人事方針と人事施策の関係が企業成長に及ぼす影響

執筆者 西岡 由美  (立正大学)
発行日/NO. 2015年6月  15-J-029
研究プロジェクト 日本における無形資産の研究:国際比較及び公的部門の計測を中心として
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概要

本稿は、(独)経済産業研究所「日本における無形資産インタビュー調査」のデータを用いて、人的資源管理の内的整合性(internal fit)、つまり人的資源管理の上位概念である人事方針と下位概念である人事施策の適合が企業成長に及ぼす影響を分析したものである。分析結果の要点は以下の通りである。

第1に、人事方針として成果主義と終身雇用を同時にとるハイブリット型企業は売上高成長率と有意な負の関係にある、第2に、成果志向が強い成果主義型人事管理は単独では売上高成長率と有意な正の関係にあるが、人材育成との交互作用項は有意な負の関係にある。第3に、終身雇用と人材育成の交互作用項は売上高成長率と有意な正の関係にあるが、成果主義と人材育成の交互作用項は売上高成長率と有意な負の関係にある。以上の結果から、企業は「人事方針間の相互作用」「人事施策間の相互作用」「人事方針と人事施策の相互作用」の負の影響を考慮する必要があり、人的資源管理において内的整合性が実現されていない場合には、企業の成長を阻害する可能性が示唆された。