IZA/RIETI Workshop

Changing Demographics and the Labor Market (議事概要)

イベント概要

  • 日時:2015年5月25日(月)9:00-18:00、26日(火)9:30-11:20
  • 会場:RIETI国際セミナー室(東京都千代田区霞が関1丁目3番1号 経済産業省別館11階1121)

議事概要

RIETIにおいてドイツの労働経済学の研究機関であるIZAとの共催ワークショップが2015年5月25日と26日に行われた。テーマは「変化する人口構成と労働市場」であり、日本をはじめとする先進国で進行しつつある人口の高齢化と従属人口比率(65歳以上人口と15-64歳人口の比率)の上昇に対応するため、いかに高齢者や女性の就業率を向上させるかという政策課題にこたえるための論文10本が発表された。

発表された論文は高齢者の引退に関連する論文と女性就業に関する論文に大別される。高齢者の引退に関して、Lau論文は米国のデータを用いて租税上の優遇が与えられた引退貯蓄口座からの引き出しが可能になることが引退を促進することを示した。Burlon論文は同じく米国のデータを用いて労働者が直面した技術進歩が産業ごと入職時点ごとに異なることに着目し、技術進歩と引退のタイミングの関係を示した。Tyrowicz論文は年金改革が経済に与える複雑な影響をマクロ経済モデルのシミュレーションを通じて示した。Stancanelli論文はフランスの時間利用のデータを用いて、夫婦の同じタイミングでの引退は必ずしも余暇を同時に過ごしていることを意味しないことを示した。近藤論文は高齢者雇用安定法の改正による高齢者雇用の促進が新卒採用や女性パート採用に対して与えた影響を検証した。

女性就業に関してPossenriede 氏はオランダのデータを用いて在宅勤務などのフレキシブルな働き方の機会が労働供給を増加させる効果があるかどうかを検証した。Lee論文は韓国における男女賃金差の発生原因として大学での専攻の違いを取り上げ、仮に男女の大学での専攻が同じであるとするとどの程度男女賃金格差が縮小するかを示した。臼井論文は家庭内における男女の家事の分業について分析し、家事のアウトソーシングが妻と夫双方の結婚満足度を引き上げる可能性があることを示した。石井論文はRIETIも参加して行われているJSTARを用いて介護の必要性が中年女性の労働供給にどのような影響を与えているかを分析した。またRodrigues-Planas論文はスペインの法改正を自然実験に用いて育児期間中の労働時間短縮の権利を労働者に付与することが女性労働需要の減退を招き、平均賃金の低下を招いたことを示した。

政策を直接分析の対象としていない論文も多数含まれているが、高齢者就業率や女性就業率を引き上げるためにどのような政策対応が可能かに関して多くの示唆を与える論文が多かった。総じて、理論モデルを明示的に示さないにしても実証分析のフレームワークが経済理論的に明確化されているもの、パラメータ識別の条件が十分に吟味されているものが高い評価を得た。すべての論文はIZA Journal of Labor Policyに投稿され審査される予定である。