的緩和、マイナス金利政策の財政コストを検討する。また日銀が巨額の損失を被った場合の処理方法についても考察する。