執筆者 | 喜多見 富太郎 (コンサルティングフェロー) |
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発行日/NO. | 2013年5月 13-P-007 |
研究プロジェクト | 地域活性化システムの研究 |
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概要
地域経済活性化において基礎自治体の役割は大きいが、狭域団体による地域経済活性化策としての公共事業は、財政逼迫と相まってその有効性の検証が必要となっている。そこで新たな地域経済活性化策として、『新しい公共』という枠組みを活用した行政アウトソーシングにより多面的な地域経済活性化効果を得ることが考えられる。本稿では、戦後地方行革史でアウトソーシング法制がどのように確立・展開し、調達法制から『新しい公共』の法制へと脱却したのかを通観し、自治体アウトソーシング法制の今日における構造と機能および個々の自治体におけるアウトソーシング政策の制度分岐をモデル化した。そのうえで、市レベルにおける行政活動形式と地域経済活性化の関係を回帰分析によって分析し、行政活動形式(職員直接執行、委託、補助、公共事業、所得再配分)と短期・長期の地域経済活性化との関係を見た。その結果、自治体歳出に占める委託費比率の高さは地域経済活性化指標と強い正の相関を示したが、公共事業費比率は相関が限定的であった。このことは、今後の基礎自治体レベルでの行革と両立する地域経済活性化策の検討に示唆を与える。