衰退の法則:日本企業を蝕むサイレントキラーの正体

開催日 2017年7月13日
スピーカー 小城 武彦 (株式会社日本人材機構代表取締役社長)
モデレータ 俣野 敏道 (経済産業省経済産業政策局産業再生課課長補佐)
ダウンロード/関連リンク
開催案内

「破綻する日本企業には類似点が多い」―企業再生の専門家がよく口にするこの言葉を端緒に実施した、実際に破綻に至った企業群と対照的に好業績を続ける企業群を対象とする比較事例研究の結果を紹介する。具体的には、1)破綻した企業群には共通する組織内メカニズムが駆動していること、2)当該メカニズムは事業環境が安定している間は問題とならないもののひとたび事業環境が変化するとそれへの適応を著しく困難にさせる性質を有していること、3)日本企業には当該メカニズムが駆動しやすい文化的な癖があること、が明らかにされる。3)については1990年代に生まれた新しい学術分野である文化心理学の知見を援用した議論を展開する。

これらを踏まえ、今後の日本企業のコーポレートガバナンスへの教訓の導出を試みる。

議事録

本研究のアプローチ

小城武彦写真本日のテーマは、私の個人的な研究の成果を発表するもので、所属機関の意見ではありませんので、ご理解いただければ幸いです。具体的には東京大学大学院においてまとめた博士論文がベースとなっています。

私は、実際に破綻した会社を学術的な方法論によって調査してみました。その結論は3点あって、1点目は破綻した会社には共通する組織内メカニズムが動いていることです。2点目は、このメカニズムは事業環境が安定しているときには大きな問題にならないのですが、ひとたび事業環境が変化すると一気に適応が難しくなることです。それをサイレントキラーと呼んでいます。3点目に、日本企業にはそういうメカニズムが回りやすい文化的な癖が存在することです。

以前から、破綻する日本企業の組織は、役社員が内向きで本質的な議論をしていなかったり、危機感が欠如していて負け戦をしている実感がなかったり、経営陣の経営リテラシーが不足していて表層的な数字ばかり追いかけて実態に迫れていなかったり、戦略性がないために採算の見込みがない事業をずるずると引っ張ったりするという類似点があるといわれていました。

ところが、日本には破綻会社にフォーカスした研究はほとんどありません。その一方で、バブル崩壊後の日本企業のパフォーマンスの悪さに関する研究は結構あって、その原因が破綻する会社の特徴と非常に似ているのです。そのことから、私は、組織が衰退し破綻に至る日本企業では、類似するメカニズムが社内で駆動しているのではないか。また、当該メカニズムは、とくに日本企業において駆動しやすい文化的な傾向があるのではないかと考えました。

そこで、本研究では、諸外国の先行研究が諸点を置いてきた「経営幹部による意思決定プロセス」と「経営幹部の資質」の2点に、「ミドルによる社内調整プロセス」と「ミドルの出世条件と経営幹部に登用されるプロセス」を加えて、これらが因果関係でサイクルを構成するのではないかとの仮説を立て、組織の衰退にアプローチすることにしました。

破綻企業の事例研究

研究対象としたのは、衰退の原因が個別企業特有の要因に帰属し、衰退に気付きながらもずるずると体力を消耗して自力再生が不可能になった企業です。具体的には、産業再生機構などの公的再生支援機関が対象とした破綻会社7社を選びました。対象企業が実質的破綻状態にあるものの再生可能性があることが公的に認定されていること、破綻事由が開示されていること、そして、私が再生機構にいたのでインタビュー対象者にアクセスしやすかったからです。

データ収集は半構造化インタビューが基本で、延べ87名に121時間、対面で企業の様子を聞きました。対象者は相対的視点を有する者ということで、公的機関から派遣された専門家(コンサルタントや会計士、弁護士)と当該企業への転入者と転出者、そして補完的にプロパー役社員も加えています。

破綻企業の特徴

破綻企業に共通する特徴は、まず意思決定プロセスが極めて予定調和的であることです。オフィシャルな場で言い合うのを好まない対立回避志向を有し、役職・年次などの既存秩序を過度に尊重して、学閥・派閥などの政治的な集団が存在します。

そして、それを背景として、予定調和的な取締役会や経営会議が開かれます。激しい議論を嫌い、役職上位者に過度に同調します。全会一致が原則で、1人でも反対すれば調整不足ということで意思決定が先送りになります。さらに、相互不可侵が原則なので、経営会議や取締役会に出席するメンバーには事業部門の代表と全社的経営を考えるという2つの立場がありますが、前者のことしか考えず、他部署に対して意見を一切言いません。よって、絶えず部分最適な議論しか行われません。

PDCAも欠如していて、犯人捜しをしないため、PlanとDoはありますが、CheckとActionがありません。また、成功・失敗の判断が曖昧で、白黒を付けません。対立回避志向が背景にあります。

社内調整プロセスでは、事前調整を重視し、妥協が多くなります。ミドルが社内調整を懸命に行うのは、反対意見を抑えるためです。全会一致の会議なので、反対が出ると大変な問題になります。なので、必ず根回しをするのですが、反対意見を抑えることで角が取れ、毒にも薬にもならない案に変容してしまいます。調整がどうしても難しい場合には玉虫色の表現で乗り切るため、同床異夢になります。それでも反対意見が残れば、上程を先送りします。

ミドルの出世条件にも特徴があります。まず、自分の意見を自粛し、幹部の意向を忖度する人です。そして、それを紙に落として会議を通せることも出世の条件です。それから、忖度するための情報が取れるよう、有力グループ・派閥に入っています。派閥に入れば社内調整のネットワークに入れるので、根回しが容易になります。それから、出過ぎず、気が利く人です。この4つを備えた人間が「できる人」として偉くなっていきます。

登用プロセスでは、有力者による引き上げが行われます。また、PDCAが回っていないので、業務成果によって淘汰されません。成果が出ていなくても偉くなれます。それから、人事評価システムが甘いです。対立回避ですから、厳しい評価をする人は人気がなくなり、偉くなれません。したがって、部下にも上司にもいい顔をする人がどんどん出世します。

破綻企業における経営幹部の最大の特徴は、社内政治力がとても強いことです。役職・立場・人間関係をてこに仕事をします。そこにはロジックはありません。それから、経営リテラシーと実務能力が低いのも特徴です。議論の大半が経験談と持論であり、ロジック・理論・データは彼らの議論には存在しません。それから、事実に基づく戦略論が苦手で、勉強していません。したがって、スタッフへの丸投げがとても多いです。

彼らの指示には特徴があって、手続き的指示に偏重します。「調整しろ」「頑張れ」とは言えますが、どうすればいいかは言えません。それから、数字の後講釈をします。決算のときに「なぜ営業利益がこれだけしかないのか」とは言うけれども、どうしたらいいかは言えません。

それから、人間関係偏重のリーダーシップを取ります。リーダーシップにはそもそも成果志向性と人間関係志向性の2軸があって、成果志向性はとにかく成果を取りに行き、組織の摩擦は構わないというもの。人間関係志向性はモチベーション、やる気、チームワークを尊ぶもの。両方とも強い人が良いリーダーといわれていますが、破綻企業の幹部は人間関係志向性に圧倒的に偏っています。

そして、経営学では、パワー源泉には情報パワー(上司が持っている情報や判断の正しさ)、同一パワー(憧れ)、正当性パワー(役職や権限)、賞罰パワーの4種類があるとされていますが、破綻企業では正当性パワーと賞罰パワーが圧倒的に強い一方、いい会社では情報パワーと正当性パワーが強いです。

破綻企業では、これらの特徴がサイクルとなって回っていると考えられます。予定調和的な意思決定のために反対を消す妥協的な調整が社内で行われ、これを一生懸命やった人が「できる人」として偉くなり、経営幹部は社内政治力がとても強いけれどもリテラシーは低くなっています。ですから、この意思決定プロセスを変えるモチベーションを持っていません。

もう1つの特徴は、破綻企業の社員は、幹部も含めてみんな愛社精神が旺盛なことです。したがって、悪意は一切ありません。善意でこのサイクルをぐるぐる回しているのです。組織の中の個人は適応するので、組織の中で生き残るように動くわけです。すると、そういう調整を一生懸命やって、何とか幹部に気に入られて偉くなろうとします。偉くなれば、そのメカニズムを壊そうとは思わず、当たり前のように参画するようになります。

こうしたサイクルが回っていると、構成員の関心は否応なしに社内に向いてしまいます。そこにはお客さまも競合も市場もありません。したがって、環境変化に対する感度が大きく低下し、事業環境が安定しているときには問題は顕在化しませんが、事業環境が変わったときにハンドルが切れず、破綻してしまうのです。

仮に環境変化に気付いても、幹部のリテラシーが低いので戦略性や経済合理性のある判断ができません。致命的になるのが事業構造改革を躊躇することです。全会一致の原則が効いているので、誰かが反対する案件を決議できないのです。赤字部門の縮小や事業場閉鎖の意思決定をようとしても、根回しの段階でつぶれてしまいます。万が一、役員会に上がっても、誰かが一言言えば調整未了で先送りにされてしまうので、ずるずると組織が衰退していきます。

こうした衰退惹起サイクルが回る中では、環境変化が起きなければいいのですが、起きてしまうと適応不全を起こします。私が調査した会社は、全てそこで立ち往生していました。再生のタイミングが早ければ打つ手の選択肢は広いですが、立ち往生するとどんどん選択肢が減ります。最終的には破綻しかない状態になり、再生機構などの公的機関に駆け込むというのが破綻企業の共通項となっています。

優良企業との比較

一方、優良企業も意外と破綻企業と似ていることには驚きました。インタビューすると、対立回避の傾向はあるし、予定調和で済めばそれに越したことはありません。破綻企業のような出世条件も一定程度必要でしょうし、経営幹部も政治力が要るという答えも意外と多いのですが、決定的な差異が2つ見つかりました。(1)事実をベースとした議論を尊重する規範の存在と、(2)人事部局の統制に基づく公正な登用プロセスです。

予定調和的な傾向は否めなくても、事実をベースとした議論という規律が横串でしっかりと入っています。持論と経験談しか言わない幹部がいる会社では、若手の議論は上に上がりませんが、優良企業は事実をベースとしたロジカルな議論を尊んでいるので、若手の議論も上まで上がっていきます。また、人事部局が各構成員の人事データを蓄積しているので、仮に一本釣りしようと思っても人事部が反対します。ある種の良識の府として人事部が機能しています。この2つが、くさびとしての機能を果たしています。

社内調整力もあった方がいいのですが、それよりも大事なのは正論をしっかりと展開・実行できる人間です。それから、偉くなった人は衆目一致する能力と人間性を持っています。人事が見ている視点が厳しいので、公正なプロセスが入っているのです。結果的に当然、経営者のリテラシーは高い人が大半となります。ですので、ライバル企業が衰退していく中で環境変化を乗り切ることができるわけです。

計量的実証研究

こうした破綻企業で見られたサイクルが、本当に日本企業で回りやすい傾向にあるのか検証してみました。上場企業グループ6社にご協力いただいて、サンプルを取って統計解析をしてみました。文化心理学という学術分野の知見を援用しています。

文化心理学は、1990年ごろに登場した新しい学術分野です。それまでの心理学では人の心の構造は全世界共通であるとの大前提(心性普遍性)がありましたが、文化心理学では地域差があると主張され、豊富な実証が蓄積されてきました。

たとえば、心理学の実験で「私は、○○である」という文章を埋めてもらったときに、北米の人は「私は好奇心が強い」など、1人で完結する答えが多いのですが、日本人は「私は○○会社の部長である」など、他人がいないと定義できない答えが多くなります。北米地域と東アジア地域では、自己に関する考え方(文化的自己観)が異なるとされ、回答の違いは自己観の違いを反映しているとされています。

北米は相互独立的自己観といって、人はそもそも他と切り離され、独立して存在しており、自分自身の誇るべき特徴を見いだして外へ表現し、その特徴の存在を自ら確証できた人が一人前であるという大前提があります。しかし、東アジアは相互協調的自己観といって、人は周囲の人と関わって生きており、意味のある社会的関係に所属し、他人と協調的環境を維持できる人が一人前であるという大前提があります。

つまり、日本人が自己を定義するときに、近い他人との関係で考えてしまう癖が文化的にあるといえます。北米人にとって近い他人(内集団)と遠い他人(外集団)は質的に同値であるのに対し、日本人にとっては質的に差異があります。日本人はよく「ソトモノを嫌う」といわれますが、こうした自己観の違いが背景にあるようです。初めて出会った人に対する信頼度を測定すると、アメリカ人と比べて、圧倒的に日本人の信頼度が低いといわれています。

この自己観が、先ほどのサイクルにどう影響するのかを統計解析してみたのが私の研究です。予定調和的な意思決定や根回しの部分を個人の行動までブレークダウンした指標を新たにつくって測定してみました。

すると、日本人に多いとされる相互協調的自己観の強い人ほど、意思決定に際して予定調和的な行動を取ることが分かり、相互協調的自己観がさきほどのサイクルを誘起しているのではないかと考えました。

そうはいっても、経営者としては経営努力で何とかならないかと考えると思うので、経営施策に関する項目を変数に加えてみた結果、それなりに効果がありました。たとえば自分の業務をしっかり理解していれば社内調和優先の行動を抑制できるし、会社を背負う意識を強く持っている人も同様になります。逆に、愛社精神が強い人はやはり社内調和優先になってしまいます。いずれにせよ、文化的には影響があるのですが、経営的にも一定程度コントロールできるということです。

つまり、今回の研究から、破綻会社では衰退惹起サイクルを中心とした概念モデルが駆動している可能性が高く、それは東アジアの文化的特徴によってアクセルが踏まれているのではないかということが分かります。

実践的インプリケーション

このことは、日本企業の経営者に対する警鐘だと思っています。環境が安定しているときには問題が生じないので、気付かないうちに衰退惹起サイクルが回ってしまっている危険性があります。

それから、サイクルが自走してしまうので、内部から制御するのはとても難しいです。

したがって、独立社外取締役は重要だと思います。コーポレートガバナンスコードには独立社外役員の役割等が書いてあり、「経営幹部の選解任その他の取締役会の重要な意思決定を通じ、経営の監督を行う」とあります。これは、優良企業が打っているくさびと同じではないかと思いました。ですので、衰退惹起サイクルが回りがちな組織に空気を読まない独立社外役員が入って、空気を壊す役割をすることは大事だと思いました。

もう1つのインプリケーションは、企業再生実務の観点からのものです。衰退惹起サイクルが回っていると、そう簡単には止められません。なぜなら、組織の全員が参画してしまっているからです。ただ、企業再生は、不採算部門の撤収や債務免除など、かなり短期間の外科手術で済むケースが少なくありません。そうすると組織全体の体質が温存されて、衰退惹起サイクルが再駆動するリスクがあります。

したがって、とくに組織が大きく、組織ワイドにサイクルが回っている企業の場合、相当手を入れないと企業再生は完成できないと思います。

質疑応答

Q:

最近は副業がかなり注目されていますが、今日の話では、会社と働く人の関係を相対化していく中で、優良企業に少しでも近づけるのではないかという印象を受けました。その関係で何かできる話があれば、お願いします。

A:

全く賛成です。このサイクルでは、組織の中で生き残っていかなければならないことが一番効いていて、個人的には環境に適応してしまっている結果なのです。なので、まさに副業が広がることによって、このサイクルが回るのを防ぐ風土が日本全体にできると、とても効果が大きいと思います。

Q:

優良企業のインタビューを通して、先ほどの実践的インプリケーションで触れられていること以外にも、こういう打ち手があるとか、何か示唆があれば教えてください。

A:

いい会社は経営陣がリスクをちゃんと分かっていて、意識的に2つのくさびを打ち込んでいます。なので、それなりの人が偉くなっていくので崩れにくく、緩めるとまた元に戻るという危機感を持っています。ただ、これがいつから入ったのか、入るときにどうしたのかという調査にまでは及んでいません。

経営者自身がこのサイクルに入ってしまっていれば、それを変えるモチベーションはきっとありません。おそらく株主的な規律などが入らないと、きついという気がします。独立社外役員が衰退惹起サイクルを壊す役割を果たせるかどうかが試金石だと思います。

Q:

戦後の日本を見ると、基本的に日本経済全体のビジネスモデルが時代に合っていたのだと思います。そのビジネスモデルが合わなくなってきたから落伍する企業が随分出てきたので、組織論だけでは全てを解決できないと思います。それから、製造業の在り方も世界的に変わってきていると思います。

A:

今回の分析にはサービス業も含まれています。これまでの日本経済全体のビジネスモデルが時代にあっていたとのご指摘はそうだと思います。

少し補足しますと、本日は、非オーナー系企業の話しかしていません。実は、オーナー系はいい会社も悪い会社も社内構造があまり変わらず、オーナーが全てを決めています。ただ、いいオーナー会社はオーナーの意思決定の間違いを補正するメカニズムを持っています。オーナー会社はオーナー会社として別途動いている企業群があって、彼らはオーナーの嗅覚や直感や戦略的見識によって動いています。非オーナー系の企業とは異なる組織構造なので念のため補足しておきます。

Q:

グローバル展開をしている場合、海外法人の人事においては、どのようなことに気をつければよいでしょうか。

A:

先ほど述べた人事部局のくさびは、日本の企業を念頭に置き、終身雇用慣行があり、長く会社に居続ける人が大半の組織において、問題点をどう解消するかという観点のものです。したがって、労働流動性が高い社会や北米など相互独立的自己観が強い地域においてはこういうくさびの必要性は下がると思います。

Q:

独立社外取締役のような外部の目を入れる取り組みが、その企業のパフォーマンスにどのような影響を与えるのでしょうか。

A:

日本の企業における社外取締役の企業パフォーマンスに対する影響を扱った研究があるかどうかは、わかりません。私が知る限り存在しないように思います。

個人的な経験論ですが、外部の目が入った方が議論の深みが増すメリットがあると思います。しかし、多くの会社では取締役といえども社長が選んでいるので、社長に対してきついことを言えない可能性が高いでしょう。なので、社長とあまり利害関係のない社外役員をいかに選任するかが、ガバナンスを改善する観点からは有効だと思います。

Q:

相互協調的自己観という日本の文化的側面を、そもそも前提にしなければならないのでしょうか。

A:

相互協調的自己観の人間が集まった会社は駄目かというと、そんなことはありません。たとえばリーダーや経営陣がちゃんと操作することによって、チームワーク良く、モチベーション高く、前に進む会社になるケースも多いでしょう。

ただ、製造業やサービスの現場で、少人数のリーダーが方向性を決めて、あとはオペレーションで回すことが競争力になるような業態と、もう少し小型で環境変化に応じて機敏に戦略を変更することが必要な業態では異なると思うので、そのあたりで、どちらがいいかが決まってくると思います。それから、相互協調的自己観は、時と場合によってある程度変化するのではないかという研究者もいます。たとえば、何か明確な指針が出ると人間の行動は自己観にかかわらず変化するという研究者もいて、学会内でもまだ意見が分かれています。

人間は実際の自分の行動を決めるときに、自分を取り巻く環境からさまざまな要素を取り入れて最終的な行動を決めます。ですから、仮に相互協調的自己観が強い人間だとしても、いつもそれがそのまま行動に出てしまうとは限りません。私も一定程度コントロール可能だと思っています。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。