サードセクターと政治・行政の相互作用の実態分析―平成26年度サードセクター調査からの検討―

執筆者 坂本 治也  (関西大学)
発行日/NO. 2015年5月  15-J-025
研究プロジェクト 官民関係の自由主義的改革とサードセクターの再構築に関する調査研究
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概要

本稿は、日本のサードセクター組織と政治・行政の相互作用の実態について、(独)経済産業研究所が実施した平成26年度「日本におけるサードセクターの経営実態に関する調査」の結果に基づきながら分析していく。日本におけるサードセクターと政治・行政の相互作用の実態については、これまでいくつかの研究によってその一端が明らかにされてきた。しかし、母集団となる団体・組織の総合的なデータベースが容易には入手できないこともあり、さまざまな法人格を比較可能な形で包括的に分析するような研究は皆無といえた。今回、平成26年度サードセクター調査で新たに政治・行政との関係性を問う設問が入ったことにより、初めて総合的な分析を行うことが可能となった。

本稿では、まずサードセクターと政治・行政の相互作用の実態について、調査の単純集計結果を示しつつ、実証的に確認した。そのうえで、法人格ごとの違い、行政から支援や収入を得た団体とそうでない団体の違いなどについて多角的に分析した。

分析の結果、1)法人格によって、行政からの支援や事業委託などの事業収入を得る関係性、政治・行政へロビイングをする団体の割合が異なること、2)先行研究で強調されがちであった、「行政から支援や収入を得ることで団体が『行政の下請け』化する」という傾向は、ボランティア、寄付、ロビイングなどの観点でみるかぎり、確認されないこと。それどころか、行政から支援や収入を得た団体ほど、ボランティアや寄付を集め、ロビイングも活発に行う傾向が確認されること、の2点が明らかとなった。