新将来人口推計からみた日本の少子高齢化

開催日 2002年3月1日
スピーカー 高橋 重郷 (国立社会保障・人口問題研究所 人口動向部長)
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議事録

今日は経済の専門家の皆様の前で、人口学という一般にあまり馴染みのない学問に基づいて作られてる人口推計の話をさせていただきます。経済学者の方々は人口学に基づく人口推計に不満をお持ちだと思います。今回も日経新聞を中心に、経済的な要因が加味されていないとの批判も受け、「0勝4敗」とも書かれておりました。本日は、人口推計のやり方について、また今回の推計作業の中で判った新しい事実についてお話して、今後の日本の少子化問題について考えたいと思います。

さまざまな要因で変化する出生率

出生率はさまざまな要因で動きます。たとえば社会学者は、"近代家族からポスト近代家族へ"という家族の価値観の変化により、結婚などに対する考え方が変わって来た点をあげています。このような価値観の変化や意識変化も出生率変動の原因の1つということになります。経済学的にいうと、結婚・出産の機会費用の変化、さらにバブル崩壊や失業率上昇といった経済事情の変化も出生率に影響を与える要因ということです。このような点を前提としていますが、人口推計はこれらの要因を直結して出生率を動かすという手法ではありません。社会の変化要因を念頭においた上で、そのような変化はすでに人口動態データ、国勢調査に反映されているという前提に立っています。出生率を形成している結婚年齢、出生率、生涯未婚率などを指標にして将来の出生率を予測し、生存率や国際人口移動の仮定を含めて将来の人口を推計しました。経済要因がダイレクトに出生率に反映されているわけではありません。

コーホート要因法を用いた新推計

新推計では、2000年の人口を基準人口としており、推計期間は2001~2050年の期間です。推計方法は、コーホート要因法(Cohort Component Method)を用いました。人口は出生によって増え、死亡によって減ります。そして国外から入ってくる人口によって増加し、国外に出ていく人口によって減少する。ある人の加齢と共に人口がどう変化するのかを計算する手法です。推計の手法は、出生率に関して中・高・低3つの将来仮定値をおき、3種類の人口推計を行いました。

米国の人口推計では死亡率や国際人口移動も同様に3種類の仮定をおいていますが、日本の場合は出生率のみを3つ用いています。生存率の仮定は、死亡率のリレーショナルモデルによって推計しています。修正リー・カーター法という米国政府と同じ手法を用いています。以前は死因別死亡率に基づいて推計していたのですが、95年以降は死因コードの分類が変更になったため、死因の時系列的な整合的がなくなってしまいましたので今回は新しい手法を取り入れました。それから国際人口移動の仮定については、従来は外国人と日本人を込みにしたネットの人口超過率を見ていましたが、今回からは外国人と日本人とを別々にわけて推定する手法に変えました。また出生性比の仮定については、過去の推計から今後の出生性比を推計しています。

コーホート要因法による人口推計の手順は図3に示されています。将来の出生率の動きがもっとも大切ですが、将来の寿命の動き、将来の国際人口移動の動きなどをどのように仮定するかが人口推計ではきわめて重要になってきます。

平成7年の国勢調査をもとにして作られた平成9年推計と1999年の総務省が発表した人口とを比較しますと、出生に関連する5歳未満の人口が過大に推計されていました。現実のデータはほぼ中位推計と低位推計の間に位置していました(図8)。また、80歳以上は過小推計されておりました。前回の推計で用いていた死因別の推計で計算すると、寿命の改善の程度が悪いという結果が出てしまうのです。したがって、今回の推計ではこの点についても改善しました。

未婚、結婚年齢上昇、出生行動の変化によりもたらされた少子化

出生率に関してですが、生涯未婚率の水準が直接的に将来の出生率に影響します。100人の女性が平均2名子供を産むと出生率は2.0%ですが、3割の女性が結婚しないと、それだけで出生率は1.4%に下がってしまいます。ですから生涯未婚率の推移はきわめて重要な意味を持ちます。今回も未婚化現象は続いていますが、勢いは落ちています。出生の関係で20歳代後半が着目されますが、70年代は2割だった未婚率が85年には3割になり、その後5年間で4割になりました。95年には48%、2000年に54%、と引き続き未婚化は続いています。近年、上昇率が下がっています(図12)。以前は50歳時の未婚率を5.2%としていましたが、今回、16.8%と改めました。前回推計と比べて非常に強い未婚化を表しています。

また、離死別効果を表す離死別効果係数は、近年の離婚率上昇の影響を受け、急上昇しています。結婚後、女性がどのくらい子供を産むのかに関してですが、前回は初婚年齢の上昇が影響して出生率が低下する、と考えていました。初婚年齢別に見た平均完結出生児数で見ても、結婚年齢が上昇すると最終的に子供を産む期間が短くなるという前提にたって推計していました。

今回の新推計では、晩婚化以外の要因による出生力低下効果も考慮しています。前回の推計では、自らの意思で子供を制限するということを想定していませんでしたが、今回は60年代以降に生まれた人々で、明らかに晩婚化以外の要因による出生力低下が顕著にみられることが分析で判りました。その結果今回の推計では、1960年代生まれの人のライフサイクルを見ますと、1980年代に社会人になり、結婚した層が子供を産む数を減らし始めました。かつての世代、特に1930~34年生まれの世代では、結婚の年齢から推測した子供の数と実際の子供の数がほぼ一致していました。ところが1960~62年に生まれた世代では夫婦が自ら出生力を落とし始めていることが判ります。35歳時累積出生率を見ますと、1960年代生まれが1.68%であるのに1965年代生まれでは1.44%と急低下しています。それで出生率低下の中身を見ますと、3割が未婚化によって、そして2割が結婚年齢の上昇によって、そして残りの5割が夫婦の出生行動の変化そのものによってもたらされた低下ということが判ります。このような裏付けがあり、夫婦の出生行動が大きく変化することを考慮して将来の出生率を予測しました。

1970年代生まれの人までそれぞれの初婚率と生涯未婚率を推定しました。1935~51年生まれの世代を見ますときわめて結婚年齢は安定しており、初婚年齢は24~25歳で生涯未婚率は5%でした。ところが1952年以降生まれになってきますと初婚年齢を上昇させながら生涯未婚率も上昇させていきました。そして特に1965年代以降生まれの世代に関してはさらにその傾向が強まっています。今回、1970年代生まれ以降の世代をモデルとして推計し、これに続く世代に関しては1960~1970年代生まれの延長線上にあると想定して予測しました。1985年生まれの人々に関する全国都道府県の生涯未婚率は16.8%と推測されていましたので、これを中位推計として用いました。また、東京都の生涯未婚率は22.6%と想定されていますのでこれを低位推計として用いました。高位推計に関しては都道府県別で未婚率が低い県の平均値を使いました。このような生涯未婚率のデータ、平均初婚率のデータを当てはめて最終的な将来の未婚率を算定しました。このように世代別の初婚率を推計し、それに夫婦の出生確立をかけることによってある初婚率の場合の期待される夫婦の出生率が得られます。世代別の夫婦が最終的に持つ子供の水準は次の式で表されます(図30初婚年齢分布 中位仮定にもとづく夫婦完結出生字数の予測値)。

ただしこの式には出生力低下は反映されていません。この表を見ていただければ85年以降の出生世代の夫婦が持つ子供の数は2.0を下回っているのが判ります。先ほど説明しましたが、夫婦が自ら出生力を落としているのを考慮すると65年生まれの世代で割引率が約0.93になり、これをかければ修正夫婦出生児数が出ます。そしてこの割引率である結婚出生力低下係数をどのように推定するかがカギになります。

1985年生まれの世代と1965年生まれの世代を同じ割引率で出生率を推測すると、実際よりも高い結果が出てしまいます。0.91%あたりでないと出生率が整合性を持たなくなります。そこで最終的には0.911%という数字を推定しています。それによって85年生まれの人々の将来の割引率を想定し、現実に判っている65年生まれとの間を結んで将来のすべての年代の合計特殊出生率を推定します。そのようにして最終的に85年生まれの人に関して仮定された生涯未婚率が16.8%、夫婦の結婚年齢に基づく出生児数は1.89人ですが、夫婦の出生率の低下はほかに原因がありますので夫婦の出生児数は1.72人になり、離死別効果係数を掛け合わせると、最終的に1.39人になるということです。

それでは、ここまで話してきました出生率に関しての質問を受け付けます。

質疑応答 ―1ー

Q:

出生率の説明は結婚することを前提にしての説明が中心だったのですが、最近は未婚の母と呼ばれる人々、形式的には結婚をしていなくても子供のいる人が増えています。そういう意味では日本もだんだん欧米化しています。このような未婚の子供の数はどんな傾向にあるのでしょうか。またどのように計算して統計をとられているのでしょうか。

A:

非嫡出子の割合は1.7%でして、毎年0.1%の割合で増えています。98.3%は結婚しているカップルから生まれている子供です。スウェーデンでは55%が婚外子であり、これと比較すると未だ推計に影響を及ぼす段階には至っていないと考えます。数にすると1万2千件です。

金子能宏(RIETIフェロー):

生まれたときは未婚の母であっても、だいたい2~3年経つと日本の場合では世間体のことを考えたりして結婚していきます。先ほどの1.7%のうち、一生涯未婚の母で通す人の子供の数はさらに少なくなります。ですから1.7%というのは生まれたときだけの状況を表す数値です。日本と欧米の出生構造、婚姻構造との間には差があります。

Q:

それならばスウェーデンの55%も同じではないでしょうか。また、平均初婚年齢と生涯未婚率のところで地域差があるとのことですが、学歴によっても大きな差があります。現在、男性の大学進学率が約50%、女性は約20%ですが、将来もっと数値は近づいてくると思います。大学進学率は考慮されていないようですが重要な点だと思います。これ以上女性の進学率が上昇しないと考えての数と思っていいのでしょうか。

高橋:

国勢調査の結果のうち2月に出てくるデータがあり、今回間に合いませんでした。そのかわりに東京都の大卒女性の生涯未婚率を用いました。

Q:

政策効果についてはどう思われますか。わが国である政策が人口の変化に反映したというのはありますか?

高橋:

実際には児童手当てをいくら与えたから子供が増えた、などというのはなかなか計量が難しいのが実情です。ただ、保育キャパシティを上げたらその間ではどう変化するのかについては検証しています。しかし政策効果で将来予測がどのように変化するのかについては検証していません。

Q:

図31ですが、結婚出生力低下係数が一度下がって上がっている要因は何ですか?

高橋:

世代別におきていることの現象の違いが効果として表れています。つまり2005~2010年にかけて一旦低くなって、その後キャッチアップして上昇しています。日本では1990年半ばまでの合計特殊出生率の低下は未婚化現象によって引き起こされています。その次の少産化現象は1960年代生まれの人以降の特徴ですから、図式的にいいますと日本では安定期があり、晩婚化時代があり、そして少産化時代という変化が起こっています。この結果、年次別にしたときにスイングをしてみえます。

Q:

どういう経済状況下において子供を産みたいという人が増えるのでしょうか。女性の就業率との関連で分析されているのか教えてください。

高橋:

これとは別個に社会経済モデルを作って分析しています。その結果いえることは、日本の場合、女性の就業と出産はトレードオフの関係にあります。60年代生まれの以降の世代は1985年代以降に労働市場に入り、そしてその人々が結婚・出産のときにちょうどバブルの盛んなときでした。高い初任給をもらって就業した人達が結婚出生抑制したと分析できます。

Q:

出生率が将来持ち直すというのは晩婚と少産化が一定の時点で止まるという前提ですか? それとも予測ですか?

高橋:

とまるという前提ではありません。今後の出生率が落ちてくると推計しています。

Q:

バブルに関するコメントが気になりました。バブル期だから女性の就業率が上昇し、そのせいで出生率とのトレードオフが特に強かったという説明は当たらないと思います。長期的に見ればどんどん労働力人口は下がってくるわけですから。今は非常に不況で失業率が高まっていますがある程度景気が回復すれば労働力人口の低下、女性の高学歴化の中で女性の機会費用が向上するのではないのでしょうか? バブル期であるからという説明は安易だと思います。

高橋:

日本では機会費用が高すぎると思っています。日本で女性の就業は103万円内の就業がほとんどです。きわめて機会費用の高い状況です。この構造を変えない限り、結婚・出産と雇用は強いトレードオフにあり、出生率は下がると考えます。

Q:

地域別の出生率には特徴がありますが、いろんな要因からみて将来推計というよりも出生力を上昇させるという意味での特徴はありますか? 政策的インプリケーションを教えてください。

高橋:

出生率低下に関しては、未婚化・晩婚化と出生力低下の2つが原因です。東京都の女性の出生率が低いのは東京都在住の女性は結婚していない人が多いからです。働く未婚者が東京に集まり、結婚したら埼玉などに出て行きます。もう1つは機会費用との関係です。東京の場合は保育所に預けて電車に乗って通勤しないと働きにいけません。地方では相対的に自営も多く、機会費用の少ない職種が多いといえます。東京都における働く女性の機会費用を下げなければならないでしょう。

高橋:

0勝4敗の話ですが、系統的に出生率が外れてきました。経済の変動は好景気もあれば不景気もあります。上下にぶれる、というのが経済の一般的な動きでした。ところが、70年代以降の結婚出産の状況の変化は一方向的な変化です。ですから理論的に一方向にはずれるというのは十分あり得る。結婚の変化の時代にあって、近年のように夫婦本体の出生抑制など新たな問題があり、一方方向に推計がはずれています。

質問者(意見):

一方向に連続的に動いている状況を予測してモデルの中に入れる必要があるというのが私の認識です。経済モデルは同時決定ですが人口推計は一方方向にしか動きません。昔子供が5人ほどいれば、男の子は大学に行き、女の子は高卒でした。少子化により、女子も高学歴化傾向にあります。それがさらに女性が働くことに繋がっていくという、相互関連関係が見られるのではないでしょうか。一方方向にバイアスがあればそのバイアスを予測の中にいれる手法が必要だと思います。

Q:

ほかの先進国も少子化に向かっています。またアジアでもシンガポール、香港などもそうです。出生行動において日本の特徴的な点はありますか。

高橋:

おおよそ3つのパターンがあります。米国では子供の数が2.1%を超えています。比較的似ているのが英国です。アングロサクソン系は出生率が高い状況です。また北欧を含むヨーロッパ、フランスなどは、1.8%前後です。イタリア、スペイン、ギリシャ、ドイツでは1.5%を下回っています。イタリア、スペインは特に日本に似ています。共通性があるのでしょうか? これらの国では女性の就業率が低く、専業主婦型です。北欧は女性の就業率が高いにもかかわらず出生率は高いです。日本と比較して北欧では女性の機会費用が低いのです。日本の場合、結婚や妊娠・出産で労働市場から女性が出ていきます。戻ってきてもパート市場なので極めて高い機会費用となります。米国などは職業流動性が高く、正規雇用に戻り易く、ヨーロッパではサポート体制が整ってきています。オランダではワークシェアリングでサポートしています。出生率は低いながら1.7%~1.8%を維持しています。日本の制度は女性が労働市場に入らないようにしてしまっています。フランスでは子供を持つインセンティブを与えられます。結婚し、子供を増やすという再生産のインセンティブの働くシステムを国家が作らなければならないでしょう。

Q:

日本の少子化対策に関し、いままでの実証分析はどれくらい進んでいていかに政策に活かされているのでしょうか?

高橋:

出生率の低下の7割がたが結婚の変化によるものです。結婚に国が影響できるかというと、国レベルではまったくやっていません。地方自治体は見合いパーティや見舞金支払いをしています。結婚した人の出生抑制も進んでいますので、保育設備などの点も改善すべきでしょう。研究は進んでいますが部分的な段階です。関連する分野はきわめて広いです。税などの問題を含め、広く手をつけなければなりません。ワークシェアリングの導入など、子育てと就業の両立も課題です。

将来の寿命について

ここから死亡の話をします。将来の寿命についてはリー・カーター・モデルを用いています。この概要は図45に示しています。今回の推計での特徴として男女間で寿命差が広がりつつあります(図6)。平均寿命の推移は控えめに推測されていまして、国連による日本の平均寿命は男女とも90歳とされています。寿命は頭打ち傾向にあることが示されています。かつては男女間で寿命の差はありませんでした。というのも、昔はほとんどの人が感染症で亡くなっていたからです。今は死亡に占める感染症の役割は終わりました。脳疾患、悪性腫瘍など、男女固有の生物学的な違いによる差が現れてきています。ネズミを使った実験でも、虚勢したオスとそうでないオスとでは虚勢したマウスのほうが長生きするという結果が出ました。女性ホルモンは活性化酸素を取り入れるのに有利なことがわかっています。

国際人口移動について

国際人口移動は経済の情勢に併せて極めて変化します。特にバブル経済初期には多くの外国人労働力が入ってきました。その後減少しまして、近年また増加傾向にあります。今回は近年の傾向を考慮して推計しています。10年経つと100万人の外国人が入国すると推計しています。20代から30代後半の外国人の入国超過が予測されます。日本人に関しては比較的規模が小さいということです。

高齢化について

高齢化についてですが、2020年までの高齢化はそれほど前回と変わりませんで、ほぼ約束された形です。それ以降に関しては今後の出生率が影響してきます。2050年になりますと高齢化水準が35.7%と前回水準より相当高い水準になっています。高齢者の人口をいかに労働市場に連れてくるかが問題になるでしょう。

質疑応答 ―2ー

Q:

女性ホルモンだけでなく、自殺率、喫煙率なども違います。女性は男性ほど自殺率は高くありません。女性も働くと同じくらいのストレスを感じてくれるのかなと思います(笑)。それから医療の進歩ですが、今後は財政的な制約もあって今までどおりにはいかないでしょう。さまざまな因果関係があり、これまでどおり一方方向には動かないのではないのでしょうか。

高橋:

寿命に関する研究を行っているのですが、疫学領域においては、5つの疫学転換が歴史上行われてきたといわれています。最初の3つは省きますが、4番目が20世紀に起きた寿命の変化でして、脳血管疾患、心疾患による死亡率の低下によって近年のように極めて高い寿命になっています。その次の段階はガンの死亡率の低下で、すでに実際に起こり始めています。その中で社会経済的な要素でいいますと、男性の高い喫煙率であるとか、仕事による男性のリスクファクターが女性より高いことが寿命に影響しています。その次の段階が老化を遅らせることで、すでに始まりつつあります。多くの死亡研究者はもっと寿命が延びると思っています。かつては寿命が120歳を超えることは考えられませんでしたが、さまざまな易学的、医学的な研究で老化のプロセスが分かって来ますとそれを遅らせること自体が出来るようになってきました。細胞レベルの実験では今後の人類社会では展望があるらしいです。

金子:

これ自体が産業になる時代が来るかもしれません。今から30年後の50歳の人はちょっと今と違うかもしれないです。そうなると産業政策も変わってくるかもしれません。

Q:

人口が減るのは好ましくないということですが、日本の経済から考えて適正人口はどれ位なのですか?

高橋:

よく聞かれる質問ですが答えはありません。人々の暮らしの水準とそれを支える経済との相対的な関係ですから、絶対的な適正値はありません。歴史的に見ますと、鎌倉時代は農業中心の経済であり、人口1千万人を超えることは出来ませんでした。江戸時代はこの3倍の3000万人に人口が増加しました。農業力がアップしたからです。このように極めて相対的であり、限界は指摘出来てもある生活水準の中で、という適正人口の推定は出来ません。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。