現代日本の消費分析 ライフサイクル理論の現在地

開催日 2023年7月5日
スピーカー 宇南山 卓(RIETIファカルティフェロー / 京都大学経済研究所教授)
モデレータ 小西 葉子(RIETI上席研究員 / 独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業応援士 / 一般社団法人日本統計学会 理事(広報)/ 統計委員会臨時委員 / 東北大学男女共同参画推進センター澤柳フェロー)
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開催案内/講演概要

最近注目を集めている拡張的金融政策(金利引下げや量的緩和など)、コロナ危機での特別定額給付金、物価高に対応した家計支援や児童手当など経済政策の多くは、人々の消費と密接に関係している。本講演では、日本社会の高齢化や各種経済政策が人々の消費行動にどのような影響を与えるか、そして最新の経済学では消費をどのように見ているのかについて、2023年5月に『現代日本の消費分析:ライフサイクル理論の現在地』(慶應義塾大学出版会)を上梓された京都大学経済研究所の宇南山卓教授に解説いただいた。

議事録

ライフサイクル理論とは

本日は、「現代日本の消費分析 ライフサイクル理論の現在地」と題して、お話をさせていただきます。本書の目的は2つありまして、現代日本の消費について分析を行うこと、そしてライフサイクル理論の発展を概観しつつ、経済学における消費のとらえ方を知っていただくことです。

本書は大きく2つの部で構成されており、全編を通じて伝えたいメッセージは、日本の消費はライフサイクル理論で理解ができるということです。今のさまざまな消費や家計行動に関する政策課題に一定の考えや見方を与えられるのではないかと考えています。

ライフサイクル理論というのは1950年代に確立した消費の決定理論です。消費の決定とは、ある期間に一定のお金を稼ぎ、その稼いだお金のうち今日どれだけ使うのか、総額としていくら使うのかということです。

この消費の決定をめぐっては、フランコ・モディリアーニとミルトン・フリードマンという2人の偉大な経済学者が、同時期に同様の考え方を提示しています。2人とも消費の分析を主たる貢献としてノーベル経済学賞を受賞しており(モディリアーニ:1985年、フリードマン1976年)、ライフサイクル理論は現代経済学の主流にあるテーマと言えます。

このライフサイクル理論は、現代マクロ経済学の基礎になっています。大前提として、将来を考慮する合理的な経済主体というものが存在し、そういう合理的な人々が経済全体の動きを決めているというのが今のマクロ経済学の主流の考え方で、この合理的な経済主体がどのような行動を取るのか、また本当に合理的な経済主体は存在するのか、ということがテーマになる研究分野です。

限界効用逓減の法則

では、このライフサイクル理論が誕生する前まで、消費というのはどのように分析されていたのかというと、1936年にケインズの一般理論で提示されたケインズ型消費関数というものが基本となっています。簡単に言えば、今日いくら使うかというのは、今日いくら稼いだかで決まる、「Ct = α + βYt」という考え方です。

消費(C)というのは、所得と関係なく必ず消費する部分(α)とお金をたくさんもらうほど消費する部分(βY)の2つのパートがあり、所得が高い人ほど消費を多くするというのが経済学の考える消費の決定だとされていました。単純に聞こえるかもしれませんが、今でもこの同時点(ある特定の期間:t)の所得で消費が決まるというケインズ型消費関数は強い影響力を持っています。

この同時点の所得で消費が決まるという考え方を否定するようにして出てきたのが、ライフサイクル理論です。同時点の所得が消費の決定要因になるかどうかというのはライフサイクル理論の研究の1つの原動力でもあるし、消費をめぐる経済学の大テーマです。

ライフサイクル理論の最も根本にある想定というのは、「限界効用逓減の法則」と呼ばれる、経済学が考える人間の幸せの感じ方にあります。経済学が考える人間というのは、お金を使えば使うほど幸せになれる存在だということです。ただし、ポイントになるのは、使うお金の額に比例して幸せは増えていかないという点です。

使うお金を増やせば増やすほど、幸せの大きさというのは徐々に小さくなる。それを逓減という言葉で表現していますが、幸せは、使うお金に比例して増えるのではなく、使うお金が増えるほど幸せの増え方は徐々に小さくなる。それが人間だというのがライフサイクル理論の根底にあります。

そういう幸せの感じ方をする人間というのは、消費をできるだけ変動させないように行動するはずです。消費が変動する場合には、たくさん消費できる時は少し貯蓄に回しておいて、あまり消費できない時にその貯蓄を使えるようにする。なるべく変動が一定になるように消費をしようと考えるはずだというのが経済学の考える人間です。

将来を考慮する合理的な経済主体

例えば、大学を出て22歳で働き始めてどこかで引退するとしましょう。若い頃は所得が低いけれど、だんだん増えていき、引退後は年金暮らしになるので所得が減ります。そこで自分が一生を通じて稼げる所得、そして何年生きるかを計算し、一定の消費が達成できるように消費しようとするのが合理的な人間の行動ではないか、というのがライフサイクル理論の考え方です。

所得や遺産など一生のうちに自分が使うことのできる経済資源、私の本では「生涯可処分リソース」と呼んでいますが、これを人生の長さで割って決めるのが消費であるという話です。逆に言えば、今日いくら稼げるかというのは消費とは関係ありません。もちろん将来のことが関わってきます。自分がいくら稼げるかなんて分かりませんので、今の時点で自分が生涯を通じていくら稼げるのかという予想に応じて消費を決めます。

しかし、現実には思った通りには動きません。もちろん新しい出来事が起こったら、人生の計画を変える必要があります。新しい情報が入ってきたら、その時点から以降の残りの人生を考えて、残りの人生で一定の消費を保つとしたらどれくらい消費できるかを考えます。

世の中には不確実性があります。不確実性があるから、日々われわれは消費を変更しています。人生のプランが変われば微調整しますが、その調整というのはあくまでも生涯可処分リソースが予想外に動いたという情報に基づいた変更であって、一定の消費を保とうという意識とは矛盾しません。

つまり生涯可処分リソースを一定のペースで消費するのが合理的な人間のする行動だけれども、現実には消費は変動する。なぜなら新しい情報が入ってくるからで、われわれは生涯可処分リソースの動きで消費を決定している。この基本的な考え方だけで日本の消費の動きの大部分が理解できるということを本書の前半部分では示しています。

ライフサイクル理論が正しいならば、生涯可処分リソースを大きく変動させないようなイベントは消費を変更させません。高齢者の消費に何らかの手当が必要かというとそんなことはない。消費刺激策で特別定額給付金を配れば消費は増えますかと聞かれたら、1回10万円を配ったぐらいで生涯可処分リソースがどれほど増えるのかということです。消費が変動するのは生涯可処分リソースが変動するときだけです。これを理解すれば、さまざまな政策の大枠としての考え方は理解できると考えています。

生涯可処分リソースの動きが消費を決定する

例えば、消費税率の引上げをします。消費税率の引上げが決定した時点で国民は生涯可処分リソースが減ると認識するので、消費は減ります。逆に、消費税率を実際に引き上げる時点では決まったことが実行されるだけなので、消費はほとんど変化しません。

2014年4月の消費税増税(5%→8%)では、耐久財も非耐久財も消費が大きく落ち込んだと信じられていますが、よくデータを見てみると、大きく落ち込んだのは実は2013年の10月だったのです。

2013年10月1日に、安倍首相が2014年4月の消費税率の引き上げをアナウンスしたのです。その瞬間、われわれは生涯可処分リソースが下がることを知りました。2014年4月に引き上げられたのは3%だけでしたが、さらに1年半後に8%から10%に上がると発表していたので、これはトータル5%の実質可処分リソースの低下を意味していたわけです。

当時は政権交代をした後で、民主党が決めた消費税率の引き上げを首相が中止することができるのではないかといった期待の中での発表に、多くの人が驚きました。それで、大きな消費税率の引上げが非常にクリアな形で消費を落ち込ませたのです。この事例は生涯可処分リソースというものが消費を決定していることの証しであり、われわれが消費を落とすのは新しい情報が入ってきたときだということの証拠になります。逆に、消費税率を引き上げた瞬間の非耐久財に対する支出の動向は、1989年の初めての消費税導入以来、一貫して驚くほどの変動は見られません。

ライフサイクル理論の検証

多くの方々は、人々はそんなに合理的には行動していないとか、本当にライフサイクル理論が成り立つのだろうかという疑問を持つと思います。実際、経済学者も1980年代からさまざまな研究をしてきました。「過剰反応テスト」と呼ばれる、人々が予想可能な所得の変動に対する消費の変化をテストする検証が一大ブームになりました。1990年代から2000年代にかけて、この過剰反応テストはライフサイクル理論の実証研究の代名詞になっていました。

典型的な事例が、私とミシガン大学のMelvin Stephens教授が一緒に行った研究です。公的年金の支給頻度が消費に及ぼす変化を見たものです。昔は、公的年金は年に4回、3カ月に一度支給されていました。それが1990年以降に年6回、1カ月おきの年金支給になりました。月々で見れば大きな所得変動がある中で、その変動に応じた消費の増減を検証したものです。

現実の経済には季節性があるので増減要因を特定するのは難しいのですが、例えば同じ高齢者の昔と今の4月と5月の消費の変化率を比較したところ、昔は年金が支給された5月に消費が増えていたものが、支給月でなくなった今、5月はあまり増加が見られません。昔は支給月で、今はそうでなくなった11月も、同様の傾向が見られます。

その意味では、人々がお金をもらうタイミングによって消費行動は変化することは否定できないものの、その変化の度合いは小さい。従って、ライフサイクル理論は厳密には成り立たないかもしれませんが、おおむね人々は合理的で、9割9分、人々はこのように消費を決めているということを示しています。

流動性制約と消費刺激策の有効性

一方で、海外に目を向けると、ライフサイクル理論から大きく逸脱する人がいることが知られています。消費刺激策として特別定額給付金等を配ると、それをほぼ使ってしまう人が経済全体でみると5割ほどになると言われています。日本では、特別定額給付金を配ると、10%程度の人しか使わないという結果になっています。

米国でライフサイクル理論から逸脱する者が多く出てくる要因として、人々の流動性制約があります。流動性制約とは、お金を持たず、担保を用意できないような人はお金が借りられないということです。

ライフサイクル理論というのは、消費を一定に保とうとする人々の行動を描写しています。それは一生の消費水準で決まります。例えば、将来大幅に所得が伸びると分かっている人は高めに消費水準を設定しようとしますが、若い時には所得がまだ低いため、お金を借りればよい、という考えになります。しかし残念ながら将来稼ごうというのは個人の意志ですので、銀行に行ってもお金は貸してもらえません。

するとお金がない間は、自分が稼いだお金の範囲でしか生活ができません。将来稼げることは分かっているので、貯蓄をしない。もし人々がこういう生活をしているなら、急にお金が入ってきたときに消費するというのがあり得ると言われています。

その意味では、ライフサイクル理論もある種の拡張をすれば、ケインズ型消費関数に似た性質を導けるという理論研究があるのですが、日本ではそのようなお金のない人は10%くらいしかいないので、日本はライフサイクル理論で消費の動きが説明でき、世界的に見ても、ライフサイクル理論からの逸脱が非常に小さいことが分かってきています。

ライフサイクル理論の現在地

今、ライフサイクル理論の研究では、この流動性制約がなぜ起きるのか、人々がなぜ合理的でないのかについて、行動経済学を応用して説明しようという研究が行われていますが、今のところはかばかしい成果が出ていません。

ライフサイクル理論の現在地をお示しするとすれば、世の中の9割の消費行動というのはライフサイクル理論で決まっているということです。日本について言えば、流動性制約は重要な問題ではありません。生涯可処分リソースが変動しないような状況では消費は変動せず、変動するような局面では消費が変動することが分かっているということです。

質疑応答

Q:

最初に、先生が進めておられるRICH Projectについてご説明いただけますか。

A:

家計収支データというのは、日々、詳細な家計簿を一般の方につけていただき、整理・集計したSNAや家計調査のデータを使っているのですが、誤差が生じたり、信用性の点でしばしば批判がありまして、国民が十分な協力をしない限り、簡単には改善が難しい状況です。

その中で、Money Forward、Moneytree、Zaimといった大手が一元的に収集した家計収支データ、端的に言えば、人々が使っている銀行口座の出入金、クレジットカードの使用明細、株の売買情報を使って、効果的なデータ収集を行っているのがRICH Projectというものです。残念ながら、今のところその成果を報告できる状況ではありませんが、こういったデータを使うことで新たな展望を迎えられていると思います。

Q:

省エネエアコンへの補助金といった消費刺激策もあまり効果がないのでしょうか。

A:

エアコンの価格が安くなれば、例えば他の物を買おうと思っていた人がエアコンの買い替えを検討するように、消費の内訳に影響を及ぼすことはできると思いますが、消費の総額という観点では刺激にはならないだろうと思います。

Q:

今後社会モデルが変動し、より流動性が高まっていけば、ライフサイクル理論から大きく逸脱しないわが国の経済社会も変わっていく可能性があるとお考えでしょうか。

A:

日本社会というのはライフサイクル理論を守りやすく、将来を予測しやすい社会制度が多く作られ、それが人々の安定した消費行動をもたらしていたと思います。典型的には高齢者ですが、安定した年金制度によって老後に消費を変えなくても暮らしていけるという構図になっている一方で、老後に働くことが難しい社会にもなっています。

例えば、米国は老後も働ける限りは働くという社会で、そのため高齢者の消費水準が高い面もありますが、突如引退せざるを得なくなったときに消費を減らさざるを得えなくなったり、不安定な社会になっています。

その意味では流動性が高ければよいというものでもないし、安定していればよいというものでもありませんが、やはり安定は厚生水準の重要な決定要因ですので、消費水準が一定に保てるような社会制度は簡単には壊さない方がよいと考えています。

Q:

日本は将来への投資を高い貯蓄率でカバーしてきましたが、高齢化とともに貯蓄率が下がっています。日本の貯蓄率は今後も下がり続けるのでしょうか。

A:

貯蓄率低下の中で高齢化の影響はそれほど大きくないことが分かっています。かつては高齢者がいつまでも貯蓄をしていましたが、最近は高齢者が老後にその資産を取り崩しています。その変化こそが重要な変化要因なので、社会全体の構造を変えれば、高齢化が進んでも、貯蓄率を少なくとも今の水準で維持することは可能だと考えています。

Q:

異次元の少子化対策や防衛予算の拡充のための財源確保は私たちの予想形成にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。

A:

生涯可処分リソースにどのような影響を及ぼすかが人々の意思決定の中で重要な役割を果たします。どんな政策をどのような財源で実施し、誰にとってプラスあるいはマイナスになるかを示すことで、消費者が意思決定を行うことができ、政策側もその反応を予想することができます。

それを怠ると厚生水準が下がり、政府にとっても予期しない消費の落ち込みが発生しますので、政策を決めるときには財源までをセットにして、人々の反応を制御できる構図であること。それを政策担当の方々には意識していただきたいと思っています。

Q:

消費税の変化は、所得Yの変動のみならず、左辺の消費Cにも影響を与えてしまうのではないでしょうか。

A:

消費税率の引上げは、税込価格の上昇をもたらすので消費にも影響が出るのは確かです。完全な方法ではありませんが、品目別の物価指数で調整することで対応しています。

Q:

コロナ時の特別給付金は消費刺激という観点もありますが、当時は家計の流動性制約を緩和するという観点もあったかと思います。先生の研究成果を踏まえると、こうした政策は流動性危機に直面した家計を助けるという観点から見た方がよいのでしょうか。

A:

特別定額給付金が流動性制約を緩和させる効果があるのは、ご指摘のとおりです。しかし、政府が「誰が流動性制約に直面しているか」を知るのは容易ではなく、ターゲットを絞って給付をするのは困難です。本書では、政府がすべきは「所得再分配を伴わない流動性の供給」であると指摘しています。例えば、海外の事例で言えば、確定拠出年金の特例的な引出しや住宅ローンの借換え支援などです。このような政策であれば、不公平感を抑えながら、流動性制約に直面する家計の支援が可能だと考えています。

Q:

生涯所得の予想ということは、年功賃金のカーブがフラット化しても、総額の見通しが変わらない限り、ライフサイクル理論の支配度は変わらないのでしょうか。「あわよくば、高いポジションに転職できる」という楽観的な見通しが強まれば、変わるものでしょうか。

A:

年功賃金のカーブがフラット化すると流動性制約に直面する可能性は下がります(将来の所得を前提に、高い消費水準を設定することがないため)。逆に、経済成長率が高い経済ほど「その日暮らし家計」が多くなり、マクロ的にも所得と消費の連動が高くなります。

その意味では、私が分析したのは主に2000年以降の日本の家計行動ですので、よりライフサイクル理論が成立しやすい状況であった可能性はあります。

Q:

少子高齢化が進んでいる日本では、ライフサイクル理論からすれば、マクロベースの消費は減少するという理解で合っていますか。

A:

ライフサイクル理論では、年齢によらず一定の消費をすることが予測されています。そのため、年齢別の人口構成が変化しても消費は変化しないことになります。一方で、高齢化が進むと家計の所得が低迷するなら、マクロの消費も低下します。ただ、所得の決定そのものはライフサイクル理論の範囲外になりますので、実際のマクロ経済の動向を考えるにはライフサイクル理論を超えた議論が必要です。

Q:

2014年の貯蓄率がマイナスになったのはなぜでしょうか。

A:

あくまで参考意見ですが、消費税率引上げ前の駆け込み需要の影響の可能性はあると思います。耐久財や備蓄可能な財に対する支出は、ライフサイクル理論では説明できないことが知られています。(例えば、トイレットペーパーを買いためてもすぐに使うわけではないので、限界効用逓減の法則というライフサイクル理論の大前提が成り立たないからです。)

もともと現在の日本の貯蓄率は低いため、一時的な消費が増加した結果(通常の平準化されている消費は減らないため)貯蓄率がマイナスになったと考えられます。

Q:

日本経済の長期不況が構造的な消費不足だというのは、このライフサイクル理論から説明できるのでしょうか。また、いわゆる遺産動機は、ライフサイクル理論からどのように説明できるのでしょうか。

A:

ライフサイクル理論によれば消費が長期的な所得の動向に対する予想で決まっているため、むしろ「消費が不調なのは長期不況のために所得の伸びが期待できないから」と解釈すべきだと思います。消費の不足が不況の「原因」だとするならば、ライフサイクル理論とは別のロジックが必要になります。

遺産動機については、いまだ解明されていない部分だと思います。十分な分析ができない最大の理由は、人々がどのような財産を残しているのかに関する情報がほとんど利用できないからです。国税庁の持つ相続税の情報など、研究に利用できる情報の公開が進みつつあり、今後の分析が期待できる分野でもあります。

Q:

この本を通じて、皆さんにメッセージをお願いします。

A:

政策の対象者である国民は、政策担当者が思っている以上に合理的で、なおかつ将来を真剣に考えて行動しているということを端的に表すのがライフサイクル理論です。ですので、どういう意味で合理的なのか、どうやったら政策の向かう方向に彼らを向かわせることができるのかを真剣に考えていただきたいと思います。そのための材料、ケーススタディーとしてこの本を読んでいただけたら、政策決定に少しでも寄与できるのではないかと期待しております。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。