経済安全保障を考える~技術政策の視点から~

開催日 2004年1月9日
スピーカー 村山 裕三 (大阪外国語大学外国語学部地域文化学科アメリカ講座教授)
モデレータ 入江 一友 (RIETI総務ディレクター)
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議事録

モデレータ:
村山先生は同志社大学経済学部卒業後、ワシントン大学に留学しアメリカ経済史でドクターを取得、野村総合研究所に入所されたのち、関西外国語大学、大阪外国語大学で教鞭をとり、現在に至っています。本年4月からは新しく開校する同志社大学ビジネススクールの教授に転任されるとのことです。本日のテーマである「経済安全保障を考える」という本をNHKブックスから出版されています。

経済安全保障とは何か?

本日は、経済安全保障を技術政策と関連させてお話ししたいと思います。

まず、経済安全保障とは何かといいますと、かなり広い概念で人によって捉え方が違うのですが、私の場合はごく単純に捉えて、経済と安全保障が重なる分野と定義します。学界では分野が完全に分かれてしまうのですが、現実としては重なっている部分がかなりあります。一番典型的なのは技術で、たとえば半導体をとってみると、家電製品に使われる一方、同じものがハイテク兵器に使われています。またGPS、カーナビですが、これはアメリカの軍事衛星からの電波をうけて車の位置を確定しています。同時に米軍の兵士が自分の位置を確認するのに使っているわけです。難しい方法論は考えず、このようなケーススタディを積み重ねていって、より大きなものが見えてくればよい、というのが私のスタンスです。

私はアメリカでこの分野の研究を始めたのですが、これはクリントン政権の時に安全保障重視から経済重視にシフトして、その中でいわれたのが経済安全保障でした。アメリカの外交政策の柱としても挙げられていて、注目の分野だったのです。それでアメリカのことを中心に考えて本も書きましたが、これは日本にとって、より大切な分野なのではないかということに気づきました。なぜ大切かというと、日本は「軍事力に制限を設けた通商国家」です。ということは、他の国が軍事力を使って考えるところでも、日本は経済力、技術力を使って考えなければならないのです。それでは経済や技術は安全保障にとって、どういう意味があるのか、と考え始めたわけです。

日本で経済安全保障が大きく取りあげられたのは、1980年代初めで「総合安全保障」という概念です。京都大学の故高坂正尭教授の提唱で、日本でいう安全保障とは他の国とは違って経済安全保障が重要で、安全保障とは狭い意味では軍事安全保障、広い意味では経済安全保障を含む、というものです。オイルショックのあとでしたので、「経済安全保障」とは日本経済を守るための安全保障ということでした。

私が考えていることはこれの逆で、技術・経済は安全保障のために何ができるのか、ということです。これは国際的な日本の地位向上や、世界における日本の存在感などにも結びつくと思います。高度経済成長の時代には、日本には「経済」というアイデンティティがありました。ところが最近はどうも調子よくありません。日本のアイデンティティがゆらいでいます。では「安全保障」でアイデンティティがあるかというと、アメリカに追従しているだけじゃないか、という議論が多いです。では日本とはどういう国なのか、そういう視点からも経済安全保障を考えたいと思います。

他の国はどのように対応しようとしているのか?

日本について考える前に、他の国がどのように対応しようとしているのか、見てみましょう。

冷戦時代はアメリカを中心に、国防総省が莫大な研究開発費を使って兵器開発をしていました。軍事分野が民生技術をリードしていたわけです。その結果、ノーベル賞受賞者がアメリカから何人も出て、いろんな技術のタネがそこから出てきました。インターネットなどはその典型です。しかし1980年代あたりから変化が見え始め、90年代のIT革命によって、それまでとは違って、民生技術が軍事分野をリードするようになりました。以前は民生技術を軍事に使うためには軍仕様(ミル・スペック)をクリアしないといけなかったのですが、最近では民生技術のほうが優れているので軍仕様はもうほとんどありません。液晶を例にとると、あれも軍事利用ができます。戦闘機のコックピットの表示板を液晶にすることによって、かなりスペースの節約ができるのです。

日本について考える前に、他の国がどのように対応しようとしているのか、見てみましょう。

冷戦時代はアメリカを中心に、国防総省が莫大な研究開発費を使って兵器開発をしていました。軍事分野が民生技術をリードしていたわけです。その結果、ノーベル賞受賞者がアメリカから何人も出て、いろんな技術のタネがそこから出てきました。インターネットなどはその典型です。しかし1980年代あたりから変化が見え始め、90年代のIT革命によって、それまでとは違って、民生技術が軍事分野をリードするようになりました。以前は民生技術を軍事に使うためには軍仕様(ミル・スペック)をクリアしないといけなかったのですが、最近では民生技術のほうが優れているので軍仕様はもうほとんどありません。液晶を例にとると、あれも軍事利用ができます。戦闘機のコックピットの表示板を液晶にすることによって、かなりスペースの節約ができるのです。

では国ごとの状況をお話ししたいと思います。

[アメリカ]
民生技術を軍事に取り入れるという動きをリードしたのがアメリカです。1980年ころから取り組みをはじめ、RMA(軍事革命)を推進しています。これはハイテクによって戦争のしかたが変わるということで、情報・通信技術の発達がそれを起こしているのです。アメリカはこれにいち早く対応し、成果を上げています。これが最初にわれわれの目にとまったのが湾岸戦争で、例のピンポイント爆撃です。イラク戦争でもGPSを使った誘導システムが使われました。湾岸戦争の時も誘導システムを使った爆撃はあったわけですが、今はもう使用される割合が全然違います。湾岸戦争時はそのような爆撃は全体の7%程度だったのですが、イラク戦争では70%です。もう1つ有名になったのはフセインのレストラン事件です。すでに潜入していた特殊部隊が有力な情報を得て、リアルタイムで本部に連絡する。その情報がすでに飛行中の戦闘機に伝わり、その位置に爆撃する。これが分単位で行われたのです。通信技術の発達を取り入れたことによって攻撃の速さが格段に違ってきたわけです。

現在アメリカは軍事一極化といわれていますが、二重の意味でそういえます。1つに民生分野のIT技術が圧倒的に強いこと、それにプラスしてその技術を軍事に取り入れるシステムの確立があります。こういう状況ではなかなか他の国が追いつこうとしても追いつけません。

もう1つの状況として、9.11テロにより国土安全保障省が設立され、テロ対策のための技術開発も進んでいます。

[EU]
1980年ころから防衛産業の統合化を始めました。まず国内の防衛産業を1つにまとめ、それからEUで集まって、民生技術を利用し、欧州単位での防衛産業を強くすること考えています。これはEUがアメリカ一極集中化を食い止める役割を意識しているということで、たとえば航空機でも、ボーイングとマクダネルダグラスというアメリカの企業だけになってしまったら困るので、無理してでもエアバスを立ち上げたわけです。今やエアバスはボーイングに匹敵する企業になりました。

[中国]
経済安全保障に対する関心は高く、具体的には1980年ころから軍民転換の推進が行われています。最初は軍事費の伸び悩みから、軍事技術を使って民生分野に進出したが、海外と提携した民間企業に勝てませんでした。それで、海外との提携もするようになり、いいものができるようになった。それでその技術を軍事にも取り入れるようにし、民生と軍事の壁を低くして両方の競争力の向上を目指しているという状況です。

また中国はアメリカへの対抗意識がありますので、RMAも推進していて、「中国特色的軍事革命」と名付けています。内容はアメリカのRNAとあまり変わりません。

[韓国]
民生技術を軍事に活かすという「両用技術戦略」を使った「21世紀先進情報技術軍」の実現を国家目標としています。具体的には2015年までに先進国と同じレベルの防衛科学技術をもつこと、軍のデジタル化で世界のトップテンに入ることが目標です。韓国がこういうことを始めた背景には、韓国は日本とは違って武器輸出が自由で、むしろ外貨を獲得する重要な産業だということがあります。1970年あたりから武器輸出を積極的に始め、70年代終わりから80年代初めには第三世界を代表する武器輸出国になりました。もともとの武器のデザインはアメリカ製だったのですが、その品質を良くして安くして、納期を守って売ったので、競争力があったわけです。しかしアメリカが対抗措置として、もとがアメリカ製のデザインの武器は、アメリカの認可がなければ輸出してはいけないということを決め、韓国の武器輸出は激減しました。それでアメリカの手を離れて、独自の兵器を作る必要から「両用技術戦略」が始まりました。

日本はどの方向をめざすべきか?

では日本はどうするべきなのでしょうか。

まずいえるのは、技術を経済のみに使う発想から抜け出すことです。日本はすばらしい技術で経済を引っ張ってきた、技術が経済競争力を高めるのだ、という意識はありますが、実はその技術のもとには個人レベルでの技術の発明があり、一方大きな視点に立てば、国際関係の中でいかに技術を活かすかということもあるわけです。現在はそれらの視点が欠けた戦略になっていますので、このままでは「技術漂流」になる可能性があります。どういうことかというと、ここ10年ほど日本経済の世界での評価は下がっているにも関わらず、日本の技術の評判は下がっていません。せっかくいい技術を持ちながら方向性が定まらないというのは、「技術漂流」ということになるのではないでしょうか。

そうはいっても、アメリカのような軍事技術強化の方向には進めません。いろいろな制約もありますし、国民の同意も得られないでしょう。そこで私の考えたのは、アメリカなど他の国とは異なる方向に進むことです。

図(非経済分野における科学技術政策の位置付け)に示しましたが(配布資料参照)、今まで見てきたアメリカや他の国(A型)は、「安全保障」のなかの防衛・攻撃に重点が置かれています。また「安全」という分野ではテロ対策などを行っています。一方、日本(B型)の場合、「安全保障」の攻撃という分野には進むべきではないと思います。防衛に関してはやるべきだと思いますが、よりレベルを下げた「安心・安全」という分野で技術を活かしたらいいと思うのです。A型のグローバルスタンダードというのはアメリカで、みんなそれを追っています。しかし日本は方向性を変えて、B型でグローバルスタンダードを目指せばいいのではないでしょうか。

これは私1人の主張ではなくて、科学技術基本計画にも入っていることです。2001年に第二期の科学技術基本計画が総合科学技術会議によってつくられましたが、その三本柱が(1)知の創造、(2)経済競争力のための技術、(3)「安心・安全」のための技術開発、となっています。(3)は今まであまり注目されませんでしたが、テロの発生や犯罪率の増加により、勉強会などの取り組みが始まりました。 具体的な分野としては、自然災害、感染病(SARS、バイオテロ)、テロ対策(新たな安全保障)、サイバー攻撃、「守る」防衛技術などがあると思います。これらの分野で共通の技術が出てくれば、日本のグローバルスタンダードもつくれるのではないかと思います。

日本の可能性

「安心・安全」のための技術開発における、日本の可能性は非常に高いと思います。理由は3つあります。

1つめは、政治的に日本にしかできないと思うからです。先ほどお話しした各国は、それぞれアメリカに追いつかなければならない国の事情があります。しかし日本はアメリカの同盟国で良好な関係を保っているので、アメリカに対抗する必要はありません。帝国化したアメリカに追随するのはよくない、という議論も多いのですが、それよりもアメリカをどううまく利用できるかという戦略を考えた方が生産的だと思うのです。アメリカと同盟関係にあるからこそ、B型の戦略がとれるのです。

2つめは、この分野で日本の技術力があるからです。たとえば、大田区にあるジオ・サーチという中小企業ですが、空洞探査技術といって、道路に機械を動かして下に穴が空いていないかを調べる技術の会社です。道路の陥没を未然に防ぐのが目的ですが、天皇陛下のパレードの前にその機械で大きな穴を発見して、有名になりました。それである時、国連の地雷除去担当者から、その技術を使えないかという話しがありました。地雷除去は金属探知器でやっていますが、それだとプラスチック製の地雷はひっかからないからです。それで社長の富田さんはNPOをたちあげて、地雷探査の機械を開発しています。

またノーベル賞の田中さんの質量分析という技術、分子レベルのタンパク質を分析して、どういうものかを見きわめる技術ですが、これはテロ対策に使えます。それは分子レベルで爆発物の分析もできるからです。最近田中さんは小型の質量分析の機械を開発されましたが、犯罪対策にも利用できる、と仰っていました。それからセンサー、これも日本の技術は優れています。センサーは誤作動をいかになくすかというのが課題なのですが、こういう目的がはっきりしていてそれに向かって技術をみがくというのは日本の得意とするところです。日本にはいいセンサーがあるのですが、現在そういう分野では利用されていません。なぜかというとセンサーをもっている企業は細菌や化学物質が扱えないから、そういう分野に結びつけられないのです。これは少し制度を変えれば解決する問題です。それからユビキタスですが、これもテロ対策に使える技術です。無線ICタグというのがありますが、アメリカの空港では搭乗券とチェックインする荷物の両方に無線ICタグをつけます。それで搭乗券を持った人が搭乗したのを確認してから荷物を入れます。搭乗券を持った人がどこにいるのかすぐわかるからできることで、自爆テロは防げませんがある程度テロ対策になるわけです。

このように1つの技術基盤ができ、国際標準化ができれば、日本の国際的な技術競争力を高めることにつながるのではないでしょうか。

3つめに、「安心・安全」のための技術は人、物、情報の流れをスムーズにする技術です。いわば取引費用を低下させる技術です。こういう技術も日本の国のあり方に合っていると思います。日本は軍事力に制限を設けた通商国家であり、海洋国家です。海洋国家の使命は国と国との関係をつくる、それは取りも直さず取引費用を低下させ、国家間の関係がスムーズにいくようにすることではないでしょうか。こういうことができるようになれば、日本の国際的な存在感も増すと思います。今自衛隊派遣の問題がありますが、地雷探査、平和構築、復興に関する「安心・安全」のための技術を携えていく、ということになれば、日本のイメージがかなり良くなると思います。

このように、国際競争力強化、日本の国際的地位の向上、両方に役立つと思うのです。

実現に向けた課題

最後にこれを実現させるための課題を3つ挙げたいと思います。

まず、今まで分離されてきた「安全保障」と「経済」を統合する必要があります。これを実現させるのが「経済安全保障」の発想です。それには「安全保障」と「経済」両方にまたがっている技術を考えるのがその第一歩だと思うのです。

次に、より現実的な問題は、政府の「安全・安心分野のニーズ」と企業の「技術力」を結びつけることです。残念ながら企業の技術開発はまだそこまで進んでいません。企業側が開発をためらっているのは、市場規模がはっきりしなくて、商売が成り立つかわからないからです。ここにやはり、政府の施策、支援が必要なのではないでしょうか。

3つめに、産官間の技術マネージメント(MOT)の手法を開発する必要があると思います。MOTは今キーワードになっていて大学でも研究されていますが、ほとんどが企業内、産業内のMOTなのです。必要なのは産業と政府との間のMOTです。政府がこれだけプロジェクトをやっているのですから、それをマネージメントする必要もあるのです。競争の原理を入れるのもマネージメントの1つの方法だと思います。

旧通産省はある意味で、産官間の技術マネージメントを非常によくやっていたと思います。産業政策はいわば技術マネージメントです。ある有望な技術を特定して、その技術力を高めて日本の経済競争力を上げるという明確な目標があり、そのために産業政策をやって、強い企業を集めて技術を確立するというファミリー型開発ですが、うまくいっていたと思います。ところが現在は、その前提条件がみんな崩れてしまいました。キャッチアップでもないし、ましてファミリー型の開発でもありません。それらにかわる新たな産業政策の可能性として、産官間の技術マネージメントと「安心・安全」分野があると思います。

私は4月から同志社大学のビジネススクールで、この産官間の技術マネージメントについて、ぜひやってみたいと思っています。日本ではやっているところがあまりないので、海外から助けを借りたいと考えています。メリーランド大学にはジャック・ガンスラーという、クリントン政権時代に国防総省の技術調達の次官をした方で、民間の手法を導入して国防総省を変革したという専門家がいます。また、サセックス大学にも技術政策を研究している学者がいるので、そういうところと協力しながら、ぜひ始めてみたいと思っています。

質疑応答

Q:

アメリカでは民生技術を軍事分野に引き入れるシステムを確立したということですが、そういうシステムを日本でもつくるためにはどうしたらいいとお考えですか。

A:

アメリカが確立したシステムは、スパイラル方式または能力ベースなどとよばれていますが、かつては軍事開発は要求ベースで、あることをクリアしたら次に進むというやり方だったので、兵器ができあがるころにはその技術が古くなってしまったわけです。それに対して、能力ベースというのは、不完全でもいいから最新の最もよい技術を取り入れるというやり方で、ミサイルデフェンスなどはその典型です。よく考えてみれば、こういうやり方は日本の企業がとっくにやっていることで、液晶開発などをみればわかることです。つまり最新の技術を取り入れることができるようなシステムをつくればいいわけです。それでアメリカは、軍仕様をやめ、軍と民を統合した技術や製造方式を取り入れるようにしました。この変化は現場ではものすごく大変なことなので、トップのリーダーシップが求められますし、現場の理解を得るために教育セミナーなどが行われています。アメリカの例をみると、規制より制度的なバリアのほうが問題になるのではと思います。

Q:

経済安全保障を考えるなかで武器輸出三原則に関係してくる部分もあると思うのですが、見直すべきなのでしょうか。また、テロ対策技術開発にはアメリカも非常に積極的ですが、日本は世界に対してどのように働きかけたらいいと思われますか。

A:

武器輸出三原則に関しては、緩和したほうがいいと思っています。B型でいくにしても、それが緩和されないと防衛のところはできません。現在日本はこの分野での競争力は全くありません。それは民間が参入していないからで、民間が参入するにはどこまで開発していいのか、できたものを輸出していいのかを明確に示さないと技術基盤ができないのです。
テロ対策技術に関しては、国際標準がやはりアメリカだという問題があります。ですからヨーロッパと連携するか、または多くの国と共同で機関を立ち上げて、標準は世界で考えるようにするといいと思います。そうでないとアメリカがどんどん最初に始めてしまい、それが標準になってしまうからです。

Q:

日本で民生技術が安全保障のほうに使われないことには、予算制約の影響もあるのでしょうか。

A:

予算よりむしろ縦割りの弊害のほうがあるのではないでしょうか。たとえば防衛庁と経済産業省が同じ技術を開発して、それを一方は防衛に、一方は経済に使おうとすると、2つの省庁にまたがった予算はどうもつけにくいようです。省庁共同の技術開発の制度ができるといいと思います。

Q:

政府がもっと技術マネージメントしたほうがいいということでしたが、民間主導のほうがいいのではないでしょうか。

A:

経済の分野なら民間が中心になったほうがいいと思いますが、私が今日話したのは非経済分野で、政府がこういう技術がほしい、という場合の技術マネージメントなのです。かつて技術の方向性がよめた時代は政府主導でうまくいっていたのですが、インターネットがでてきてから先がよめなくなり、これからはベンチャーだということで、政府は産学連携を支援しています。しかし、果たして今もベンチャーの時代なのでしょうか。今の産学連携はアメリカの後追いなので、そこでタイムラグが起きているように思います。それと日本は、地域振興とかスモールビジネスを育てるとかいう目的が、今ひとつはっきりしないところに問題があるような気がします。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。