最低賃金の引上げは正しい経済政策なのか?- 最新の研究成果より

開催日 2023年11月9日
スピーカー デイビッド・ニューマーク(カリフォルニア大学 アーバイン校 経済学部 特別教授)
モデレータ 川口 大司(RIETIプログラムディレクター / 東京大学 公共政策大学院 教授)
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開催言語 英語
開催案内/講演概要

物価の高騰が進むなか、政府は最低賃金の引上げを目指しており、2023年度の最低賃金額(全国加重平均)は1,004円と43円の引上げ(引上げ率は4.5%と過去最高)となった。
こうした最低賃金の引上げの影響については、世界的に激しい議論がなされている。従来の経済学は、最低賃金引上げは失業率や経済成長率などを悪化させ経済にマイナスに作用するというものだったが、近年は最低賃金引上げがむしろ経済にプラスになるという研究(2021年にノーベル経済学賞を受賞したデヴィッド・カード教授らの研究など)が注目を集めるようになった。
こうした相矛盾する学説のどちらが正しいのか。カリフォルニア大学アーバイン校経済学部デイビッド・ニューマーク特別教授は、最低賃金の引上げは低賃金労働者の雇用を減少させており、最低賃金引上げが経済にプラスになるという結論は間違った前提によるとしている。本講演では、同教授の最新の研究成果をもとに、日本の最低賃金政策で注意すべき論点について議論いただく。