日本語タイトル:企業間の恒常的生産性格差

Persistent Productivity Differences Between Firms

執筆者 瀧井 克也  (大阪大学)
発行日/NO. 2011年4月  11-E-048
研究プロジェクト 少子高齢化時代の労働政策へ向けて:日本の労働市場に関する基礎研究
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概要

この論文では、企業間の恒常的生産性格差の原因を分析するため、組織資本とスキルの間の動学的割り当てモデルを構築する。所有する組織資本(企業特殊知識)の水準が非常に高いことが予想される企業は優秀な人を引き付けるが、それらの雇われた優秀な人々が将来の組織資本を高めるために貢献する。その一方で、蓄積された組織資本はよりよいパフォーマンスを生み出す確率を高めるため、当初の高い期待がパフォーマンスを観察することで補強される。本論文では、こういった正のフィードバックメカニズムの結果、生産性の水準に対する人々の予想の変化は緩慢としたものとなり、それが、生産性動学における観察できない固定効果と同じような働きをすることを示した。カリブレーションに基づく定量分析の結果は、提示されたフィードバックメカニズムと割り当てモデル特有の小さな差を増幅させるメカニズムによって観察される生産性の持続性と格差の大部分を説明することを示唆している。



概要(英語)

We construct a dynamic assignment model that explains persistent productivity differences between firms. Large expected organization capital (firm-specific knowledge) attracts skilled workers, who help to accumulate organization capital. Accumulated large organization capital leads to good performances, which, in turn, confirm high expectations. It is shown that the sluggish movement of expected productivity that occurs through this positive feedback can play a role similar to an unobserved fixed effect in the productivity dynamics. Our calibration exercises suggest that the proposed feedback accompanied by amplification mechanisms inherent in the assignment model can explain a major part of the observed persistence and disparity in productivity.