公共サービス改革の進展とサードセクター組織―社団法人、財団法人の新たな展開―

執筆者 後 房雄  (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2015年5月  15-J-023
研究プロジェクト 官民関係の自由主義的改革とサードセクターの再構築に関する調査研究
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概要

サードセクターの経営実態に関する第1回調査(2010年)、第2回調査(2012年)に続く第3回調査(2014年)の結果を紹介、分析することによって、日本において政府行政セクター、市場セクターと並ぶサードセクターを構築するための現状の実態と課題を検討する。

特に注目されるのは、2008年から制度が施行された一般社団法人、一般財団法人の急増である。すでに特定非営利活動法人の団体数は医療法人数に並びつつあるが、一般法人の設立増加スピードはそれ以上のものがあり、2、3年のうちに最多の法人形態になると予想される。しかも、これらの一般法人のなかではあえて「非営利型」を選ぶ団体が大半となっている。

財政、とりわけ収入内訳に関しては、公共サービス改革(特に「官から民へ」)の進展のなかで、サードセクター組織、特に非営利組織における公的資金(なかでも補助金ではなく事業収入)の比重が急速に増加しており、それだけに、非営利組織の自律性の確保と健全な成長のために、官民関係の自由主義的改革をより徹底することが急務となっている。

最後に、こうした非営利セクターの変化を前提にして、統一的非営利法人制度と統一的公益認定制度への現実的道筋をどのように描くかについても提案を行っている。