プロジェクト:「日本におけるサードセクターの経営実態と公共サービス改革に関する調査研究」
プロジェクトリーダー:後 房雄 (RIETIファカルティフェロー / 名古屋大学大学院法学研究科教授 / 一般社団法人日本サードセクター経営者協会代表理事)
調査の目的と背景
日本においては、営利企業(株式会社、有限会社など)以外の各種民間法人制度が所轄庁(主務官庁)によって複雑に分岐しているのが特徴である。しかし、平成10年の特定非営利活動促進法の成立、平成18年の公益法人制度改革などによって、主務官庁制から脱却した統一的な民間非営利法人制度へ向かう動きが開始された。
他方、いわゆる「大きな政府」の根本的な問い直し、ニュー・パブリック・マネジメント、公共サービス改革の動向のなかで、政府行政セクター、営利企業セクターと並ぶもう一つのセクター(以下、サードセクター)の果たすべき役割が注目されつつある。 こうしたなかで、特定非営利活動法人(通称NPO法人)だけにとどまらず各種公益法人を含めた広義の民間非営利組織(NPO)、さらには協同組合や社会的企業をも含めたより広いサードセクター組織の全体を、政府行政、企業と並ぶもう一つのセクターとして明確に位置づけ、その役割や価値を確立するべき時期にきている。
しかし、現状においては、サードセクターに含まれると考えられる諸組織は多様な法人格制度や主務官庁制によって分断されており、その全体像や特徴を把握するための基礎的データが整備されていない。こうしたことから、平成22年において、第1回目となる「日本におけるサードセクターの経営実態に関する調査」を実施し、サードセクターに含まれる諸組織の多様な実態を把握することを試みた。
第2回目となる今回の調査では、前回の調査結果との比較を踏まえながら、①サードセクターの概念を整理したうえで、その全体像(団体数、活動分野、財政規模、有給職員数、ボランティア数など)を統一的に把握することが第一の基礎的作業となる。今回のサンプル調査の主要目的の一つはその全体像を推計することである。②さらに、サードセクター組織の経営実態(収入と支出の内訳、経営者や有給職員の属性、給与水準、組織のガバナンスなど)を調査したうえで、それらが直面している経営課題を明らかにすることが第二の目的である。この結果は、サードセクター組織への今後の経営支援において活用されるようにしていきたい。③そのうえで、サードセクターが期待される大きな社会的役割を果たすために必要と考えられるインフラ整備(イコール・フッティングに基づく法人制度の統合、簡素化、公共サービスの提供をめぐる政府行政とサードセクター組織の関係の設計、サードセクターの経営力向上のためのインフラ組織の整備など)の方策を提言する。