北朝鮮の現状と核問題

開催日 2004年3月17日
スピーカー 遠藤 哲也 (前内閣府原子力委員会委員長代理)
モデレータ 入江 一友 (RIETI総務ディレクター)

議事録

苦境にある北朝鮮経済

北朝鮮はかつてのソ連以上に把握しにくい国だと思います。それは外国に対する警戒感が強いこと、ソ連に比べて民族が単一に近いこと、ソ連のようにヨーロッパに接していないことに加え、日本ではマスコミも含めていろんな人がそれぞれ主観的な意見を述べているので、ますます把握しにくくなるのだと思います。本日は北朝鮮の現状を経済、軍事、内政と分けてお話しし、核問題、拉致問題にも触れたいと思います。

まず北朝鮮の経済ですが、これは比較的把握しやすいです。なぜかというと、ある程度貿易をしていますから、隠そうとしても外からわかります。結論からいいますと、八方ふさがりで全く行方がわからない厳しい状況です。どういう面が特に困っているかというと、第1に農業・食糧問題、第2にエネルギー(石油)問題、第3に外貨不足問題、これらに集約されると思います。

農業に関していえば、北朝鮮という国は山が多いうえに寒冷地で、農業に適した所ではありません。日本の朝鮮統治時代も南朝鮮で農業を行い、北朝鮮では鉱工業を行っていました。それに加えて、協同農場ということ、そして一番大きな問題は政治的介入です。金日成、金正日は北朝鮮では神様ですから、何か一言いえばそれは金科玉条となります。かつて金日成が「トウモロコシを作れ」というので、山を開墾してトウモロコシ畑を作りました。しかし丘陵地帯にトウモロコシ畑を作ったらどうなるかといえば、大雨が降れば川に土砂が流れ込み洪水になり、雨が降らなければ干ばつになるわけです。また「密食栽培をやれ」ということで、確かに最初は生産高が上がったのですが、肥料も与えないで続けているので、やがては急速に生産高が落ちてしまったのです。国際社会の食糧援助は今も続けられていますが、農業生産が改善するきざしは見えません。その結果起こっているのが飢餓で、相当の栄養不足が生じ、餓死者も出ているのではないかと思います。食料援助も必要ですが、根本的な解決が必要です。

次に石油に関してですが、北朝鮮はわりと鉱物資源には恵まれていますが、石油はありません。北朝鮮の1980年代の石油需要高は年間250万トンといわれていて、大雑把にいうと、そのうちの100万トンを中国、あと100万トンをソ連、残り50万トンを中東から供給していました。中国からは今もパイプラインでひいています。ソ連からはCOMECON価格で、一般の3分の1程度で供給されました。中東からは、はっきりしませんが、ミサイルとの交換で供給されたと思われます。ところがソ連崩壊で、100万トンがこなくなり、今でもなくなったままです。それから中東からの分も、監視の目が厳しくなってあまり入っていないようです。中国からは今も100万トンぐらいが入っているようですが、北朝鮮はお金がありませんから、支払はツケではないかと思います。KEDOでアメリカから無償で50万トンの石油が入っていたのに、これも昨年からなくなりました。これはかなり厳しい状況だと思います。これも改善の見通しは立っていません。その影響で工場の稼働率が非常に落ちています。経済成長率は90年代の半ば頃はマイナス成長が続いたのが、21世紀になってわずかに回復しているようです。

最後に外貨不足の問題です。北朝鮮の商品は質が悪くて売れませんし、工場の稼働率も悪い。輸出できそうなのは、無煙炭、亜鉛、鉄鉱石、水産物くらいです。しかし水産物も、ガソリンがないので遠洋漁業ができず、近海漁業だけなので、これも減っています。輸出、輸入ともに激減している状態です。70年代、まだ北朝鮮が元気だった頃はかなりのプラント輸入をしていましたし、日本からも入りました。ところが70年代半ば頃から貿易保険の適用を受けるようになり、今でも利子を含めて1000億円近い債務があると思います。かろうじて行われているのは委託加工で、それも日本が相手というより、在日朝鮮人が相手という貿易です。貿易が行われているといえる国は中国で、中国との国境地帯の中国側には朝鮮人がたくさん住んでいるので、そこでの国境貿易は盛んです。あとは韓国相手の貿易で少しばかり稼いでいるという感じです。

ここで1つ問題になっているのは、日本からの送金問題です。在日朝鮮人はだいたい70~80万人と思われ、そのうち3分の2は韓国系、3分の1が北朝鮮系です。1950年代終わりから60年代初めにかけて、「北朝鮮は地上の楽園である」という宣伝がなされました。それは韓国に対する対抗心とともに、朝鮮戦争で減ってしまった技術者や労働力を日本から呼び入れたいという目的があったからです。在日の人達に帰国を促したわけで、約10万人が帰国しました。やがて「地上の楽園」なんてとんでもないということがわかってきて、その運動は先細りとなりました。朝鮮は非常に儒教の影響の強いお国柄で、家族をとても大切にします。北朝鮮に帰った親族がどうも苦労しているようだ、となれば、お金でも物でも送らなければ、ということになるわけです。

どうやって送金するかというと3つほど方法が考えられ、1つは正規に銀行を通す、2つめは第三国をマネー・ローンダリングしながら送る、3つめはトランクに入れて船で送る、というやり方です。1つめのルートの送金額は少ないので、ほとんどが後者2つの方法と思われます。どのくらいの額が送金されているのか、とよく聞かれるのですが、こういう状態なのでよくわかりません。

在日の人達がしている主な仕事は、パチンコ、焼き肉、不動産です。このうち不動産はバブル崩壊後、かなり送金能力が落ちているのではないかと思います。それと、いくら家族の絆が強いといってももう40年も経っているので、かつてのようには送金されていないのではないかと、私は思います。

そこでお金になるのは何かということで、麻薬に手を出すということも考えられます。最近はヘロインよりも日本人に人気のある覚醒剤にシフトしてきたようで、覚醒剤密輸のかなりの部分が北朝鮮経由だといわれています。

これらの問題に対して、金正日政権も改革・開放が必要なことはわかっていると思います。しかし、それをしたら体制維持が難しくなるという、深刻なジレンマを抱えているので、結局どっちつかずの政策しかできなくなってしまうのです。

たとえば一昨年7月に自由経済を導入しようということで、かなりの商品を公定価格から市場価格にしました。しかし、どうもうまくいっていないようです。生産を刺激しないで、価格体系だけ変えてもうまくいくはずがありません。北朝鮮の今後の見通しについては、非常に暗いとしかいえない状況です。

北朝鮮の外交と軍事

北朝鮮の外交は、ともかく対米関係最優先です。口では猛烈にアメリカの悪口を言っていますが、一番気にしているのはアメリカのことです。かつてはソ連、中国に経済・軍事・政治的に支えられていたのですが、ソ連は資本主義ロシアになり、中国は改革・開放路線で、韓国とも国交樹立してしまい、全く後ろ盾がなくなってしまいました。そういう状況で、最初は日本志向の時もあったようです。アメリカは資本主義帝国の親玉だし、日本は手頃な相手というわけで、これが金丸訪朝に続く日朝国交正常化交渉になります。しかし結局日本は、向こうにいわせれば屁理屈ばかり言って金は出ない、核問題は取りあげる、ということで、1993年国交正常化交渉は中断します。名目は拉致問題で中断したのですが、本当のところは資本主義の親玉であるアメリカと交渉しなければしょうがないと北朝鮮が判断したのではないかと思います。

そして北朝鮮の軍事情勢はどうかというと、量的には戦車・戦闘機・大砲、全ての項目で韓国を上回っていると思います。しかし質的には弱く、ミグ19をまだ使っていて、ミグ25、29は数が少なく、戦車にしても一世代前のものです。他方韓国は最新鋭の戦闘機を持っています。北朝鮮はGDPの25~30%くらいを軍事に投入していますが、韓国は4~5%くらいです。しかしGDP自体が、北朝鮮は縮小、韓国は伸びていますので、これでは北朝鮮の将来はどうなるのかと思います。もう1つの問題は、精鋭である戦闘機や戦車のスペアパーツや新鋭機などを手に入れるのに、ロシアや中国から買わないといけないのですが、キャッシュが全然ないのです。

そこでどういう戦術を考えているかというと、38度線に軍備を集中させて、もし何か事が起こったらソウルを「火の海」にしてしまうという作戦で、もう1つの選択肢がミサイルと核ということです。

北朝鮮の核開発

核兵器はかつてほど高嶺の花ではなくなっています。そして威嚇のためには、これほどの手段はありません。というわけで、北朝鮮はかなり前から核開発に手を染めていたと思います。80年代頃から開発を始めていたと思われ、寧辺(ヨンビョン)という平壌の北東60キロくらいのところにある原子炉、これは5000キロワットくらいの小さなものですが、発電などしていません。これは黒鉛減速炉といって、国内で採れる天然ウランを燃料にしているのですが、これが半生の炭団のような状態の時にプルトニウムを抽出すると兵器に使えるような非常に良いプルトニウムがとれるのです。技術的には中学生でもできるようなもので、もちろん被曝したら大変なのですが、そういう危険を度外視すれば簡単なのです。

北朝鮮がどのくらいプルトニウムを持ち、ウラン濃縮をしているのかについて、実は2カ月前に中国の応用物理研究所という、核弾頭のデザインをしている研究所から聞いたところによると、わからない部分がかなりあるけれども、だいたい4~9キロ、最大に見積もって20キロのプルトニウムを持っているのではないか、ということでした。プルトニウム爆弾を作るために6キロのプルトニウムが必要というのが、IAEAの数字です。これは長崎型原爆を基準にしていて、最近では4キロ以下でもできるといわれています。ということは、2、3個は核爆弾を持っていてもおかしくないです。ただプルトニウム爆弾(長崎型原爆)は爆発させる技術が難しく、実験が欠かせないのに、実験をしていないので、それが兵器といえるかはわからないとのことです。

他方濃縮ウランのほうは作るのが面倒なのです。それでも作ろうと努力しているのでしょうが、こちらはまだ時間がかかるのではと思います。しかし濃縮ウランを使った広島型原爆は爆発させるのが簡単で、実験をしなくても大丈夫です。KEDOをつくった際にプルトニウムは押えられたので、より実験をしなくてよいウラン濃縮に向かっていったと思われます。

核兵器はそれほど開発費用もかからず、そのうえ威嚇に使うにはちょうどよいので、金正日が核兵器に惹かれるのは無理もないと思います。核があったからこそ、90年代初めの米朝会談だって行われたわけですし、そうでなければアジアの最貧国を超大国のアメリカが相手にするわけがありません。現在の6者協議だって、核問題があるからこそなのです。

ミサイルも同じことで、やはり脅かしと金儲けのためで、そういう面で北朝鮮は非常に利口だと思います。屁理屈にかけては、まさに三百代言です。たとえば1993年3月12日NPTに脱退通告をしましたが、それはNPTを通じて特別の核査察をすることになりそうだったからで、その後米朝会談が始まり、結局通告の効力が発する1日前の6月11日に脱退「保留」をします。「保留」というのはNPTに入っているけれども「特殊な関係」だというのです。同じような屁理屈を今回も使っていて、昨年1月10日また脱退するといって、翌日にもう効力が発している、というのです。なぜかというと先回は1日前に保留したからだそうです。こんな条約解釈をするのは北朝鮮だけです。つまりあの国とは信頼関係を基にして条約など結べないのです。どうやって裏切られないようにするかを常に考えないといけません。

1993、94年の第1次核危機は米朝枠組み合意とKEDOによって回避されました。そして今回第2次核危機ということで、6者協議が行われています。これは難航すると思います。果たして北朝鮮は核を放棄するでしょうか。核を手放したら何が残るでしょうか。見返りに体制保障(北朝鮮は安全保障といっている)を求めていますが、本当に放棄するかどうかわかりません。放棄するふりはするかもしれません。その時には、それをどうやって検証するかが問題です。誰がチェックするのか。IAEA? 国連安保理? 米露? 米中? その議論はまだ1つもされていません。仮に北朝鮮が核を放棄すると言っても、それをどうやって検証するのかでまた難航しそうです。IAEAの検証ではアメリカも、日本もとても満足できないと思います。徹底的な検証をするということは、丸裸になるのと同じですから、果たして北朝鮮がそれを受け入れるでしょうか。

北朝鮮の内政

北朝鮮の内政はいわば「金王朝」です。それも金日成から続いた、せいぜい2代目の王朝です。まだ50年程度ですので、権威を与えるのに非常に苦労するわけです。そこで国民を締め上げ、情報をカットし、神話を作り上げます。たとえば金正日が当時のソ連極東で生まれたのは周知の事実なのですが、北朝鮮の聖地白頭山で生まれ、生まれた時に雷鳴がとどろいたとかいう伝説を作り上げています。そのように国民は洗脳されていますが、情報はどのように入っているのでしょう。首脳部は世界の情報をちゃんと手に入れています。ところが一般国民は、テレビ・ラジオは国営だけです。それだけでなく、日本でも江戸時代にあった五人組のようなものをつくって、相互監視させています。しかし口コミでは情報が入っていると思うのです。ともかく情報流入にはすごく気をつけていて、たとえば最近までやっていたKEDOの現場には韓国の労働者も入っていたので、昼食時に雑談をしないように席を分けるなどしていたようです。

金正日政権の今後ですが、金正日は今年62歳になりますが、金日成は60歳の時に後継者として金正日が決まっていました。ところが金正日は後継にしたかった息子は、日本に来て問題を起こしたりして、まだ不興を買っているようです。金正日は何人か奥さんがいて子どももいるのですが、いずれも若いので、後継者については問題になるでしょう。

日朝国交正常化交渉

私はかつて日朝国交正常化交渉の政府代表になったことがあるのですが、実は辞令だけです。直前に交渉が中断されたためで、これは表面上は拉致問題のためです。大韓航空機爆破事件の犯人金賢姫(キム・ヒョンヒ)が、自分が日本語を習った李恩恵(リ・ウネ)という人物が日本人だったと証言し、この人物が1970年代の終わりに新潟で行方不明になった田口八重子さんにほぼ間違いないだろうということで、日本側は李恩恵つまり田口八重子さんの消息を教えてほしいと申し入れました。そうしたら「李恩恵などという人物は存在しない」と言い出して、交渉の席を立ってしまい、それきりになってしまったのです。私は何とか交渉を再開したいと思いましたが、拉致問題を棚上げするわけにもいきません。この頃はまだ横田めぐみさんの話は出ていませんでした。拉致問題は交渉の出口とも入り口ともはっきりさせぬまま、いわば阿吽の呼吸で、ともかく何とか交渉をしたいといろいろと努力をしましたがうまくいきませんでした。その後8年くらい日本とは交渉がありませんでした。

日朝交渉は8回行われ、だいたいの論点はわかりました。日本側としては、1965年に妥結した韓国との条約を下敷きにして交渉を進めていて、韓国とも、戦争をしたのではないから賠償金というのはおかしい、ただ日本の植民地だったからということで請求権の問題になり、しかし昔のことだからよくわからない、最後にはお互い請求権は放棄して、日本が5億ドルの経済協力をしてそれが韓国の経済発展に役立ったということがあったわけです。だから同じようにしようと思ったのですが、北朝鮮はあれは戦争だったというのです。金日成が日本軍に反乱を起こして勝ったのだという理屈です。それから日本の植民地統治についても、日本側は日韓併合条約に基づいているもので、倫理的観点は別にして、国際法上は合法であるという立場ですが、北朝鮮はとんでもない、という。ほとんどの意見はすれ違いでした。核問題については、日本と話し合う必要はない、ということでした。

ところが1年半前の日朝平壌宣言では、賠償概念は取り下げる、韓国と同じような経済協力でいい、と言ったわけです。これはようやく同じ土俵にのったということですが、まだ話がついたわけではありません。具体的な金額はまだ議論の対象になっていません。北朝鮮が折れたのは、どうしてか。いくつか考えられますが、まずよっぽどお金が必要になったということ。これは私の解釈です。

しかし日朝交渉は、拉致問題、核問題というハードルがあり、このハードルを越えてもまだ金額の問題や謝罪の問題があります。核問題は先ほども言ったように、アメリカが主張しているような完全な形で放棄できるか、放棄するといってもその検証をどうするかというのは非常に難しい問題です。そうこうしているうちに核兵器を作ってしまうのではないかと、危惧しています。

一方、拉致問題の難しいところは、どこまでいったら解決といえるかということです。1つは、帰国した5人の家族である8人が無条件に帰国すること、2つめは、亡くなったという10人について、もう少しちゃんとした説明をさせること、3つめは、まだ何十人か拉致されたらしい人達がいるので、この人達に対してどう対処されれば解決といえるのかです。1つめははっきりわかります。2つめはどのへんで受け入れるのかですが、私の考えでは、1つめを実行するのは北朝鮮にとって大変なことではないでしょう。むしろ残った家族は北朝鮮のお荷物になっているのではと思います。ただ非常に計算高いので、タダでは返さないでしょう。何かの時に利用しようと、とってあるのではないかと思います。2つめ、3つめに関しては、対処がなかなか難しいでしょう。

したがって日朝交渉再開ましていわんやその進退はなかなか難しいと思います。またKEDOでの軽水炉の建設は、いわば脳死状態です。ただしKEDOという組織そのものは、将来使えるかもしれません。軽水炉は3分の1くらいはできていたのですから、もったいない話です。6者協議もすぐは動かないでしょう。金正日はアメリカの大統領選挙の結果を待つと思います。共和党と民主党の、対北朝鮮政策はかなり違いますので、11月まで待つほうが得策と考えているでしょう。かといって、協議をつぶすこともなく、ダラダラと続けていく作戦ではないかと思います。

質疑応答

Q:

6者協議はすぐ動かないだろうということですが、北朝鮮も経済的に大変なわけですから、時間が経つのはアメリカと北朝鮮のどちらに有利に働くと思われますか。また、プルトニウム爆弾は技術的に難しいということでしたが、最近はそうでもないのではと思うのですが、そのへんはいかがでしょうか。

A:

まず2つめの質問からお答えしますが、確かに最近はシミュレーションによって、実際に実験をしなくてもなんとかなると思います。ただ、北朝鮮がシミュレーション装置をもっているとは思えません。しかし北朝鮮にとって核兵器は軍事目的ではなく、政治目的でいいのではないでしょうか。たとえば日本を脅かすためには、正確な位置に当たらなくても、爆発しなくてもかまわないのです。
1つめの質問に関しては、難しいのですが、北朝鮮のような独裁国家と世論が政治に影響を与える民主国家では、若干民主国家のほうが不利のような気がします。経済的に困っているといっても、国民は二の次、三の次ですから、金正日が頼りにしている軍、党を固めておければそれでいいのです。

Q:

韓国やアメリカは、朝鮮がどういう形であれ、統一してほしいと思っていると思うのですが、中国としてはどう思っているのでしょうか。

A:

緩衝地帯として、ある程度いうことをきく国として残ってほしいというバッファーズ・セオリーという考え方があります。中国からすれば、北朝鮮は人口2500万の小国で、まあ少しくらい援助に金がかかってもいいという感じだと思います。ただ不安定なのは問題なので、核開発などはやめてもらいたいというところでしょう。したがって6者協議は国威発揚という目的もありますが、核開発を阻止したいという意向があるからだと思います。中国はアメリカと事を構える気は全くありませんし、経済的にもっと伸びるまでは対米関係は最重要とし、北東アジアは何とか安定していてほしいというところでしょう。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。