日本の労働組合と生産性-企業データによる実証分析-

執筆者 森川 正之  (上席研究員)
発行日/NO. 2008年7月  08-J-030
研究プロジェクト サービス産業生産性向上に関する研究
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概要

本稿は、製造業・非製造業をカバーする数千社の企業データを使用し、最近の日本における労働組合と企業の生産性・収益性等の関係について実証的に分析することを目的としている。

分析結果によれば、米国及び日本の一部の先行研究とは異なり、労働組合は当該企業の生産性(労働生産性、TFP)の水準及び伸び率と正の関係を持っている。労働組合と賃金との関係は生産性との関係と同程度のマグニチュードのプラスであり、労働組合と企業収益の間にマイナスの関係は見られない。労働組合が存在する企業の従業者数の減少率は労働組合がない企業に比べて大きく、大部分はフルタイム労働者数の変化ではなくパートタイム労働者数の変化の違いに起因する。

サービス産業においても、労使協力を通じた生産性向上のための取り組みが期待される。