男女の職業分離の要因と結果― 男女平等の今一つの大きな障害について

開催日 2015年12月18日
スピーカー 山口 一男 (RIETI客員研究員/シカゴ大学ラルフ・ルイス記念特別社会学教授)
モデレータ 関 万里 (経済産業省経済産業政策局経済社会政策室係長)
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専門職を、ヒューマン・サービス専門職(教育・養育、医療・健康・看護、社会福祉の専門職)でかつ最も地位の高い職(医師・歯科医師、大学教授)を除くタイプ2型の専門職、その他の専門職をタイプ1型の専門職に分けて日米を比較すると、タイプ2型の専門職や事務職に女性が男性より多いという特徴は日米共通であるが、タイプ1型の専門職や管理職の割合では日本は米国に比べ女性割合が遥かに少ない。またわが国について人的資本や就業時間を制御して、職業別の男女の所得格差を見ると、タイプ1型の専門職内で格差が最も小さく、経営・管理職がそれに続き、女性割合の多いタイプ2型の専門職や事務職では格差が極めて大きい。

従って女性は職業分離のあり方を通じて所得について2重にハンディキャップを負っている。即ち一方で職業内男女賃金格差の比較的少なく平均賃金の高い職(タイプ1型の専門職と経営・管理職)では女性割合が極めて少なく、他方で女性割合の大きい職(タイプ2型の専門職と事務職)内では男女賃金格差が極めて大きい。

続いて、男女の職業分離が、人的資本(学歴、勤続年数、年齢)の男女差や、大学の学部専攻や高校のタイプの分離によってどの程度説明出来るかを分析した。結果としてパラドックスともいえるが、人的資本の男女の平等化は、男女の職業分離をかえって増大させることが判明した。これは女性の人的資本の増大が、女性に多いタイプ2型の専門職を増大させる度合いが女性に少ないタイプ1型の専門職や管理職を増大させる度合いを上回るからである。一方男女の専攻差に関しては、理工学部系女性大卒者の割合が極めて少ないことが、タイプ1型の専門職割合の男女差の最大の説明要因であった。

この結果いわゆる「リケジョ」の推進は、理工学系分野における女性の人材活用を通じて労働生産性向上に貢献することが期待されるだけでなく、男女の不平等の解消にも寄与することを示唆する。

BBLではさらに男女の職業分離の原因とそれが男女賃金格差に与える理論についてレビューし、実証結果との整合性を検討した結果女性に対する統計的差別理論と、企業が性別により職務の適性が異なると考え採用・配置を行うというステレオタイプ理論が共に当てはまるという解釈が最もわが国の実情と整合性を持つこと示す。

議事録

日本は、高度専門職の女性比率が極めて低い

山口 一男写真欧米では、専門職の発展が女性の活躍の進展に結びついてきましたが、日本では専門職女性の増加が女性の活躍推進に大きく貢献してきたとはいえません。それは、なぜなのでしょうか。専門職といっても多様であり、女性の専門職の偏りが原因と考えられますが、それがどのように賃金格差と結びついてきたのかを考えたいと思います。

我が国は、高度専門職に女性が非常に少ないのが実態です。OECD統計(2012)によると、大学教員の女性割合は、日本が25.2%で最下位という状況です。トップのフィンランドは50.2%、他の国々も40%台が多く、最下位から2番目の韓国も34.5%です。実は、かつて韓国も日本に近い低水準だったのですが、大学のグローバル化が急速に進み、欧米に追いついてきました。留学率も男女差がなくなっています。ですから国際的にみて、日本がガタンと落ちこむ状況となりました。大学教員の中でも、職階が高い職の女性割合はさらに低くなります。平成26年度の日本における学長の女性割合は9.1%、教授の女性割合は14.4%に留まっています。

医療分野では本来、女性が活躍するという共通の特徴が世界でみられ、我が国でも、江戸時代(生まれ)の女性が活躍していた伝統があります。たとえば野中婉(えん)(1661-1726)は、土佐藩の女医で大原富江の小説『婉という女』の主人公として描かれました。楠本イネ(1827-1903)は、初めての西洋医学の女医(産科医)で、シーボルトの娘です。荻野吟子(1851-1913)、高橋瑞子(みずこ)(1852-1927)、生沢クノ(1864-1945)の3人は、日本でもっとも初期に国家資格を持った女医であり、それぞれ個性的に活躍した人たちです。

そこで医者の女性割合をみると、OECD統計(2011)では、日本が18.8%で最下位、上位には50%以上を女性が占める国々が連なっています。なぜ、女性が活躍する伝統のある分野ですら、我が国では女性の活躍が進まないのでしょうか。資格をとっても育児などで仕事を辞めてしまう女性は一部にいますが、それだけが原因ではありません。もともと資格を取得するところから、大きなハンディをおっているという現状がいまだにあります。

では、いわゆる「リケジョ」はどうでしょうか。研究者の女性割合(UNESCO統計、英・米・韓と日本は総務省資料)は、日本が14.4%で最下位、その次は韓国の17.3%です。高度な専門職の女性割合について、OECD諸国内で日本が一貫して「ビリ」、韓国は一貫して「ブービー」という状況は変わりません。しかし、高度な専門職の女性割合の順位が高い国は一貫しているわけではなく、専門職の種類によって異なります。やはり日本には、高度の専門職で女性の活躍が進まない理由があり、それを考えるには、より広く男女の職業分離について分析する必要があります。

男女の職業分離について

米国では、男女の職業分離が男女賃金格差の主たる要因と考えられています。しかし女性割合の大きい職が、男性割合の大きい職に比べ平均的には低賃金であることから、男女の賃金格差は存続しています。同一価値同一労働賃金の考えは、この理由で生まれました。

一方、日本では、男女の職業分離は、管理職割合の男女差を別とすれば、不平等研究では軽視されてきました。同一職業内でも、性別や勤続年数や雇用形態(正規・非正規別)で大きな賃金格差があり、米国の状況とは異なり、男女の職業分離自体が男女の不平等の主たる要因とは、考えられてこなかったためです。また、職業が内生変数(観察されない要因による選択バイアスがあるため、賃金への因果的影響が測定しにくい変数)であるため、経済学者も職業分離の影響はほぼ無視してきました。

男女の職業分離の日米比較と時代変化(データ:日本SSM調査、米国人口センサス)を分析するにあたっては、専門職をタイプ1型専門職(その他の専門職、ヒューマン・サービス系以外および大学教員、医師、歯科医師)とタイプ2型専門職(教育・養育、医療・健康、社会福祉といったヒューマン・サービス系の専門職で大学教員、医師、歯科医師以外)に分けました。

日米の共通点として、日米ともに、かなり男女の職業分離があり、男性に比べて女性はタイプ2型の専門職と事務職の割合が極めて大きいことがわかります。一方、日米の相違点として、米国に比べて日本ではタイプ1型の専門職の女性割合がはるかに小さく、経営・管理職の女性割合もはるかに小さい状況です。また作業職の女性割合は、日本が米国より大きくなっています。

こうした相違は、米国に比べて日本での男女の不平等度が大きいことを示しています。なぜなら、タイプ1型専門職と経営・管理職は最も平均賃金の高い職であり、作業職はサービス労働と並び最も平均賃金の低い職の1つであるためです。

日本における男女の職業分離の変化

男女の職業分離に関するパラドックスとして、日本では1995年から2005年の10年で、女性の4年制大卒割合は増え、男女の学歴格差は小さくなったにもかかわらず男女の職業分離度は大きくなりました。米国では、男女の学歴格差の解消が男女の職業分離度を小さくしていますので、日本の現象は非常に稀といえます。

その主な原因は、女性の高学歴化に伴って10年間に女性の増えた主な職業がもともと男性より女性に多いタイプ2型の専門職であり、女性の減った主な職業は、もともと男性より女性に少ない作業職であったためです。つまり、高学歴化が男女の分離をより広げる傾向を生み出したわけです。

では、この変化が男女賃金格差解消上、女性にとって有利な変化だったのでしょうか。答えは、タイプ2型が増えたことについてはノーですが、作業職が減ったことについてはイエスです。とくに前者が問題で、専門職が増えると、女性の活躍が進むという図式が成り立っていない構造がここにあります。

男女の職業分離の関連理論

まず、なぜ男女の職業分離が起こるのかについては「労働供給要因理論」として、1)教育における人的資本投資のパターンの男女差、つまり学歴差に加えて職業高校のタイプや大学の学部・学科の専攻などが男女で異なること、2)女性が家庭の役割と両立しやすい職を選好しやすいこと、3)その特殊な帰結として、女性は男性に比べて非常勤雇用(パートタイム雇用、派遣雇用、臨時雇用など)を選好する傾向が大きく、これらの雇用形態の職と常勤雇用の職とは職種の分布が異なること(Callaghan and Hartman 1992)があります。

次に、労働需要側の要因に関する理論として最もよく知られているのは、性別を理由にした女性に対する「統計的差別理論」(Phelps 1972)です。社会学者のビールビーとバロン(Bielby and Baron 1986)はフェルプス理論を応用し、米国において、企業は女性の離職率・転職率が男性より平均的に高いという理由から、女性には短期的就業でも企業にとって利益がある仕事や、突然やめられても他の雇用者で代替しやすい仕事に雇用しやすいという傾向を指摘しています。

この統計的差別は男女の職業分離が起こるだけでなく、たとえば「事務職」という同一職業内でも、仕事(ジョブ)や職務(タスク)の配置を通じて、女性がより代替しやすい、比較的容易な職務に割り振られ、賃金も低くなるという結果を生みます。これは日本でも指摘されており、女性は事務職内でもキャリアの進展性が低い補佐的な仕事を割り当てられやすい傾向があります。ちなみに私は、女性の育児離職率が高いという理由での女性への統計的差別について、我が国では経済的に不合理であるという論を2008年に主張しています。

もう1つの重要な理論は、性別により職務の適性が異なると雇用主や上司が考えること、つまり性別による職のステレオタイプがあるために、男女の職業分離が起こるという「ステレオタイプ論」です。

たとえば男性に比べ、女性が事務や広報(PR)、女性消費者へのマーケティングなどに配置されやすい傾向や、専門職の中でも養育・保育、看護といった女性が雇用されやすい職があることが知られています。

この理論の経済学的なインプリケーションの重要な点は、企業によるステレオタイプが少なくとも部分的には偏見であり、その職における実際の労働生産性との乖離を生むと仮定すると、賃金が労働生産性に見合う状況では、雇用主によって男性が選好される職においては、男性の人的資本が女性の人的資本を下回る結果、女性の賃金が相対的に男性より高くなり、女性が選好される職では、男性の人的資本が女性の人的資本を上回る結果、女性の賃金が相対的に低くなるであろうという論理的帰結を得ることです。しかし実証結果は、米国の結果も、日本の結果も、この理論のみで男女賃金格差の実態を説明することはできません。

また、社会学者のイングランドら(England 1988)は、米国の場合においても、学歴や経験が同等でも女性の割合が多い職のほうが男性の割合の多い職より平均賃金が低くなっている理由について、女性の職に多い子どもの教育、病人の看護、幼児や老人の介護・ケア、社会福祉士業務など、養育やケアに要求されるスキルは、市場で低く評価されるという理論を示しました。これを「デバリュエーション(devaluation)論」と呼びます。

我が国でも、ジャーナリストの竹信三枝子氏が、家事・育児労働に近い労働は無償で提供すべきという考えがあり、この考えが家事・育児に近いスキル労働の賃金を不当に下げていると主張しています。

重要な点は、イングランドの理論は職業評価を通じた女性への間接差別の理論であり、「女性労働」とみなされる職業の従業者は性別にかかわらず賃金が低くなり、同一職業内の男女の賃金格差はないと考えている点です。これは、男女賃金格差が同一職業内ではなく職業間のみで存在する米国の実態とは整合しますが、同一職業内での男女の賃金格差が大きい我が国では、デバリュエーション論のみでは単純に日本の現状を説明することはできません。

「職業選好の内生成理論」として、家庭と両立しやすい職や非正規の職を選好する労働供給要因論について、女性の特定の職の選好は内生的なもので、雇用や職場や職に付随する働き方のあり方など、労働の需要側の特性によって大きく異なるという点を強調する理論があります。これは、我が国において私が強調してきた点です。

2006年時点で、正規雇用のパートタイム(35時間以下の短時間勤務)の職は全体の1%にも満たなかったため、家庭との両立の必要性から、正規雇用の女性が短時間勤務を選好すれば、結果として非正規雇用に変わらざるを得ませんでした(山口 2008)。また日本では、正規雇用の職業の中で、管理職がもっとも非自発的に残業する度合いが高くなっています(山口 2010)。一方、米国の多くの女性は、管理職になることで自分の仕事における時間管理がより容易になり、ワークライフバランスの達成がより可能と考えています。我が国において、女性が管理職を忌避する傾向がみられる背景には、時間的に柔軟性のない管理職の働き方の問題があります。

我が国の職業別平均賃金の特異性

個人所得への性別と職業の影響を分析すると、欧米諸国の多くでは、平均賃金は「経営・経営>タイプ1型専門職>タイプ2型専門職>事務・販売>作業職・サービス労働」の順となります。しかし日本では、性別を制御しないモデル1の結果では「経営・管理>タイプ1型専門職>タイプ2型専門職=事務・販売事務=作業職>サービス労働」の順になります。つまりタイプ2型専門職の平均賃金が異常に低く、作業職の賃金が異常に高くなります。

しかし、性別の影響を制御するモデル2の結果では、職業間の平均賃金格差はほぼ欧米型になるのです。つまり、日本では性別の賃金への影響が大きすぎるため、女性割合の多いタイプ2型の平均賃金が下がり、男性割合の多い作業職の平均賃金が上がる影響によって、性別を制御しない場合の異常な順位結果を生んでいるわけです。ただし、男女の賃金格差の度合いは職業によって異なります。

男性事務職をゼロとして職業、性別相対賃金をみると、資本の男女差や雇用形態の男女差を制御しても、経営・管理職とタイプ1型専門職を除き、タイプ2型専門職を含む他のすべての職の女性の平均賃金は、男性のブルーカラー労働者の平均賃金を大きく下回ります。

前述のどの理論も、単独ではこの特徴とは整合しませんが、統計的差別理論とステレオタイプ理論がともに成り立つとすれば、事実と最も整合します。同一価値労働同一賃金は、男女の賃金格差解消の有効な手段とはなり得ませんが、正規と非正規の均等待遇のためには有効と考えられます。

男女の職業分離や賃金格差の解消にどのような手段が有効か?

まず、反事実的に「男女がこれこれの属性で同一の分布を持っていたならば」という仮想状況を考え、そこでどういう結果になるかを分析します。ただし、たとえば男女の教育や「勤続年数が同じになった時」に、個人がどのような職を得る割合がどのくらいになるかの推定には、2つの異なるメカニズムの仮定が考えられます。1つは、職業の分布は労働供給要因でのみ決まるという仮説による推定(DFL法)、2つ目は、職業の分布は労働需要要因でのみ決まり、労働供給の特性の変化は職と人とのマッチングのみ変わるという仮説による推定(マッチング法)です。

そして実際に起こる結果は、その中間だと考え、仮想状況を分析しました。モデル1は、女性の人的資本(学歴・年齢・勤続年数)が男性と同じになった場合で、モデル2は、人的資本に加え正規雇用割合も女性が男性と同じになった場合です。その結果をみると、仮想での今後の変化は、1995年から2005年に起きた実際の変化と類似することが予測されます。

女性の人的資本が同等になると男女の職業分離度が増し、正規雇用割合も男女同等になれば、分離はさらに進んでしまいます。その理由は、男女の平等化により、もともと女性割合の大きいタイプ2型専門職が増える度合いが、女性の少ない経営・管理職やタイプ1型専門職が増える度合いより大きく、また、もともと女性割合が小さい作業職の減る度合いが、もともと女性割合の大きいサービス労働職の減る度合いより大きいためです。

タイプ2型専門職の女性賃金は、男性のブルーカラー職の賃金よりも低いため、女性の高学歴化は、男女の賃金格差をほとんど縮小しません。また、勤続年数や正規雇用割合の男女の同等化は、賃金への直接的効果として女性の賃金を上昇させますが、その一方で職業分離を増大させるため、その間接効果によってかなり相殺されてしまいます。

では、男女の職業の分離について、大学の学部専攻や高校のタイプの男女差によって説明できるでしょうか。高校のタイプおよび大学の専攻の分布をみると、男女の分離度は非常に高いことがわかります。とくに、大学の理工学部と工業高校は極端に男子が多く、大学の家政・栄養学部および家政・看護高校は極端に女子が多く、偏っている状況です。

そこで、大学の専攻や高校のタイプも男女同等化した場合を考えました。男女の一方に極端に偏っている先ほどの4種(大学の理工学部や家政・栄養学部など)については、一方の性の標本が少なすぎるため、仮想状況の結果を有効に推定できませんが、女性の大学の理工系専攻や工業高校出の割合が男性と同等になれば、男女の職業分離は10~20%減少することが期待できます。男女の職業分離は、教育課程における男女の分離のせいではなく、労働市場で生じています。

結論

男女賃金格差には、管理職割合が小さいこと、非正規雇用割合が大きいことに加え、女性の専門職がタイプ2型に極端に偏り、かつ我が国では、タイプ2型専門職は女性の場合のみ極端に平均賃金が低いことが大きな原因の1つと考えられます。現在の学歴別職業分布の男女差を維持したまま男女の学歴が同等化しても、男女賃金格差の解消にはほとんど結びつかないでしょう。

タイプ2型専門職のみ男女賃金格差が大きい理由として、一方で女性への統計的差別により賃金が低く設定され、他方でステレオタイプの雇用によって女性が過剰供給になり、相対的に労働生産性の低い女性が雇用される点が、さらに女性の賃金を押し下げるためと考えられます。

逆に、タイプ1型専門職に男女賃金格差がほとんどないのは、一方で女性への統計的差別で賃金が低く抑えられる傾向があるとしても、他方でステレオタイプの雇用によって男性が過剰供給となり、相対的に労働生産性の高い女性が雇用されることで、統計的差別の効果を相殺するためと考えられます。なぜ、タイプ2型の専門職に大きな男女賃金格差が生じるのかは、今後も引き続き研究分析が必要です。

「リケジョ」の推進は、タイプ1型専門職の女性割合を増やし、かつ男女賃金格差も減少させるという一石二鳥の政策といえます。企業による性別に基づいたステレオタイプ的雇用や職の配置をしないよう行政指導することが、女性の活躍推進法の運用上、極めて重要です。また仕事と家庭の両立しやすい職場環境を推進し、女性の育児離職率を下げることで、企業による女性への統計的差別が起こりにくい社会環境を実現する必要があります。

質疑応答

モデレータ:

我が国では、統計的差別とステレオタイプがともに成り立つ時、性別による賃金への影響が大きいということですが、それは主にタイプ2型専門職に当てはまるのでしょうか。

A:

賃金格差は、女性の進出が少ないタイプ1型専門職の場合は小さいわけですが、それは統計的差別がないからというよりは、女性が入りにくい職業のためと考えられます。タイプ2型専門職は女性が過剰供給となるため、平均的な生産性が低下し、賃金が押し下げられます。

Q:

日本はリケジョが少ない状況ですが、中高教育あるいは大学において、欧米では日本と異なる教育を行っているのでしょうか。

A:

米国では、大学の専攻において、理系というよりも社会科学系への女性の進出が増えていると思います。それが高校などの進路指導によるものかはわかりません。米国の教育では、すでに多様性が強調されていますから、多様なキャリアのイメージを膨らませることへの意識も高いことが予想されます。いずれにしても、キャリアデザインを考えることと職業訓練を行うことは、まったく別のものであると認識すべきでしょう。日本でも、キャリアデザインの教育は高校から行うべきだと思います。しかし職業訓練は、早くから行うと広く発展しない人材が生まれてしまうことが懸念されます。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。