執筆者 |
佐藤 仁志 (コンサルティングフェロー) /張 紅咏 (研究員) /若杉 隆平 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2015年4月 15-J-015 |
研究プロジェクト | グローバルな市場環境と産業成長に関する研究 |
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概要
開放的な市場は企業活動の効率性を高めるが、日本市場への輸入の拡大が企業にもたらす効果もその1つと考えられる。この論文では『企業活動基本調査』の企業レベルデータをもとにして、日本企業の中間財の輸入が生産性や利益率に与える効果を実証的に分析する。分析結果から、(1)生産性の高い企業は中間財を輸入する傾向にあるが、他方で(2)生産性がより高い企業ほど輸入中間財への依存の程度が低くなる傾向があること、(3)輸出比率が高い企業、外国資本が参加している企業、多国籍化している企業は中間財を輸入する傾向にあること、(4)生産性が高く、輸出比率が高く、外資比率の高い企業では利益率が高いこと、さらに(5)中間財の外国企業からの輸入は利益率と正の相関がある一方、市場を経由しない海外子会社からの輸入は利益率と負の相関があること、が確認された。これらの結果は、日本企業には輸入中間財の購入を通じて生産性と利益率の向上を生む余地があること、従って、中間財の輸入にはなじみの薄い中堅中小企業に対して情報提供や人材教育を通じて支援する政策には意義のあることを示唆する。