サードセクター組織の自律性-財政的自律性の評価の試み-

執筆者 小田切 康彦 (徳島大学)
発行日/NO. 2016年3月  16-J-040
研究プロジェクト 官民関係の自由主義的改革とサードセクターの再構築に関する調査研究
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概要

官民関係の自由主義的改革が進展するなかで、公共の担い手としてサードセクター組織が果たす役割はますます大きくなっている。一方で、そうした官民関係の深化は、活動資源の多くを外部に依存するサードセクター組織の自律性に大きく影響を及ぼしている可能性がある。サードセクター組織の健全な成長を企図する意味では、その自律性のあり方を論じることは喫緊の課題といえる。本稿では、独立行政法人経済産業研究所が実施した過去3回の「日本におけるサードセクターの経営実態に関する調査(平成22年度、平成24年度、平成26年度)」を基に、サードセクター組織の自律性、とりわけ財政的自律性の評価を試みた。具体的には、サードセクター組織における財源構造を、Herfindahl - Hirschman Index(HHI)を用いて測定すると同時に、それらを規定する諸要因を探索した。分析の結果、サードセクター組織全体として特定の財源に依存する傾向が強くなっている点、また、財政規模の大きい組織ほど特定の財源に依存する点、が示唆された。