幼少期の家庭環境、非認知能力が学歴、雇用形態、賃金に与える影響

執筆者 戸田 淳仁  (リクルートワークス研究所) /鶴 光太郎  (ファカルティフェロー) /久米 功一  (リクルートワークス研究所)
発行日/NO. 2014年3月  14-J-019
研究プロジェクト 労働市場制度改革
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概要

本稿では、海外の研究で注目されてきた幼少期の家庭環境や非認知能力が、学歴、雇用形態、賃金といった労働市場における成果にどのような影響を与えているか検証した。幼少期の家庭環境について、学歴に対しては諸々の家庭環境が有意に影響を与えるが、就業以降は家庭環境の影響が弱まるが、賃金に対しては蔵書の多い家庭で育った人ほど賃金が高くなる影響がみられる。また、非認知能力について、勤勉性を表す高校時の無遅刻については、学歴、初職および現職の雇用形態については正の影響がみられる。内向性を示すと考えられる室内遊び(15歳時点)については学歴には正の影響を与えるものの、現職雇用形態には負の影響を与えている。さらに、中学時代に運動系クラブ、生徒会に所属したことのある者の賃金が高まる効果がみられた。就業以降の人生においては、学歴においても重要な認知能力、勤勉性以外に、外向性が重要であり、加えて協調性やリーダーシップを養うとみられる特定の部活動を通じた経験が併せて将来の労働市場での成功に関係しているとみられる。